【1】配偶者ビザの住居審査はどこまで影響する?
結論からいうと、法令上「住居は要件ではない」ものの、実務では住居が“夫婦の実態確認”の指標の1つとして扱われています。
入管が住居を見る理由は以下の通りです。
- 夫婦が本当に同居する意思があるか
- 婚姻の実態があるか(偽装結婚でないか)
- 生活基盤として安定しているか
- 家賃や生活費を含め生活能力は十分か
つまり、住居自体の「広さ・築年数・グレード」が評価対象なのではなく、その住居が夫婦の生活に“無理がないか”がチェックポイントです。
入管は、疑問点が多いと追加資料を求めたり、最悪の場合は実体不明として不許可と判断することがあります。
特に以下は審査官のチェックが厳しくなります。
- 明らかに荷物が置けないほどの極端な狭さ
- 転居直後の申請
- 実家同居の場合
- 引っ越し予定がある場合
このあと、それぞれを深掘りします。
【2】ワンルーム・狭い部屋でも許可される?
ワンルームだから即不許可、ということはありません。
しかし、「夫婦が同居する生活空間として無理がないか」が細かく見られます。
◆ワンルームでも許可されるケース
以下のような場合は、許可されるケースとなります。
【例】
- 家具配置により生活スペースが確保されている
- 二人分の荷物が収納できている
要するにワンルームでも二人が生活できる広い部屋の場合は許可が下りるケースがあります。
◆不許可リスクが上がる“危険なワンルーム”の特徴
以下のようなケースは追加資料を求められる可能性が高いです。
【例】
- 面積20㎡未満で収納スペースがほぼない
- 備え付け設備が1人用(極端に小さいキッチンなど)
- 現在別居しており「申請後に同居予定」だが部屋が狭すぎる
- 生活スペースと寝室スペースがまったく分離できない
明かに2人で生活するには十分なスペースがない(狭すぎる)と判断されるような場合には同居を疑われる可能性があります。
~狭い部屋の場合ほど「生活実態」の立証が重要になります~
狭い部屋で申請する場合は、写真等で2人分の生活空間が確保されていることを証明することができれば可能性はありますが、いずれにしても追加資料を求められたり、不許可になってしまうというリスクはあります。
将来的にも必ず引っ越しは必要になって来ると思います。
そのため、リスクが高いまま申請するのではなく引っ越しをしてお2人の生活環境を整えて万全の状況で申請することをおススメ致します。
理想として、2LDKくらいの広さの間取りがあれば問題ありません。
ただ、近年は結婚に対する考え方の多様化も見られることや、どうしても同居できない事情がある夫婦もいらっしゃいます。
その場合は、別居しなければいけない理由を明確にして説明する必要が生じますので合理的な説明書を作成して提出しましょう。
【3】転居直後の申請は危険?
転居直後の申請は、入管が最も疑うパターンの1つです。
理由はシンプルで、“夫婦の同居実態”がまだ確認できないから、ということです。
①同居期間が極端に短い(1か月未満など)の場合
この場合、申請のためだけにとりあえず形だけ整えているのではないか?と思われてしまうケースもあります。
同居の期間が短いからリスクが高い、というわけではなく、賃貸借契約書の同居者欄の部分に名前があることは大前提となりますが、
- 夫婦の写真を多数用意
- LINEやメールなどのやり取りの履歴を提出
- 夫婦それぞれの荷物が写った室内写真を提出
などの補強資料を提出することで、結婚の信憑性が高まり許可の可能性は大きく高まります。
②そもそもまだ同居していない場合
この場合は、結婚しているのになぜ同居していないのか。と、根本的な問題として疑いが強くなってしまいます。
(海外から呼び寄せる場合〔在留資格認定証明書交付申請〕は全く問題ありません。)
転居直後の申請は本来リスクが高いですが、立証の精度次第で許可率は大きく変わります。
どうやって説明したらいいかわからない場合は、そのまま進めずに専門家にご相談ください。
【4】実家同居はプラス?マイナス?
配偶者ビザの審査では、
「どこに住んでいるか」
「その住環境が夫婦の生活実態として自然か」
が重要な判断ポイントになります。
実家同居は一見すると「家賃がかからない=生活が安定している」とプラス材料のように見えますが、ケースによっては逆にマイナス要素として扱われることもあります。
ここでは、入管がどのように評価するのかをわかりやすくまとめます。
◆プラスに評価されるケース
①生活の安定性が高い場合
実家同居によって家賃負担がなく、世帯全体の収入が十分にある場合、「生活基盤が安定している夫婦」としてプラス評価となりやすいです。
- 家賃が発生しないため経済的リスクが低い
- 夫婦の生活費に余裕が出て計画的な生活が可能
- 将来の独立にも無理がないと判断されやすい
②同居の理由が自然で、説明できる場合
たとえば下記のような理由があれば、入管も不自然とは考えません。
- 親の介護やサポートが必要
- 親と協力して家事・育児を行う必要がある
- 住宅事情の関係で一時的に実家に滞在する
“家族として自然な理由” があることが重要です。
逆にマイナスに評価されるケース場合として最も多い要因としては、「夫婦の生活空間が確保されていない」ケースです。
例えば、親と夫婦が一緒に住むとなったとしてもその部屋の間取りが1LDKしかない、という場合はどうでしょうか?
このような場合は、審査官も十分な生活スペースが確保されていない、と判断してしまう可能性が高まり、追加書類や不許可リスクが高まってしまいます。
滅多にこのようなことはないと思いますが、夫婦の生活空間についてはしっかりと確保してからの申請が望ましいでしょう。
【5】引っ越し予定ありの配偶者ビザ申請戦略
「申請前に引っ越すべきか」
「許可が出てから引っ越すべきか」
これは実務でもよく相談されるポイントです。結論として、状況によって最適解が変わります。
申請戦略としては、以下の3つがあります。
≪戦略①≫申請前に引っ越して同居実態を固める→【最も安全】
≪戦略②≫今の家で申請し、許可後に転居する→【転居予定を説明】
≪戦略③≫同居前申請をするが、立証を厚くする→【ハイリスク】
行政書士の実務判断例としては、以下の通りです。
- 現在別居中 → 申請前に同居開始が最も安全
- 現在の家が狭くて不利 → 引っ越し後の方が許可率が高い
- 金銭的に引っ越しできない → 追加資料で強力に補強
転居予定がある場合の説明文のポイントとして、
- いつ引っ越す予定か
- 理由(部屋が狭い、職場が遠い等)
- 新居の候補がある場合は情報を添付
- 現住所での生活が不可能ではない点も説明する
といったポイントの説明文があるだけで審査官の印象は大きく変わりますのでしっかりと準備していきましょう。
【まとめ】住居は“要件ではない”が許可率を大きく左右する
配偶者ビザの審査において、住居そのものが法律上の条件になるわけではありません。
しかし、住居は審査官が 「本当に夫婦として生活しているか」を判断する最も分かりやすい指標 のひとつです。
この記事で解説したように、
- ワンルーム・狭い部屋
- 転居直後の申請
- 実家同居
- 別居状態
- 引っ越し予定あり
これらはすべて、「説明の仕方」や「提出書類」で許可率が大きく変わります。
住居が不利な状況でも通ることは可能ですが、誤った説明や資料不足は、そのまま“不許可”につながるリスクが極めて高い部分 です。
特に、
- 同居実態の立証
- 補強資料の取り方
- 説明文の書き方
- どのタイミングで申請すべきか
これらは家庭ごとに最適解がまったく異なります。
【住居に不安がある状態での申請は、想像以上に不許可リスクが高くなります。】
「この部屋で大丈夫かな?」
「転居直後だけど出していい?」
「説明はこうで良い?」
その“少しの不安”が審査結果を大きく左右します。
当事務所では、お一人おひとりの住居状況に合わせて最も通りやすい申請戦略を設計し、審査官が納得する説明文まで完全サポートしています。
住居が不利でも、正しい立証をすれば許可の可能性は十分あります。
不安を抱えたまま提出して手遅れになる前に、一度ご相談ください。
最初の一歩を間違えなければ、配偶者ビザは必ず許可に近づきますので、まずはお気軽にご相談ください!
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