【1】大学中退の留学生でも日本企業に就職できる?
外国人が日本企業に就職する際に利用される代表的な在留資格の一つが、「技術・人文知識・国際業務」です。
一般的には「技人国」と呼ばれています。
技人国を取得するためには、採用後に従事する業務が技人国の対象となることに加え、業務の内容に応じて学歴や実務経験などの要件を満たす必要があります。
大学を中退している場合、大学卒業による学歴要件を利用することはできません。
しかし、大学中退者であっても、それまでの学歴や実務経験によって技人国の要件を満たせるケースがあります。
そのため、「大学中退だから就労ビザは取得できない」と一律に判断するのは適切ではありません。
重要なのは、大学中退という経歴だけではなく、本人のこれまでの学歴・職歴と、採用後に担当する業務を総合的に確認することです。
【2】大学中退でも技人国を取得できる主なケース
大学を中退していても、次のような経歴があれば、技人国を取得できる可能性があります。
①日本の大学は中退しているが、海外の大学を卒業している
例えば、母国の大学を卒業した後、日本の大学へ留学し、その大学を中退して日本企業へ就職するケースです。
この場合、日本の大学は卒業していなくても、海外の大学を卒業していることによって学歴要件を満たせる可能性があります。
そのため、大学中退者を採用する場合には、日本の大学の在籍状況だけでなく、来日前の学歴についても確認することが重要です。
なお、海外の教育機関については、その学校が大学として認められる教育機関なのかなど、個別に確認が必要になる場合がありますので注意しましょう。
②4年制大学は中退しているが、短期大学を卒業している
4年制大学を中退していても、それ以前に短期大学を卒業している場合があります。
このようなケースでは、4年制大学の中退歴だけで判断するのではなく、短期大学を含めた本人の学歴全体を確認する必要があります。
③大学は中退しているが、日本の専門学校を卒業している
大学へ進学する前などに、日本の専門学校を卒業しているケースもあります。
日本の専門学校を卒業して一定の要件を満たしている場合には、専門学校で修得した内容と関連する業務について、技人国を取得できる可能性があります。
この場合は、専門学校を卒業しているかだけでなく、専門学校で何を学んだのか、採用後にどのような仕事をするのか、その関連性を確認することが重要です。
④大学は中退しているが、一定の実務経験がある
学歴による要件を満たせない場合でも、仕事内容によっては、一定年数以上の実務経験によって技人国の要件を満たせる可能性があります。
ただし、単に「長年働いていた」というだけでは十分ではありません。
「これまでの実務経験が、今回日本企業で従事する予定の業務と関連しているか」が重要になります。
そのため、実務経験によって申請する場合には、職歴だけでなく、過去に具体的にどのような業務を担当していたのかまで確認する必要があります。
【3】大学中退後は「留学」の在留資格にも注意
大学中退の留学生を採用する場合、就労ビザの取得要件だけでなく、現在の「留学」の在留資格についても注意が必要です。
①大学を中退すると「留学」の在留資格の前提を失う
「留学」の在留資格は、日本の大学や専門学校などの教育機関で教育を受ける活動を行うことを前提としています。
そのため、大学を中退すると、「留学」の在留資格を基礎づけていた学生としての活動を行っていない状態になります。
また、留学の在留資格を持つ外国人が資格外活動許可を取得してアルバイトをしていた場合も注意が必要です。
資格外活動によるアルバイトは、留学の在留資格による活動を前提として認められているものです。
したがって、
大学を中退する
↓
「留学」の在留資格を基礎づける活動を行わなくなる
↓
資格外活動として行っていたアルバイトも継続できなくなる
という点に注意が必要です。
そのため、「これまでアルバイトとして働いていたから、そのまま正社員として採用できる」と考えるのは危険です。
大学中退後に日本企業で働くためには、技人国など、就労を認める在留資格への変更を検討する必要があります。
②大学中退後は在留資格取消しにも注意
大学を中退して教育機関で教育を受ける活動を行わなくなった場合、「留学」の在留資格との関係で、在留資格取消しにも注意が必要です。
入管法上、正当な理由なく、在留資格に応じた活動を継続して行っていない場合には、在留資格取消しの対象となる可能性があります。
特に、正当な理由なく「留学」の在留資格に該当する活動を行わない状態が3か月以上続くと、在留資格取消しの対象となる可能性があるため注意が必要です。
そのため、大学中退後に何も手続きをせず、「留学」の在留資格のまま日本に滞在し続けることは避ける必要があります。
企業側も、大学中退者を採用する場合には、中退した時期や現在の在留資格、在留期限、中退後の活動状況などを確認しておくことが重要です。
\大学中退の留学生を採用する場合は、採用前の確認が重要です/
ここまで解説したように、大学中退の留学生であっても、本人の学歴や実務経験によっては技人国を取得できる可能性があります。
一方で、大学中退後は「留学」の在留資格や資格外活動にも注意が必要です。
そのため、企業が採用を進める際には、「大学中退」という事実だけで判断するのではなく、本人のこれまでの学歴・職歴、採用予定の仕事内容、現在の在留資格などを確認したうえで、就労ビザへの変更が可能かを検討することが重要です。
「この人を採用したいけれど、就労ビザを取得できるのか分からない」という場合は、採用を決定する前に、専門家へ相談しておくことをおすすめします。
ひらま行政書士事務所では、外国人の就労ビザに関するご相談を承っています。
留学生の採用についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
【4】大学中退の留学生を採用する前のチェックポイント
大学中退の留学生を採用する場合、企業は次の事項を確認しておくとよいでしょう。
□ 大学以外の学歴・卒業歴を確認したか
海外の大学、短期大学、日本の専門学校などの卒業歴がないか確認します。
□ これまでの職歴・実務経験を確認したか
学歴だけでなく、これまでどのような仕事をしてきたのかも確認します。
□ 採用予定の仕事内容を確認したか
実際に担当する業務が技人国の対象となる仕事内容なのかを確認します。
□ 学歴・実務経験と採用予定業務の関連性を確認したか
学歴や実務経験を要件として申請する場合、それらと採用予定業務との関連性を確認する必要があります。
□ 現在の在留資格・在留期限を確認したか
現在の在留資格が「留学」の場合は、大学を中退した時期や中退後の活動状況についても確認しておきましょう。
特に重要なのは、「大学中退」という一点だけで採用可否を判断しないことです。
大学を中退していても、海外大学の卒業歴や専門学校の卒業歴、実務経験などによって、就労ビザを取得できる可能性があります。
一方で、就労ビザの要件を満たさないまま採用すると、在留資格変更が不許可となり、予定していた勤務を開始できなくなる可能性もあります。
【まとめ】大学中退でも、経歴によっては就労ビザを取得できます
大学中退の留学生であっても、大学中退という事実だけを理由に、日本企業への就職や就労ビザの取得ができなくなるわけではありません。
海外の大学卒業歴や専門学校卒業、一定の実務経験など、本人の経歴によっては技人国の要件を満たせる可能性があります。
例えば、
- 海外の大学を卒業している
- 短期大学を卒業している
- 日本の専門学校を卒業している
- 一定の実務経験がある
などの場合には、大学卒業以外の要件によって技人国を取得できる可能性があります。
ただし、大学中退後は「留学」の在留資格や資格外活動にも注意が必要です。
そのため、大学中退の留学生を採用する場合には、本人の学歴・職歴だけでなく、採用予定の業務や現在の在留資格まで含めて、就労ビザの取得可能性を判断することが重要です。
「大学中退だから難しい」と一律に判断するのではなく、本人の経歴と採用予定業務を具体的に確認することが、適切な外国人採用につながります。
\大学中退の留学生の採用でお悩みなら、採用前にご相談ください/
大学中退の留学生については、学歴だけを確認しても、就労ビザを取得できるかどうかを判断できないケースがあります。
海外大学の卒業歴、専門学校での学習内容、これまでの実務経験、採用予定の仕事内容などを一つひとつ確認し、どの要件で申請できるのかを検討する必要があります。
また、現在「留学」の在留資格を持っている場合には、大学を中退した時期や中退後の活動状況など、在留資格についても確認しておかなければなりません。
「採用したい人材がいるけれど、就労ビザを取得できるのか分からない」
そのような場合は、採用を決定する前にご相談ください。
ひらま行政書士事務所では、外国人の就労ビザ申請を専門業務として取り扱っています。
候補者の学歴・職歴・現在の在留資格・採用予定業務などを確認し、就労ビザ取得の可能性を検討したうえで、申請に向けたサポートを行っています。
採用後に「ビザが取れない」と分かることを避けるためにも、採用を決定する前の段階でご相談いただくことをおすすめします。
大学中退の留学生の採用についてお悩みでしたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
⇓
【\無料相談・無料事前診断実施中/】
▼こちらのブログをご覧になられた方は下記にブログもご覧になられてます。▼
【技人国ビザ】N2は必須?2026年4月15日から日本語要件が正式追加|対象範囲・証明方法・企業対応を解説
就労ビザ(技人国)雇用理由書の書き方完全ガイド|不許可・追加資料を防ぐ実務ポイント
外国人雇用後に企業が行う手続きガイド|在留資格・届出・管理実務を解説