「永住ビザを取りたいけれど、書類が多すぎて心配」「不許可になるとどうなるの?」
そんな疑問を抱えていませんか?
永住許可申請は、在留資格の中でも最もハードルが高い部類に入ります。必要書類が多く、揃えるだけでも時間と労力がかかるうえ、理由書の出来や過去の生活履歴が結果を左右するため、自己流では思わぬ落とし穴にはまることも。
本記事では、必須書類の一覧から理由書の書き方のコツや不許可になりやすい事例まで徹底解説しますので是非参考にしてください。

① 永住ビザ申請の必須書類

今回は【原則】である就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」。「技能」等)から永住ビザに変更する際の必要書類をご紹介します。(家族滞在の在留資格からの変更も同様)
永住許可申請で共通して必要な書類は以下の通りです。

≪原則≫
【1】永住許可申請書(所定様式)
【2】顔写真(4cm×3cm)
【3】在留カード 提示
【4】パスポート 提示
【5】申請人を含む世帯(家族全員)の住民票(世帯全員分)
【6】申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
(1)会社等に勤務している場合
在籍証明書
(2)自営業である場合
・確定申告書控えのコピー
・営業許可書のコピー(ある場合)
(3)無職等、その他の場合
職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料
【7】直近(過去5年分)の申請人及び申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
(1)住民税の納付状況お証明する資料
・直近5年分の課税証明書及び納税証明書(直近1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) ※直近5年以内に引っ越しがある方はご注意下さい。
・直近5年間において住民税を適正な時期に収めていることを証明する資料(領収証や通帳の写し等)
(2)国税の納付状況を確認する資料
源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3)
※ 住所地を管轄する税務署から発行されるものです。税務署の所在地や請求方法など,詳しくは国税庁ホームページをご確認ください。
※ 納税証明書(その3)は,証明を受けようとする税目について,証明日現在において未納がないことを証明するものですので,対象期間の指定は不要です。
(3)その他
・預金通帳のコピーなど
【8】申請人又は申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
(1)直近2年間の年金の支払い状況が分かる資料
ア:「年金定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)
イ:ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面
※日本年金機構のホームページから,ねんきんネットに登録することができます。
ウ:国民年金保険料領収証書のコピー
(2)健康保険の加入状況が分かる資料
健康保険証の両面コピー
※ 保険者番号及び被保険者等記号・番号が記載されている書類(写しを含む。)を提出する場合には,これらの番号の部分を黒塗りするなど,保険者番号及び被保険者等記号・番号を復元できない状態にした上で提出してください。
(3)直近2年以内に国民年金に加入していた期間がある場合
国民年金保険料領収証書(写し)
※直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は,当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。
提出が難しい場合、その理由を記載した理由書を提出してください。
【9】身元保証書(保証人の署名押印)
保証人の職業、所得を証明する資料も必要です。
【10】身元保証人の住民票
【11】理由書(任意書類ですが実務上は必須です)
永住を希望する理由を記載してください。
【12】了解書
入国管理局のホームページから取得することが可能です。

特に「理由書」は、申請人のバックグラウンドを補強する資料です。事務的な書類だけでは伝わらない“人となり”や“日本で生活する意義”を示す武器になるため、プロの行政書士でも最も力を入れる部分です。就労系在留資格から永住を目指す場合は、収入や勤務先の安定性がカギとなります。ご相談いただく際に、自分が勤めている会社は大企業だから安心と考えている方がよくいらっしゃいますが、それは誤解です。実際には、会社の規模よりも本人の安定収入と納税実績が重視されます。

上記の書類に加えて必要に応じて下記の資料をご用意ください。

・最終学歴の卒業証明書のコピー(専門学校、大学、大学院卒の場合)
・日本語検定合格証のコピー
・源泉徴収票
・会社の決算書(必要に応じて)
・会社の登記事項証明書
・不動産の登記事項証明書(不動産を所有している場合)

など。

② 書類収集でつまずきやすいポイント

実務でよく見られるトラブルをまとめます。

  • 自治体による記載内容の違い:「課税証明書」に年収が記載されないケースがある
  • 古い書類は無効:発行から3か月以内が原則
  • 翻訳ミス:外国語書類を自己翻訳すると誤訳で不審を招く
  • 納税履歴の不備:過去に滞納や延納があると大きなマイナス

これらは小さなミスに見えても、審査官の印象を大きく損ねかねません。

③理由書の書き方のコツ

理由書は「申請人がなぜ永住を希望するのか」を自分の言葉で伝える最重要資料です。審査官は大量の申請書類を日々チェックしているため、理由書の質が印象を左右します。

書き方のポイント

経済的安定性を明確にする
→ 「○年連続で年収○百万円以上」「納税を欠かしたことがない」など数字で示す。
日本社会への貢献をアピールする
→ ボランティア活動や地域コミュニティへの参加実績等がある場合は積極的に記載。
家族との生活基盤を強調する
→ 配偶者や子どもとの安定した生活をエピソードで具体的に書く。
簡潔かつ誠実に
→ 長すぎず、誇張せず、事実を中心にまとめる。

【NGな理由書例】

  • 「永住権があれば安心だから」だけで終わっている等、具体的な理由の記載がない
  • 誤字脱字が多く、形式的に見える
  • 他人のテンプレートをそのまま流用している

などなど。「伝える力」が足りない理由書は、それだけでマイナス評価になり得ますので注意してください。

④ 不許可になりやすい事例

実務でよく見られる“不許可パターン”をご紹介します。

・納税遅延がある
→税金の滞納や分納履歴は大きなマイナス評価。
・年収が基準を満たしていない
→単身の場合でおおむね300万円未満だとリスクが高い。
・転職を繰り返している
→安定した就労状況を示せず、「生活基盤が不安定」と判断されやすい。
・婚姻の信ぴょう性に疑義がある
→同居実態が薄い、生活費を別々にしているなどは危険信号。
・犯罪歴がある
・理由書や添付書類に不備がある

→誤記・不足・矛盾があると「信用できない」と判断される。

不許可になると、再申請まで1年以上待たされるケースもあります。やり直しが効きにくい手続きだからこそ、最初の申請が重要です。
上記に一つでも当てはまる場合は、一人で申請はせずに専門家にご相談いただいた方が安全に申請できます。

⑤ 専門家に依頼するメリット

行政書士に依頼することで得られる利点は大きく4つ。
①状況に応じた最適な書類リストを提示
②理由書を“審査官が読みやすい形”で作成
③不足や矛盾を事前にチェックし、補強資料を添付
④会社・家族・役所とのやりとりを代行し、申請人の負担を軽減

特に「過去の納税履歴に不安がある方」「転職回数が多い方」は、補強資料や説明文の工夫で結果が大きく変わることも少なくありません。少しでも不安があるようであれば、一度専門家にご相談ください。

⑥まとめ

永住ビザの申請は、「書類を揃える作業」ではなく「人生設計を審査されるプロセス」です。

・理由書はストーリー性が重要
・不許可事例は納税・収入・婚姻関係に集中
・行政書士のサポートで不安を最小化できる

「自分でできそう」と思いながらも、「一度きりのチャンスを失敗したくない」と感じた方は、専門家に相談されることを強くおすすめします。

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