【1】永住許可では税金・年金・保険の納付状況が重要
永住許可では、国益適合要件の一つとして、納税や公的年金、公的医療保険などの公的義務を適正に履行していることが求められます。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、申請時までに税金等を支払っていたとしても、「本来の納付期限までに納付していなかった場合は、原則として消極的に評価する」とされています。
そのため、永住許可申請では、
- 未納がないか
- 滞納がないか
- 納付期限に遅れていないか
を確認することが重要です。
次章以降、詳細について解説していきます。
【2】永住許可で確認される税金・年金・保険の期間は人によって違う
永住許可申請では、税金や年金、健康保険について、必要な確認期間が申請人によって異なります。
①住民税は1年・3年・5年が基本
住民税については、申請人の立場によって、主に次のように確認期間が分かれます。
日本人または永住者の実子(特別養子を含む)
高度専門職80点による永住許可申請
日本人の配偶者
永住者の配偶者
高度専門職70点による永住許可申請
地域再生計画(特定活動36号又は37号)、我が国へ貢献があると認められる者
上記以外の一般的な申請人
例えば、技術・人文知識・国際業務などの就労資格から永住許可を申請する場合は、原則として直近5年間の住民税について確認することになります。
そのため、自分がどの申請ルートに該当するのかを確認したうえで、必要な期間について納付状況を確認することが大切です。
②年金・健康保険は原則として直近2年間を確認
年金や健康保険については、原則として申請時から直近2年間の納付状況を確認します。
対象となるのは、例えば次のようなものです。
- 国民年金
- 厚生年金
- 国民健康保険
- 健康保険
ただし、次のような一部の申請類型では、確認期間が直近1年間となります。
- 日本人または永住者の実子(特別養子を含む)
- 高度専門職80点による永住許可申請
例えば、日本人の配偶者として永住許可を申請する場合は、一般的に住民税は直近3年間、年金・健康保険は直近2年間を確認することになります。
このように、同じ永住許可申請でも、税金と年金・保険で確認期間が異なるため注意が必要です。
出入国在留管理庁の提出書類一覧でも、申請類型によって住民税や年金の必要期間が異なることが示されています。
③「今は払っている」だけでは不十分
ここで特に注意したいのが、「現在までに完納しているか」だけを確認すればよいわけではないという点です。
永住許可では、過去の納付についても、本来の納付期限までに支払っていたかが重要になります。
そのため、例えば直近5年間の住民税をすべて支払っていたとしても、その中に納付期限を過ぎてから支払ったものがあれば、注意が必要です。
現在の永住許可審査では、確認対象となる期間の途中で一日でも納付期限に遅れがあると、その後の審査に大きく影響し不許可となるケースが多々見られております。
そのため、一度でも納付期限に遅れた場合には、その後改めて確認対象期間についてクリーンな納付実績を積み上げていかなければならない、というくらいの意識で永住申請の準備をしていくことが重要です。
つまり、永住許可申請では、
「未納がないか」ではなく、「納付期限どおりに支払っている状態を継続できているか」
という視点で確認する必要があります。
④申請人本人だけでなく家族の納付状況にも注意
さらに、永住許可申請では、申請人本人だけでなく、配偶者などの同居家族の税金・年金・健康保険の納付状況にも注意が必要です。
特に、配偶者が専業主婦・主夫である場合や、家族の保険料を世帯主が支払っている場合などは、「自分の分だけ確認すればよい」と考えないことが大切です。
永住許可の申請では、申請人の生活基盤や生計状況、家族関係などを含めて審査されるため、同居家族についても納付状況に問題がないか、申請前に確認しておくことをおすすめします。
特に、配偶者や家族に税金・年金・健康保険料の未納や納付遅れがある場合は、申請前に状況を確認し、必要に応じて対応を検討することが重要です。
【3】会社員は特別徴収、個人事業主は普通徴収に注意
税金の領収書が残っているかどうかを確認する際には、まずどのような方法で住民税を支払っていたかを確認しましょう。
①会社員の場合は特別徴収が多い
会社員として勤務している場合、住民税は給与から天引きされる「特別徴収」となっていることが一般的です。
特別徴収であれば、本人がコンビニや金融機関などで納付するわけではないため、個別の領収書を保管していないケースも珍しくありません。
また、出入国在留管理庁の提出書類でも、確認対象期間がすべて特別徴収の場合には、納付時期を証明する追加資料が不要とされている類型があります。
そのため、会社員で領収書がないからといって、直ちに問題になるわけではありません。
②転職・退職した時期は普通徴収になっていないか確認
一方で、会社員の方が注意したいのが転職や退職の時期です。
会社を退職すると、これまで給与から天引きされていた住民税が、普通徴収に切り替わることがあります。
例えば、
「会社を退職した後、次の会社に入社するまで数か月空いていた」
という場合、その期間について普通徴収で住民税を支払っていた可能性があります。
この期間に納付した領収書が残っていなければ、実際にいつ支払ったのか確認する必要があります。
③個人事業主は特に納付記録を確認する
個人事業主の場合、住民税が普通徴収となっていることが多いため、会社員よりも納付期限の管理が重要になります。
引落やクレジットカードで納付している場合は記録が残っているため問題はありませんが、納付書を使って自分で支払っている場合は、領収書を紛失すると「いつ支払ったのか」が分からなくなることがあります。
永住許可申請を予定している場合は、普段から納付書や領収書を保管しておくことが大切です。
\永住許可申請の前に、税金の納付状況を確認しておきましょう/
永住許可申請では、現在の未納がないかだけでなく、過去に納付期限に遅れがなかったかどうかも重要です。
特に、転職や退職などによって普通徴収に切り替わった時期がある場合、
「自分では支払ったつもりだけれど、いつ支払ったのか分からない」
「領収書が残っていない」
というケースもあります。
領収書がなくても、納付状況を確認できる方法はあります。
「領収書がないから確認できない」とそのまま申請を進めるのではなく、申請前に過去の税金の納付状況を一度確認しておくことをおすすめします。
【4】税金の領収書がない場合はどうすればいい?
では、住民税の領収書を紛失してしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
結論として、領収書がないことだけで永住許可申請ができなくなるわけではありません。
重要なのは、領収書がなくても、実際に納付期限どおりに支払っていたことを確認できるかどうかです。
まずは、住民税を納付した市区町村に確認し、
- 納付状況
- 納付日
- 未納の有無
- 納付期限に遅れがなかったか
などを確認します。
納税証明書では未納や滞納状況があるかどうかの確認はできますが、実際に支払い期限に間に合っているかどうかの確認はできません。
以前は、役所の担当者に納付状況を確認してもらい、「納付の遅れがない」ことを記載した書面に職員の確認・押印を受けるという対応が行われることもありました。
しかし、最近の永住許可申請では、このような役所の確認書だけでは入管に受け付けてもらえないケースもあります。
そのため、領収書がない場合には、「役所で確認書をもらえば終わり」と考えるのではなく、現在の納付記録をどのような資料で証明できるのか、市区町村に確認する必要があります。
状況によっては、情報公開・開示請求等によって納付記録を確認する方法を検討することもあります。
ただし、利用できる制度や取得できる資料は自治体によって異なるため、個別に確認することが重要です。
【5】年金の領収書がない場合は年金事務所で納付記録を確認する
年金についても、「領収書がない=納付状況が確認できない」というわけではありません。
年金の納付状況は、年金事務所などで確認することができます。
例えば、年金の記録を確認する資料として、
- 被保険者記録照会回答票
- 被保険者記録照会(納付Ⅰ・過不足納)
などを取得し、納付状況を確認します。
特に、
- 会社員になる前
- 退職していた期間
- 転職の空白期間
- 個人事業主だった期間
などに国民年金を自分で支払っていた場合は、領収書が残っているかだけでなく、年金記録そのものを確認しておくことが重要です。
出入国在留管理庁の提出書類でも、年金の納付状況を確認する資料として、被保険者記録照会回答票などが挙げられています。
したがって、年金の領収書を紛失してしまった場合でも、年金事務所で記録を確認することで、納付状況を確認できる場合があります。
【6】永住許可申請後も税金・年金の支払いには注意する
永住許可申請で非常に重要なのが、「申請が受理されたから、あとは結果を待つだけ」と考えないことです。
永住許可申請は、申請書類を提出して受理された時点ですべての審査が終わったわけではありません。
特に税金、年金、健康保険などの公的義務については、申請後も納付期限を守る必要があります。
極端にいえば、結果が出る直前まで、税金・年金・保険料について適正な納付状態を維持するものと考えてください。
例えば、
「申請前の5年間は一度も納付遅れがなかった」
「申請時点でも未納はなかった」
という場合でも、申請後に納付期限を過ぎてしまえば、その後の審査に影響する可能性があります。
実務上も、申請時点では問題のない納付状況だったにもかかわらず、審査期間中に1日だけ納付が遅れたことが不許可につながったと考えられるケースがあります。
そのため、永住許可を申請した後も、
- 住民税
- 国民年金・厚生年金
- 国民健康保険
- その他の公的保険料
などについて、納付期限を必ず管理してください。
特に、個人事業主の方については、確定申告の期日や納付期限についても厳しく審査されているので注意しましょう。
「申請が終わったから、結果が出るまで待つ」という意識ではなく、結果が出るまでの期間も、永住許可を取得するための重要な期間だと考えておくことが大切です。
【まとめ】
永住許可申請では、税金や年金の領収書が残っていないからといって、それだけで申請できなくなるわけではありません。
重要なのは、必要な確認期間について、税金・年金・健康保険を納付期限どおりに支払っていたことを確認できるかどうかです。
特に住民税については、会社員の場合は特別徴収となっていることが多いため、領収書を保管していなくても問題にならないケースがあります。
一方、転職・退職などによって普通徴収になっていた期間や、個人事業主として自分で住民税を納付していた期間については、納付日まで確認しておくことが重要です。
また、年金についても領収書を紛失している場合は、年金事務所で被保険者記録を確認することができます。
そして、永住許可申請で忘れてはいけないのが、申請後の納付です。
申請時点で過去の納付状況に問題がなくても、審査期間中に納付期限に遅れてしまえば、審査に影響する可能性があります。
そのため、永住許可を申請する場合は、
- 自分に必要な確認期間は何年なのか
- 普通徴収になっていた期間はないか
- 税金や年金の納付期限に遅れがなかったか
- 領収書がない場合、どの資料で納付状況を確認できるか
- 配偶者など同居家族の納付状況に問題がないか
- 申請後も納付期限を守れているか
まで確認しておくことが大切です。
「今は未納がないから大丈夫」「領収書がないけれど、たぶん払っている」ではなく、申請前に一度、過去の納付状況を正確に確認しておきましょう。
\永住許可申請を安全に進めていきたい方へ/
永住許可申請では、必要書類を集めるだけでなく、過去の税金・年金・保険料について、納付期限に遅れがなかったかまで確認することが重要です。
永住許可申請は、一度不許可になると、理由によっては再申請まで3年・5年など、一定期間を空けなければならない場合があります。
自分で申請して不許可となり、数年間待つことになるよりも、申請前に専門家へ相談し、できる限り問題点を整理したうえで申請することをおすすめします。
当事務所では、永住許可申請について、これまでの納付状況や家族関係などを確認したうえで、申請に向けた準備をサポートしています。
税金・年金・保険の納付状況に少しでも確認したい点がある方は、申請前に一度ご相談ください。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
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