「結婚したのだから配偶者ビザは簡単に許可される」──そう考えている方は少なくありません。しかし実際には、配偶者ビザの不許可率は決して低くなく、再申請や却下に悩まされる夫婦が数多く存在します。本記事では、行政書士の実務視点から不許可となる7つの典型理由と具体的対策、さらに再申請のロードマップ専門家に相談すべきタイミングを詳しく解説します。

第1章:配偶者ビザが不許可になる7つの理由(ケーススタディ形式)

ケース①:交際期間が短すぎて「偽装結婚」を疑われる

出会ってから数か月での結婚は、入管にビザ目的の婚姻ではないかと厳しく見られます。特に夫婦間の共通言語が不明瞭な場合、コミュニケーションの実態が疑問視されやすい傾向があります。入管のチェック項目の中でも重要なポイントとなります。

対策

  • 出会いから結婚までの詳細な経緯を理由書に記載
  • 交際中の写真・旅行記録・メッセージ履歴を時系列で提出
  • 友人や家族の証言(書面化)で信頼性を補強

ケース②:収入不足で生活能力が疑われる

主たる生計維持者である日本人配偶者の収入が低いと、生活の安定性に疑問が生じます。一般的に年収250万円前後が一つの目安で、派遣・アルバイト中心だと厳しくなるケースがあります。

対策

  • 源泉徴収票・課税(所得)証明書を必ず提出
  • 不足分は預金通帳コピー親族の支援誓約書で補強
  • 自営業は確定申告書・事業計画書で継続性を説明

ケース③:別居婚で生活実態が確認できない

結婚後も同居していないと、入管は真実の婚姻かどうかを疑います。

対策

  • 別居をしている合理的な理由(転勤・留学・体調など)を具体的に説明(※単なる単身赴任の場合でも「なぜ夫婦共に赴任先に行かないのか?という合理的な理由は必要となります。
  • 定期的な面会証拠(交通費領収書・旅行写真)を提出
  • 可能なら同居開始後の申請が最善

ケース④:必要書類の不備や誤記

住民票の世帯分離、外国語書類の未翻訳、納税・在職証明の欠落など、形式面のミスは不許可の主要因です。

対策

  • 最新の必要書類リストを確認(最新のものは入管のホームページから確認)
  • 書類は優先度の高いものから準備
  • 翻訳書類には翻訳者名を明記して添付

ケース⑤:結婚の経緯説明が不十分

「どのように出会い、なぜ結婚に至ったか」の説明が薄いと不自然と判断されます。

対策

  • 出会い〜結婚の流れを具体的に記載した理由書を作成
  • 国際結婚では言語・文化差をどう乗り越えたかも明記

ケース⑥:前歴(オーバーステイ・前科)がある

入管法違反や犯罪歴がある場合、審査は一層厳格になります。隠蔽は信頼を大きく損ね、不許可を招きます。

対策

  • 正直に申告し、反省と再発防止の姿勢を示す
  • 安定した生活計画を提示
  • 就労証明や推薦状などの社会的信頼の資料を追加

ケース⑦:日本での生活基盤が不安定

住居未確定、転職頻度が高い、預金が少ないなどはマイナス評価につながります。

対策

  • 賃貸契約書・光熱費請求書で居住実態を証明
  • 雇用契約書・在職証明で収入の安定を示す
  • 残高証明などで資金的裏付けを補う

第2章:必要書類の中でも重要度の高い書類をピックアップ

配偶者ビザの新規・更新で不許可を避けるには、すべてを一度に完璧にするより、重要度の高い書類から順番にかつ確実に揃えるのが実務的です。配偶者ビザでは複数の書類を準備する必要があります。すべての書類は重要ですが、その中でも重要度の高い書類を書きにピックアップさせていただきます。

  • 課税(所得)証明書・納税証明書(収入の裏付け)
  • 在職証明書または雇用契約書
  • 住民票(同一世帯の確認)
  • 預金通帳コピー・残高証明
  • 夫婦の写真・交際履歴(時系列)
  • 親族の支援誓約書

第3章:入管が疑う「見落としチェックポイント」

  • 住民票が別世帯:同居していないと判断されやすい
  • 言語能力の差:会話の実態を質問されることがある
  • 婚姻届のみ:結婚式や家族紹介が無いと形式的結婚と疑われる

第4章:不許可後の再申請ロードマップ

  1. 不許可通知書を入手し、理由を正確に把握
  2. 不足部分を補強(証拠写真・理由書・収入証明など)
  3. 専門家に添削依頼し、書類の整合性を確認
  4. 適切なタイミングで再申請(数か月の間隔が有効な場合あり)

第5章:こんなときは専門家に相談を

  • 交際期間が1年未満
  • 世帯年収が250万円未満
  • 別居婚をしている
  • 過去に在留資格で不許可経験がある
  • 年齢差が著しい
  • 離婚と再婚を複数回繰り返している

まとめ

配偶者ビザは真実の結婚であっても、収入・書類不備・同居実態の不足などで不許可となるリスクがあります。配偶者ビザは、日本で一緒に暮らすために欠かせない在留資格ですが、不許可リスクは意外と高いものです。特に、理由書を自己作成する場合、ほとんどの方がお互いの結婚の経緯を記載していただいておりますが、入管が気にしている部分はそこじゃない・・・というような、的を外してしまって作成している方が多々いらっしゃいます。

せっかく時間をかけて書類を作成したのに、不許可になってしまった、、、ということがないように、「偽装結婚の疑い」「収入不足」「書類不備」といった理由とポイントを理解し、適切な対策を取ることで、許可の可能性を高められます。

不安がある場合や不許可になった場合は、行政書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。早めにプロのアドバイスを受けることで、無駄な時間とコストを減らし、スムーズな在留資格取得が可能になります。まずは現時点で許可が下りるか否か、無料で診断させていただきますので、お気軽にご相談下さいませ。

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