【1】基本条件
配偶者ビザから永住ビザに変更申請する際、以下の6つの条件を満たしていることが必要です。
≪基本条件≫
①在留期間
②現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
③独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
④日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
⑤素行が善良であること
⑥罰金刑や懲役刑等を受けていないこと。公的義務(税金や年金の)を適正に履行していること。
すべての条件を満たすことは重要ですが、その6つの条件の中でも特にご相談が多い
①在留期間
③独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
⑤素行が善良であること
⑥罰金刑や懲役刑等を受けていないこと。公的義務(税金や年金の)を適正に履行していること。
の4つの条件について重点的に解説させていただきます。
①在留期間
≪1≫滞在年数の短縮ルール
通常の永住申請は「引き続き10年以上日本に在留していること」が原則です。しかし、日本人または永住者の配偶者の場合、実態のある婚姻生活が3年以上あり、かつ、引き続き1年以上日本に在留していれば申請可能という特例があります。ここで、押さえておくべき注意点としては、出国が多いと滞在期間から差し引かれるため注意が必要です。
例えば、1年のうちに年間の出国日数が100~150日以上ある場合や、3か月を超える出国がある場合 、 滞在年数がリセットされてしまうため、条件を満たさなくなる可能性が高くなります。
ポイントは「婚姻年数」と「実際の居住年数」は別物であること。入管は居住実態を非常に厳格に確認するため、自己判断で「大丈夫」と思わずに慎重に確認しましょう。
また、配偶者ビザでなく、「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザで日本に在留し、日本人・永住者と結婚している配偶者もこの特例が適用されます。つまり、法的な身分として、日本人・永住者の配偶者であれば、この特例の対象ということですので併せて押さえておいてください。
≪2≫婚姻の安定性をどう証明するか
永住申請で最も重視されるのが「婚姻の安定性」です。
単に婚姻届を提出して年数が経過しているだけでは不十分で、「実態の伴った婚姻」生活を送っていることを証明しなければなりません。
別居していて婚姻関係が事実上維持されていない場合は、不許可となる可能性が高いです。また、そのような事実を隠して申請して許可が下りたとしても、後に永住権を取り消される可能性が高いので注意してください。
特に、
「夫婦の年齢差が大きい」
「結婚年数が浅い」
「扶養者の年収が徐々に下がっている」
等の特殊な事情がある場合は、「理由書」に丁寧に説明してください。
また、「理由書」だけでなく、夫婦円満であることをアピールするために結婚式や旅行だけでなく、普段の生活(食事、記念日、自宅での様子など)の「写真」を提出することにより説得力が増しますので積極的に活用してください。
※よくある誤り※
・結婚式の写真ばかり提出 → 「形だけの結婚」と誤解される
・書類だけで生活の実態を示せていない → 入管は「日常感」を重視
★コツは、「第三者(審査官)が見ても、この夫婦は普段から一緒に生活していると納得できるか」を意識して資料を集めることです。説明不足で「永住ビザ目的の偽装結婚」と疑われないよう注意しましょう。
②現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
現状、在留期間が3年以上となっていれば問題はありません。
現在の配偶者ビザの在留期間が1年である場合は、まず3年以上のビザ取得に向けて注力していきましょう。焦らずゆっくり準備していきましょう。
③独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
現在明確な規定はありませんが、
「世帯年収で300万円以上」
ないと不許可リスクが高くなります。
また、扶養がある場合は一人あたり、プラスで20万円の年収が必要となり、永住許可申請日を起算として、直近3年以上継続していることが求められます。
夫婦共働きで、配偶者を扶養に入れていない場合は、夫婦の収入を合算して世帯年収としてみてもらえる可能性は高いです。
★有効な証明書類例★
- 源泉徴収票
- 預金通帳の写し
- 証券口座
- 土地建物の登記簿
など。
④日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
夫婦のどちらか一方でも「生活保護」を受給し公共の負担となってしまっている場合は、永住権の取得は困難となってしまいます。
⑤素行が善良であること
犯罪歴(懲役・禁錮・罰金)がないことが基本条件となります。
特に多いのが、重大な犯罪ではないものの軽微な交通違反でも繰り返している場合は注意が必要です。
該当してしまう場合は、しばらく期間を空けてから申請したほうがいいでしょう。
何年も前のことだから別に言わなくてもいい。ということはなく、過去のことでも素直に伝えて改心していることを伝えた方が、隠したまま申請して後で発覚してしまうよりは審査官の心象もいい方向に働きます。
⑥罰金刑や懲役刑等を受けていないこと。公的義務(税金や年金の)を適正に履行していること。
住民税と年金を遅滞なく納めていることが必要です。
納税の未納や滞納があると、「生活基盤が不安定」とされ不許可リスク大。
住民税は直近3年分、年金保険料は直近2年分の支払い状況は確認されるため、最低でもこの期間は継続して未納、遅延がないように注意が必要です。
注意が必要なのは、ちゃんと払っていても「期日に遅れがないか」ということが重要です。また、申請人が日本人配偶者に扶養されている場合は、日本人側の納税状況も審査されるため、夫婦ともに期日を守り納めていきましょう。
【2】 配偶者ビザから永住ビザ変更の要点チェック
実態の伴った婚姻生活が3年以上あるか
1年以上日本で夫婦生活を送っているか
現在の在留資格の期間が3年以上あるか
世帯年収は問題ないか
犯罪歴等はないか
納税状況に問題はないか
上記の条件すべてに問題がないようであれば、是非永住ビザ申請にチャレンジしてみてください!
また、理由書作成の際は、
「来日してから現在までの経緯」
「現在の仕事の状況」
「なぜ永住を希望するのか」
「日本での生活基盤が安定していること」
といったことを具体的に記載してください。
理由書が簡潔すぎると説得力不足で不許可リスクが高まってしまいます。
書類収集のポイントは「形式的に揃える」のではなく、「審査官に伝わる資料と説明」を意識することです。
★まとめ★
ここまでの内容を理解すれば、配偶者の永住申請は自分でも十分取り組めます。
婚姻生活が安定しており、納税や社会保険に問題がない等上記の条件を満たしていれば、後は必要な資料を揃えて申請するだけです!
「自分でやってみよう」と思う方は本記事を参考にチャレンジしてみてください。
もし「理由書作成に不安がある」「絶対に失敗したくない」と思う方は、最初から専門家に相談することをおすすめします。一度不許可になると、再申請で不利になることも少なくありませんので、お気軽にご連絡ください!
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