「日本に10年以上住んでいるし、もう永住ビザが取れるだろう」
「税金も払っているし、問題ないはず」
そう思って申請したものの、結果は“まさかの不許可”。
当事務所には、このようなご相談が毎月寄せられます。
永住ビザの審査は、単に年数や収入を見るだけではなく、申請者の生活全体を総合的に評価するプロセスです。そのため、ちょっとした誤解や見落としが原因で不許可になることが非常に多いのです。
この記事では、よくある不許可理由を「実際の相談例」を交えながら解説し、再申請で許可を得るための具体的なポイントをご紹介します。是非最後まで御覧いただき参考にしてください。

不許可理由① 納税未納 ——「少額だから大丈夫」は通用しない

≪実際によくあるケース≫

・住民税をうっかり数ヶ月遅延 → その後完納したが不許可
・国民年金を「免除申請」していたが、それも不許可理由になった

審査官は「税金や社会保険をきちんと払う=社会の一員としての責任感」と見ています。数千円の未納や遅延、免除も「安定性に欠ける」と判断されることがあります。

★対策★

納税証明書を取り寄せ、事前にチェックする
→免除を受けていた場合も、「なぜ免除が必要だったか」を説明できる資料を添付

どうしても遅れがある場合は、「今後は遅延しない仕組み」を作った証拠(給与天引き証明など)を提出

「払っていればいい」ではなく「期限通りに払っているか」まで見られている点が重要です。期限通りの支払いは最低2年は継続していきましょう。

不許可理由② 安定した収入の欠如 —— 年収額だけでは不十分

≪実際によくあるケース≫

・年収は400万円あるが、転職回数が多く不安定と判断された
・自営業で収入があるが、帳簿や確定申告書が整っていないため却下

収入は金額だけでなく「継続性」「扶養人数」「勤務先の信頼性」まで見られています。

★対策★

・直近3年分の源泉徴収票を揃えるだけでなく、勤務先の在籍証明書や雇用契約書を添付
・自営業の方は、青色申告決算書+納税証明+取引先との契約書を出すと信頼性アップ
収入が基準ギリギリの方は、預貯金残高証明や配偶者の収入証明を補強資料に

不許可理由③ 素行不良(交通違反含む)——「小さな違反」が響くことも

≪実際によくあるケース≫

・数年前の飲酒運転歴 → 不許可
・駐車違反やスピード違反を繰り返していた → 「遵法意識が低い」と判断され不許可

「自分は大きな犯罪はしていないから大丈夫」と思う方が多いのですが、日常的な交通違反も積み重なればマイナス評価です。

★対策★

・過去の違反歴は必ず申告(隠すと不許可の決定打になります。)
・違反がある場合は、反省文+安全運転講習の受講証明などを添付

違反から時間が経っている場合は、違反後に無事故・無違反である証拠を示す

不許可理由④ 滞在年数不足や資格変更直後 ——「早すぎる申請」が不許可に

≪実際によくあるケース≫

・留学生から就労ビザに変えてすぐ申請 → 「まだ安定していない」と却下
・日本人配偶者になって1年で申請 → 条件未達で不許可

「日本に10年以上住んでいれば大丈夫」というのは半分正しく、半分間違いです。資格ごとに条件が異なり、審査官は「安定性」を重視しています。

★対策★

・申請前に必ず「自分の在留資格で必要な年数」を確認
資格変更直後なら、1〜2年は様子を見てからの方が安全
・特例(高度専門職など)が使える場合は、その条件を正確にクリアする必要あり

⑤ 再申請で成功するための工夫

※不許可後のよくある誤解※

・「また出せばそのうち通る」 → 同じ書類では再度不許可になる可能性が高いです。
・「時間が経てば自動的に許可」 → 改善努力が見えなければ結果は変わりません。

再申請では「不許可理由をどう改善したか」が審査の焦点です。

★再申請の具体策★

・不許可通知を読み込み、理由を正確に分析

その理由ごとに「改善した証拠」を用意
(例)
・納税未納 → 完納証明
・収入不足 → 安定した雇用契約や追加資料
・違反歴 → 無事故・無違反証明+反省文

行政書士を介して提出する場合、改善状況をロジカルに説明した補足書面を付ける

まとめ —— 「できそう」と「確実にできる」の差は大きい

永住ビザの不許可理由は、どれも一見シンプルです。読んでいると「自分でも対策できるかも」と思う方もいるでしょう。
しかし、実際の審査は「どこまで証拠を揃えられるか」「どう説明するか」で結果が分かれます。
同じ状況でも、書類や説明の仕方次第で「不許可」か「許可」かが変わるのです。
また、身の回りの出来事でも、
「ちょっとしたことだから別に伝えなくてもいいや。」
「これくらいはバレないでしょ」
と思い、素直に伝えないまま申請をすることは一番避けたほうがいいのですが、特に困ってしまうのは申請人本人自身が忘れていてしまっていた。ということです。
悪気がなかったとしても、審査官側には「信用性がない」と捉えられてしまうので、申請する前には必ず細かいところでも見落としがないかしっかり確認しておきましょう。
「あと一歩で許可が出るはずなのに、不許可になってしまった」
そんな悔しい結果を避けるためには、専門家のサポートを活用するのが一番の近道です。

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