永住ビザを「取れば一生安定できる」と思われがちですが、実際には永住取得後も守らなければならないルールがいくつもあります。
特に2027年4月からの入管法改正により、永住取消の制度が明確化され、対象範囲も拡大したため、これから永住を取得する人こそ正しい知識が必要になりました。

もちろん、真面目に生活している方が突然取消されることはほぼありません。
しかし、「知らなかった」「手続きを忘れていた」だけで永住を失ってしまう例は毎年発生しています。

  • 長期出国の期限管理
  • 住所変更の届出
  • 税金・保険料の管理
  • 在留カード更新
  • 虚偽に見える申請内容の不整合

こうした基本事項を理解せず永住申請をしてしまうと、取得後の維持でつまずくことが少なくありません。
さらに、永住を取得した後に帰化へステップアップすべきタイミングも人によって異なります。

本記事では、永住を“これから取得する方”や“永住後に帰化を検討している方”に向けて、
永住維持のポイント・帰化を検討すべき条件・注意点を専門家の視点で分かりやすく解説しますので是非参考にしてください。

許可・不許可の事前診断を無料で実施中
下記フォームより「事前診断希望」と一言ご連絡ください!
▼お電話での無料相談はこちらから▼
TEL:03-6821-1371
(9;00~19;00 土日祝対応可)
無料診断はこちらから

【1】永住ビザが取り消される可能性がある5つのケース

永住者は、入管法第22条の4により取り消し制度の対象となっています。
実務では、以下の5分類で考えると理解しやすいです。(2027年4月施行の入管法に対応)

①虚偽申請・不正取得

永住許可取得にあたり、以下のような行為があると、後から発覚した時点でほぼ確実に取消しとなります。

  • 偽装結婚
  • 虚偽の勤務先・職歴申告
  • 架空の年収証明を利用した申請
  • 偽造された在職証明書や確定申告書の提出  など

永住審査では、提出書類の信頼性が重視されます。
また 永住取得後でも、入管が「再調査」することは珍しくありません。
そのため、“過去の虚偽” が数年後に分かって取消し…という実例も存在します。
永住はゴールではなく、信用の積み重ねの結果として与えられる資格であるという点を理解することが重要です。

②犯罪行為による取消し(2027年法改正で対象拡大)

2027年4月の改正により、重大犯罪で拘禁刑を受けた場合、永住許可は取消しの対象となります。

【対象となり得る犯罪例】

  • 殺人・強盗・傷害などの凶悪事件
  • 危険運転致死傷
  • 窃盗・詐欺(刑期の長さは問わない) など

ここで重要なのは、「悪質な犯罪行為」と評価されるかどうかが焦点という点です。
逆に、以下は取消しの対象外とされています。

  • 過失犯(例:過失交通事故)
  • 一般的な交通違反(ただし、繰り返しの違反は注意される可能性あり)

永住者は、重大犯罪を犯した場合「退去強制」の可能性もあるため、永住資格の喪失につながる影響は非常に大きくなります。

③住所届出義務違反(忘れやすい典型例)

永住者を含む中長期在留者には、住居地を 90日以内に届出する義務 があります。

次のケースは典型的な取消しリスクです。

  • 引越し後に住所変更を届け出ていない
  • 実際に住んでいない住所を届け出る
  • 知人宅の住所を借りて登録している

特に一人暮らしの永住者の方で、転勤や短期移動の際に届出を忘れてしまうケースが多い印象です。
住所届出は非常に簡単な手続きである一方、放置すると大きなリスクになるという点を忘れないようにしましょう。

④税金・社会保険料の「故意の」滞納(2027年から正式に追加)

永住者は、日本人と同様に公租公課(税金・社会保険料)の支払義務があります。特に、2027年改正法で、公租公課(税金・社会保険料)の故意の滞納は取消し対象と明記されました。
対象となるものとしては、以下の通りです。

  • 住民税
  • 国民健康保険料
  • 国民年金保険料
  • 所得税(給与天引されない就労形態の人)

ここで重要なのは、“滞納したこと” ではなく “故意の悪質な滞納” が問題視されるという点です。
ただ、次のようなケースは取消し対象ではありません。

  • 支払いを数日忘れた
  • 経済的事情で一時的に支払えなかった
  • 役所に相談して分納している
  • 免除や減額制度を利用している

しかし、何年も通知を無視して支払わないなど、悪質と判断されれば取消しにつながる可能性があります。

万が一、「払えない」場合は役所へ相談すれば取消に直結しませんので、その場合はすぐに相談するようにしてください。「分納・免除」といった制度を使っていても問題はありません。
実務的には、永住審査や他の在留手続きの際に「納税証明書」が必ずチェックされるため、日ごろから管理しておくことが大切です。

⑤再入国許可の不取得・長期出国による失効

もっとも実例が多いのは、実は 海外滞在中の“うっかり失効” です。
永住者であっても、再入国許可の扱いを誤ると、資格は自動的に消滅します。

◆みなし再入国許可の場合

期間:出国日から1年間
→1日でも超えると永住資格が失効

◆再入国許可(最長5年)の場合

許可の有効期限内に必ず帰国することが重要です。
→パスポート更新によって許可が無効になるケースあり(実務上とても多い)

実際に多い失敗例としては以下の例です。

  • 1年以内の予定が、海外での出産・育児で延びてしまった
  • 家族の介護で長期滞在し、気づいたら期限切れ
  • 「みなし再入国」で簡単だから大丈夫と勘違いしていた
  • 再入国許可を取ったつもりが、パスポート更新で消えていた

永住者といえども、日本に生活基盤があることが前提です。
長期出国中に日本とのつながりが断たれたと判断されると、永住維持は難しくなりますので注意してください。

~長期出国前に必ず確認すべきこと~

  • 再入国許可の種類と有効期限
  • パスポートの更新予定
  • 日本での住民登録・納税状況
  • 日本に戻ってくる明確な予定の有無
  • 子どもの就学・家族の居住実態など、日本での生活基盤の有無

【2】永住ビザ維持するために注意すべき5つのポイント

永住ビザは、日本で長期的に安心して暮らすための非常に強力なステータスですが、日常生活の中で基本的な義務を怠ると思わぬ形で失効してしまうことがあります。
永住者の方が確実に資格を維持するためには、次の5つのポイントを押さえておくことが重要です。

住所変更は必ず期限内に届け出る

引越しをした際は、市区町村での住民登録だけでなく、90日以内に入管への住所届出が法的に義務付けられています。
届出漏れは永住取消しにつながりやすい典型例のため、転居が決まったら最優先で手続きを行いましょう。

税金・社会保険料を計画的に管理する

2027年の法改正により、故意の滞納は永住取消しの対象となりました。
支払いが難しい場合は、放置せず役所に相談して分納や免除を利用することで悪質性を回避できます。

海外渡航時の再入国許可と期限管理

永住ビザは、再入国手続きの失念が原因で失効するケースが最も多い在留資格です。
みなし再入国は1年以内再入国許可は最長5年まで。パスポート更新時の許可無効化などにも注意し、出国前後のスケジュール管理を徹底しましょう。

在留カードは7年ごとに必ず更新

永住ビザ自体には更新はありませんが、在留カードには7年の有効期限があります。
更新を忘れると過料の対象となるため、更新時期は必ず事前に把握しておきましょう。カードの常時携帯義務にも注意が必要です。

法令遵守と正確な情報提供

日常生活で問題を起こさないことはもちろん、入管手続きでの虚偽申請は重大な違反となります。
書類の内容に変更や不整合が生じた場合は、必ず正確な情報を届け出ることが求められます。

永住資格の維持は「基本の積み重ね」がすべてです。
これらのポイントは特別な手続きではなく、日常生活で少し意識するだけで実践できます。

  • 住所を届ける
  • 納税・保険料を管理する
  • 出国時の再入国手続きを忘れない
  • 在留カードを7年ごとに更新する
  • 法律を守り、正確な情報を申告する

この“基本の徹底”こそが、永住ビザを確実に守る最も重要な方法です。
不安な点がある場合は、早めに専門家へ相談することで、より安全に永住資格を維持できます。

【3】帰化申請を検討するタイミング — 永住と帰化は「どちらが得」ではなく「どちらが安全」かで判断

永住を取得した方からよくある質問が「永住と帰化はどっちがいいですか?」というものです。
結論として、お一人おひとりのの状況によってどっちを選ぶかは異なってしまいます。
法律上は全く異なる制度ですが、永住者が帰化を検討すべきタイミングとしては次の状況が多いです。

①日本からの長期出国が増える場合

帰化すれば、日本のパスポートで自由に海外へ行けるため、
出国日数による資格喪失の心配がなくなる という大きなメリットがあります。

②永住取消のリスクをどうしても避けたい場合

永住は「外国人」である以上、法律上は取消が可能です。
しかし日本国籍を取得すれば、このリスクがゼロになります。

③子どもが日本で長期的に生活する場合

子どもの教育・扶養・大学進学を考える家庭では、日本国籍を選択するケースも増えています。

永住と帰化の比較表

項目永住帰化
取り消しの可能性ありほぼなし
海外長期滞在2年で失効無制限
日本のルール遵守義務あり日本国民としての義務
手続きの難易度高(資料量が桁違い)
審査期間約4〜6か月(最近は長期化)約10〜12か月(最近は長期化)

▼永住と帰化についての具体的な比較については下記コラムをご覧ください。
「永住権の取得と帰化のメリット・デメリット」を行政書士が徹底比較!

許可・不許可の事前診断を無料で実施中
下記フォームより「事前診断希望」と一言ご連絡ください!
▼お電話での無料相談はこちらから▼
TEL:03-6821-1371
(9;00~19;00 土日祝対応可)
無料診断はこちらから

【まとめ】永住を「取る前」から始まる永住維持のポイント

永住ビザは、取得した瞬間に人生が安定する“終着点”ではありません。
むしろ、永住取得前からの準備・理解こそが、将来の取消リスクをゼロに近づける最重要ポイントです。

本記事で解説したとおり、永住取消につながる典型例は次の3つに集約されます。

① 長期出国による失効(最も多い失敗)
② 住所届出漏れによる所在不明扱い
③ 税金・保険料の悪質な未納

これらは、どれも“悪意がなくても起こる”ケースであり、特にこれから永住を目指す方は「永住後はどのように日常管理すべきか」をあらかじめ理解しておくことが非常に重要です。

さらに、永住取得後の将来設計として「帰化」の選択肢を検討する方も増えています。
長期出国が多い仕事の方、海外に家族がいる方、永住取消リスクを完全にゼロにしたい方は、帰化の方が適している場合もあります。

永住は『資格』、帰化は『国籍』。
どちらを選ぶかで、将来の安心度が大きく変わります。

永住をこれから取得する段階で、将来的な選択肢を見据えながらプランニングすることで、生活の安定・家族の安全をより確実に守ることができますので、日々上記の内容については注意していきましょう。

【永住・帰化のどちらが最適かお悩みの場合は、必ず専門家にご相談ください】

永住や帰化は、人生で何度も行う手続きではありません。
それだけに、「知らなかった」「気づかなかった」というミスが将来の取消・不許可につながる可能性があります。

  • 長期出国が多い
  • 納税・保険の管理が不安
  • 帰化と永住のどちらが合っているか分からない
  • 今の生活状況で永住審査に通るのか不安
  • 過去にトラブルや未納があった

これらに一つでも当てはまる場合は、申請前・取得前の段階で相談することがもっとも賢明な選択です。

行政書士として実務で多くの永住・帰化をサポートしてきましたが、永住取得後のトラブルや「もっと早く相談すればよかった」という方が非常に多いのが実情です。

永住も帰化も、あなたの将来の生活基盤を左右する重大な手続きです。
判断に迷っている方や、ご自身の状況が永住に適しているか不安な方は、早めにご相談ください。

お一人おひとりの状況に合わせて、永住・帰化どちらが最適なのか、最短ルートと注意点を明確にご案内いたします。

© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート

まずはお気軽にご連絡ください!≪無料相談はこちらをクリック≫

▼永住ビザについての基本解説は下記コラムをご覧ください。
【完全版】永住ビザ申請の全て:要件・必要書類・審査ポイント・不許可回避まで総まとめを徹底解説

▼永住ビザに関する記事は下記からご確認ください。「永住ビザコラム一覧」
▼帰化申請に関する記事は下記からご確認ください。「帰化申請コラム一覧」