【1】外国人社員の給与は日本人と同じでなければならない?
外国人を採用するときに、まず押さえておきたいのが「外国人だから給与を低く設定する」という考え方はできないということです。
労働基準法では、労働者の国籍を理由として、賃金や労働時間などの労働条件について差別的に取り扱うことが禁止されています。
外国人労働者についても、日本人と同様に労働関係法令が適用されます。
ただし、これは「外国人社員と日本人社員の給与額を必ず同じにしなければならない」という意味ではありません。
給与は、職務内容、役職、責任の程度、経験、能力などを踏まえて決定することになります。
例えば、同じ会社であっても、
- 新入社員と経験豊富な社員
- 一般社員と管理職
- 責任の範囲が異なる社員
では、給与が異なることは当然あります。
重要なのは、外国人であることだけを理由に不当に低い給与を設定しないことです。
【2】就労ビザでは「日本人と同等額以上」の給与が重要
外国人の給与を考えるうえでは、労働法上の最低賃金だけでなく、在留資格の要件にも注意が必要です。
①技人国では日本人と同等額以上の報酬が必要
代表的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」では、在留資格の基準として、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが定められています。
そのため、外国人社員の給与を決める際には、
「最低賃金を上回っているか」
だけではなく、
「同じような仕事をする日本人社員と比較して、適切な給与水準になっているか」
という点も確認する必要があります。
②「最低賃金以上」なら就労ビザを取得できるわけではない
ここは企業が特に注意したいポイントです。
例えば、最低賃金を上回る給与を設定していたとしても、同程度の業務・経験・責任を持つ日本人社員と比較して、外国人社員だけ著しく低い給与になっていれば、就労ビザの審査で問題となる可能性があります。
一方、会社に同じ仕事をする日本人社員がいない場合でも、賃金規程や職務内容、責任の程度、経験などを踏まえて給与水準を検討することになります。
したがって、「最低賃金を超えている=就労ビザの給与要件を満たす」というわけではありません。
③特定技能でも日本人と同等以上の報酬が必要
特定技能についても、外国人に支払う報酬は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められます。
そのため、外国人を採用する際は、在留資格に応じた給与の基準を確認することが大切です。
【3】外国人社員にも最低賃金は適用される?
外国人労働者にも、最低賃金法が適用されます。
最低賃金は、労働者の生活の安定などを図るため、使用者が支払わなければならない賃金の最低額を定めたものです。
地域別最低賃金は、都道府県内の事業場で働くすべての労働者に適用され、パートやアルバイトなど雇用形態にかかわらず対象となります。外国人労働者も例外ではありません。
また、最低賃金を下回る給与について、外国人本人が同意していたとしても、その合意は認められません。
最低賃金を下回る契約をした場合でも、法律上は最低賃金額で契約したものと扱われます。
なお、最低賃金には地域別最低賃金のほか、特定の産業に適用される「特定最低賃金」があります。
両方が適用される場合には、原則として高い方の最低賃金が適用されます。
そのため、外国人を採用するときは、勤務地や業種に応じて適用される最低賃金を確認する必要があります。
【4】外国人社員の給与はどのように支払えばいい?
外国人社員の給与については、金額だけでなく、どのように支払うかについてもルールがあります。
①賃金支払いの5原則を守る
労働基準法では、賃金について、
- 通貨で支払う
- 労働者本人に支払う
- 原則として全額を支払う
- 毎月1回以上支払う
- 一定の期日に支払う
という5つの原則が定められています。
外国人労働者についても、このルールは基本的に変わりません。
②銀行振込で給与を支払うこともできる
実際には、外国人社員についても銀行口座への給与振込が一般的です。
労働者本人の同意など、法律上の要件を満たせば、本人名義の預貯金口座への振込みによって給与を支払うことができます。
「外国人だから現金で手渡さなければならない」ということではありません。
③給与の計算方法なども採用時に説明する
外国人労働者を雇用する場合、賃金について単に「月給○万円」と伝えるだけではなく、
- 給与の決定・計算方法
- 給与の締め日・支払日
- 税金の控除
- 社会保険料などの控除
- その他、給与から控除されるもの
などについて、本人が理解できるよう説明することが重要です。
厚生労働省の外国人雇用管理指針でも、賃金の決定・計算・支払方法などについて、外国人労働者が理解できるよう説明することが求められています。
特に日本の給与制度に慣れていない外国人の場合、額面給与と実際の手取り額が異なることを事前に説明しておくと、給与をめぐるトラブルの予防にもつながります。
【5】外国人を採用するときの給与設定で確認したい3つのポイント
外国人社員の給与を決める際は、次の3点を確認しておきましょう。
①日本人社員との給与水準を比較する
同じ、または類似する業務を担当する日本人社員がいる場合は、その社員の給与水準を確認しましょう。
比較する際には、単純な給与額だけでなく、職務内容、経験、役職、責任の程度なども考慮することが重要です。
②最低賃金を下回っていないか確認する
勤務地や業種に応じて適用される最低賃金を確認し、これを下回らない給与を設定します。
なお、最低賃金をクリアしていても、就労ビザの報酬要件まで満たしているとは限りません。
例えば、留学生を新卒採用する場合、職種や企業の給与体系などによって異なりますが、月給23~25万円前後であれば、一つの目安となります。
③就労ビザの報酬要件を確認する
技人国などの就労系在留資格では、日本人と同等額以上の報酬が求められる場合があります。
そのため、給与を決めてから就労ビザを申請するのではなく、採用予定の業務と給与が在留資格の要件を満たすかを採用段階で確認しておくことが重要です。
【まとめ】外国人社員の給与設定は採用前に確認することが重要
外国人社員の給与を設定する際は、単に最低賃金を上回っているかだけでなく、日本人社員との給与水準や、取得予定の在留資格に応じた報酬要件まで確認することが重要です。
特に技人国などでは、日本人が同じ仕事に従事する場合の報酬と同等額以上であることが求められます。
そのため、「外国人だから日本人より安い給与で採用する」という考え方はできません。
また、給与の支払いについても、最低賃金や賃金支払いのルールを守ることに加え、給与の計算方法や税金・社会保険料などの控除について、外国人社員が理解できるよう説明することが大切です。
外国人を採用する際は、
「仕事内容」
「給与水準」
「在留資格」
の3つをセットで確認することで、採用後のトラブルや就労ビザ申請上の問題を防ぎやすくなります。
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外国人を採用する際は、給与を決めてから就労ビザを申請するのではなく、採用予定の業務内容と給与水準が在留資格の要件を満たしているかを事前に確認することが重要です。
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このような場合は、外国人の就労ビザ申請を専門とする行政書士にご相談ください。
当事務所では、採用予定者の学歴・職歴や仕事内容、給与条件などを確認したうえで、就労ビザの取得可能性を事前に確認し、申請に必要な手続きまでサポートしています。
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