「配偶者ビザのまま、離婚してしまったらどうなるのだろう?」
「在留期限が残っていれば、しばらくは大丈夫?」
「定住ビザに変更すれば何とかなる?」

離婚後の配偶者ビザについて、このような不安や疑問を抱えている方は非常に多いです。
しかし実務上、離婚後の対応を一つ間違えるだけで、本来は在留できたはずのケースが不許可になることは珍しくありません。

配偶者ビザは、「結婚していた」という事実だけで維持できる在留資格ではなく、離婚が成立した瞬間から、在留資格との整合性が厳しく問われる状態に入ります。
本記事では、

  • 離婚したら配偶者ビザはいつまで有効なのか
  • 14日以内に必要な入管への届出とは何か
  • 離婚後に選べる在留資格と、その現実的な判断基準
  • 定住ビザ(離婚定住・実子定住)が許可される人・されない人の違い

について、入管実務の視点から体系的に解説しますので是非参考にしてください。

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【1】配偶者ビザは「結婚しているだけ」では維持できない

配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は、単に「婚姻届が出ている」だけで認められるものではありません。

入管が見ているのは、「法律上の婚姻 + 実体ある夫婦生活」です。
実務上、入管が確認するポイントは以下の通りです。

  • 同居しているか
  • 生活費を共にしているか
  • 夫婦としての交流が継続しているか

といったポイントを見ております。そのため、「別居が長期化している状態」や「すでに離婚協議が事実上終了している状態」では、在留資格との整合性が問題になり始めますので注意しましょう。

【2】離婚が成立したら配偶者ビザはどうなる?届出の手続きについて

配偶者ビザで在留している外国人が離婚した場合、離婚した瞬間に強制退去になるわけではありません。

離婚後も、在留カードはすぐに無効になるわけではなく、入管から自動的に退去強制が執行されることもありません。
しかし、「在留期限が残っているから大丈夫」はとても危険な考えとなります。

配偶者ビザは、「日本人(または永住者)の配偶者としての活動」を行うことを前提に許可されています。
そのため、離婚が成立した時点で、この前提条件は事実上失われた状態になります。

つまり、

  • 在留期限が残っていても
  • 形式上は配偶者ビザであっても

すでに“活動内容と在留資格が一致していない状態”と評価されてしまう可能性があります。

そのため、離婚した場合には14日以内にその旨を入管へ届け出るとともに、6ヶ月以内に配偶者ビザ以外の在留資格への変更をする必要があります

この6ヶ月以内に在留資格を変更しない場合は、入管が配偶者ビザを取り消すことができるようになります。
そのため、迅速に在留資格の変更手続きを進めることが重要です。

次章では、離婚後に必要な入管への手続きについて解説します。

【3】離婚後に必須となる入管への手続き

離婚後、最優先で行うべき手続きが「配偶者に関する届出」です。
この届出は単なる事務手続きではありません。
入管は、この届出を通じて次の点を確認しています。

  • 事実を正直に申告する人物か
  • 在留管理ルールを理解・遵守しているか
  • 将来の在留を任せられるか

つまり、今後の変更・更新審査の“信用情報”のような役割を果たします。

~届出の基本ルール~

期限:離婚成立から14日以内
届出義務者:在留資格者本人
提出先:地方出入国在留管理局

届出方法については、以下の3種類があります。

  • オンライン届出(電子届出システム)
  • 入管窓口で提出(在留カード提示)
  • 郵送提出(在留カード写し同封)

※ 実務では「オンライン or 窓口」が最も確実です。

これらの届出を怠ってしまった場合、

  • 在留資格変更が不許可
  • 更新時に「素行不良」と評価
  • 説明を求められ、立証負担が激増

等のようなリスクが伴ってしまうので、速やかに手続きを行うようにしましょう。

【4】離婚後はどのような在留資格に変更するべきか

結論からお伝えするとお一人おひとりの状況によって異なります。
主な選択肢としては、

①就労ビザ
②配偶者ビザ
③定住ビザ

等が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

①就労系ビザに変更する場合

外国人の方が大学を卒業している場合、就労系のビザの一つ「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更を検討することができます。
中には、自らビジネスを立ち上げるために経営管理ビザを取得する方もいらっしゃいます。

▼技人国ビザの取得要件はこちらのコラムをご覧ください。
技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)とは?学歴と職務が不一致でも許可される要件・実務例を行政書士が徹底解説

▼経営管理ビザの取得要件はこちらのコラムをご覧ください。
【2025年改正・最新版】新ルールになった経営管理ビザの更新についての注意点を徹底解説!

②配偶者ビザに変更する場合

離婚後に再び日本人や永住者と結婚する場合、新しく配偶者ビザの申請を行うことができます。
この場合、配偶者が変わるため、次回の在留資格更新は実質的に新規申請と同レベルの審査が行われます。

入管では、再婚後の婚姻が真実かつ安定したものかをあらためて確認するため、交際経緯が分かる写真やメッセージ履歴など、初回申請と同様の立証資料を求められます。

特に、前婚中から現在の配偶者と交際していた場合(いわゆる不倫状態)は、その経緯を隠さず説明する必要があります。
不利に見られやすいケースではありますが、理由書や証拠資料を丁寧に整えることで、許可に至る可能性はあります。

また、離婚後に交際・再婚した場合でも、交際期間が短いと「偽装結婚ではないか」と疑われやすく、審査が慎重になる点には注意が必要です。

再婚後の配偶者ビザ更新は、「更新だから簡単」というものではありません。
新規申請と同じ目線で準備することが、許可への重要なポイントとなります。

▼交際期間が短い場合の配偶者ビザ申請の注意点は下記コラムをご覧ください。
【国際結婚サポート】配偶者ビザ申請で「交際期間が短い」場合の立証方法とは?

▼再婚の場合の配偶者ビザ申請の注意点は下記コラムをご覧ください。
【永住者・日本人配偶者向け】再婚での配偶者ビザ申請の注意点と成功ポイントを行政書士が徹底解説!

③定住ビザに変更する場合

定住者ビザは、

  • これまでの婚姻の実態
  • 日本で形成された生活基盤

を総合的に考慮して判断される在留資格です。
特に、次の2つの類型は、入管実務でも明確に区別して審査されます。

  • 離婚定住
  • 実子定住

それぞれ詳しく見ていきましょう。

≪1≫離婚定住

離婚定住とは、

日本人(または永住者)との婚姻関係は終了しているものの、実体のある結婚生活が相当期間続いていた場合に、日本での定住を認める考え方です。

判断の大きな軸になるポイントとして、実務上、次の点が総合的に見られます。

  • 実態のある婚姻期間がおおむね3年以上
  • 同居・生活実態が確認できること
  • 離婚後、自立した生活を送れる収入があること
  • 税金・年金・健康保険など公的義務を履行していること
  • 日常生活に支障のない日本語能力

ここで重要なのは、戸籍上の婚姻期間ではなく婚姻の「実態」が判断されます。
例えば、

  • 長期間の別居
  • 事実上破綻した状態が続いていた期間

は、婚姻期間として評価されない可能性があります。
ただ、以下のように、日本人配偶者側に主な原因がある離婚では、3年未満でも定住が認められることがあります。

  • DV・モラハラ
  • 不貞行為
  • 著しい生活放棄

この場合、「なぜ短期間で婚姻が終了したのか」を客観資料とともに説明できるかが極めて重要です。

≪2≫日本人実子扶養定住

実子定住とは、

日本国籍の子どもがいる場合、その子どもの利益を守るために認められる定住者ビザです。
離婚定住とは異なり、婚姻期間の長短は決定的な要素ではありません。

実子定住で重視されるポイントは以下の通り。

  • 日本国籍の実子がいること
  • 親権を有している、または実質的に監護・養育していること
  • 日本で子どもを育てていく合理性があること

これらを満たしていることが重要となります。
実子定住では、

  • 収入が少ない
  • 一時的に無職

であっても、即不許可になるわけではありません。
ただし、「将来的な就労見込み」や「養育環境の安定性」を含めて説明できるかどうかで、結果は大きく変わります。
そのため、無職の場合でも新たに仕事を始めたり、仕事を探しておくことは許可の可能性を高めるので、早めに活動を開始しておくことが推奨されます。離婚後に就職活動や転職活動をする場合は、迅速な行動が大切です。

④定住者ビザ申請で失敗しやすい注意点

実務上、特に多い不許可原因が以下です。

  • 婚姻期間・別居期間の虚偽申告
  • 「日本に住みたい」という感情論のみの理由書
  • 収入・生活基盤の説明不足
  • 離婚後の届出義務を怠っている

特に、不利になりそうな事実を隠す行為は、入管審査ではほぼ確実に見抜かれてしまいますので注意しましょう。
離婚後から定住者ビザ申請までの基本的な流れは以下の通りです。

  • 離婚成立
  • 14日以内に「配偶者に関する届出」
  • 離婚定住/実子定住の該当性を整理
  • 必要書類・理由書の作成
  • 在留資格変更申請

この③の判断を誤ると、本来通るはずのケースでも不許可になるため、最も慎重に行うべきポイントです。
また、婚姻期間が短く、日本人の子どももいない場合は、定住者ビザは現実的に難しくなります。
この場合は、

  • 就労ビザ
  • 配偶者ビザ
  • 留学ビザ

など、定住ビザ以外の在留資格を検討する必要があります。

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「とりあえず定住で出してみよう」は危険です。

その判断が、後戻りできない結果につながる前に
まずは一度、専門家と一緒に“正しい選択肢”を整理してみてください。

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【5】定住ビザ変更の許可事例について

【許可事例①】日本人実子を養育し、生活基盤が安定していたケース

性別:女性
本邦在留期間:約6年
前配偶者:日本人(男性)
婚姻期間:約6年6か月
死別・離婚の別:離婚
実子の有無:日本人実子あり

【ポイント】
・申請人が親権者として実子を継続的に監護・養育
・訪問介護員として安定した収入を得ていた
・婚姻期間・生活実態・子の福祉の観点から日本定着性が高いと評価

→「実子扶養+安定収入+長期婚姻」 が評価された典型的な許可事例です。

【許可事例②】DVが原因で離婚、短期婚姻でも合理性が認められたケース

性別:女性
本邦在留期間:約8年1か月
前配偶者:日本人(男性)
婚姻期間:約4年5か月
死別・離婚の別:離婚
実子の有無:日本人実子あり

【ポイント】
・前配偶者によるDVが離婚原因
・前配偶者によるDVにより外傷後ストレス障害を発症
・申請人が親権者として実子を養育
・日本人実子の監護・養育実績あり

→「離婚原因が本人に帰責しない」「子の保護が最優先」 と判断されたケースです。

【許可事例③】実子は前配偶者が親権者だが、扶養責任を果たしていたケース

性別:男性
本邦在留期間:約8年3か月
前配偶者:日本人(女性)
婚姻期間:約7年9か月
死別・離婚の別:離婚
実子の有無:日本人実子あり

【ポイント】
・日本人実子に対して毎月3万円の養育費を継続的に支払い
・会社員として一定の安定収入あり
・親権は前配偶者

→婚姻期間が長く、日本での生活基盤が確立しており、親権がなくても「実質的な親としての責任履行」 が評価されています。

▼これらは入管が公式に発表している事例となります。不許可事例の公表もありますので、下記より、詳細をご確認ください。
「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について

入管が公式に公表している離婚定住の許可事例を見ると、判断の軸は一貫しています。
公式事例から見える「離婚定住が許可される人」の共通点は以下の通りです。

  • 実体のある婚姻生活が相当期間継続していた
  • 離婚後も日本で自立した生活基盤がある
  • 日本人実子がいる場合は、親権や監護実績が重視される
  • 親権がなくても、養育費支払など実質的な扶養責任を果たしている

逆に、婚姻実体が乏しい/生活基盤が弱い/説明不足の場合は、不許可となっています。
つまり、離婚定住は「離婚したから可・不可」ではなく、“これまでと、これからの日本での生活”をどう説明できるかがポイントとなります。

【まとめ】配偶者ビザは「離婚後の行動」が重要です

配偶者ビザは、結婚しているだけで自動的に維持できる在留資格ではありません。
入管が重視しているのは、婚姻の実態と、その後の在留活動の整合性です。
特に、離婚が成立した後は、

  • 14日以内の届出を正しく行っているか
  • 6か月以内に在留資格変更の準備ができているか
  • 就労・再婚・定住のいずれが現実的かを正しく選択できているか

といった「離婚後の対応そのもの」が、今後の在留可否を左右します。

実務上もっとも多いのが、「定住者ビザを選べば何とかなるだろう」と安易に考え、本来通るはずのケースでも、不許可になってしまう例です。
定住者ビザ(離婚定住・実子定住)は、誰でも取得できる在留資格ではありません。

  • 実体のある婚姻生活があったのか
  • 日本で形成された生活基盤がどれだけ強いか
  • 離婚理由や現在の生活状況を、客観的に説明できるか

これらを総合的・立体的に整理できてはじめて、許可の可能性が生まれます。
離婚後の在留資格は、「時間が経てば何とかなる」ものではなく、最初の判断と動き方がすべてと言っても過言ではありません。

離婚後の在留資格で迷っている方へ

離婚後の在留資格について、

  • 自分は定住ビザに該当するのか
  • 就労ビザへ変更した方が安全なのか
  • そもそも今、何から手を付けるべきか

このように悩まれている方は非常に多いです。
実際の入管実務では、同じ「離婚」という状況でも、判断を一つ間違えるだけで結果が真逆になるケースが少なくありません。

  • 婚姻期間が短い
  • 別居期間がある
  • 収入が不安定・無職期間がある
  • DVや不貞など、説明が難しい事情がある

このような事情がある場合ほど、自己判断で申請を進めることは大きなリスクになります。
当事務所では、配偶者ビザ・離婚定住・実子定住を専門として、

  • 今の状況で現実的に取れる在留資格は何か
  • 定住申請すべきか、それとも別ルートを選ぶべきか
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「まだ大丈夫だろう」と思っている今が、実は一番、判断を誤りやすいタイミングです。
取り返しがつかなくなる前に、一度、専門家と一緒に状況を整理してみてください。

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