【1】子どもの国籍は何で決まるのか?「生地主義・血統主義」とは
国際結婚で子どもが生まれた場合、まず理解すべきなのが「国籍はどの基準で決まるのか」という点です。
ここを誤解したまま手続きを進めてしまうと、本来取得できたはずの日本国籍を失うという重大な結果につながりかねません。
①日本は「血統主義」を採用
日本の国籍法では、「どこで生まれたか」ではなく、出生時に父または母のどちらかが日本国籍であるかを基準に国籍を判断します。
これを「血統主義」といいます。
たとえば、
- 【日本人の父】と≪外国人の母≫の間に生まれた子
- 【日本人の母】と≪外国人の父≫の間に生まれた子
このいずれの場合も、出生地が日本でも海外でも、原則として日本国籍を取得できます。
②「生地主義」とは?
一方、アメリカやカナダなどでは、「生まれた場所」を重視する「生地主義」を採用しています。
この制度では、両親が外国人であっても、その国で生まれたという事実だけでアメリカやカナダの国籍を取得します。
しかし、日本は生地主義を採用していません。
そのため、出生地が日本であっても、父母のいずれも日本人でなければ、日本国籍は取得できないという点は、必ず押さえておきましょう。
【2】二重国籍と国籍留保の関係について
国際結婚家庭では、出生と同時に日本国籍と外国籍を併せ持つ「二重国籍」となるケースが少なくありません。
特に注意すべきなのが、外国で出生した場合の国籍留保の手続きです。
①なぜ国籍留保が必要なのか
日本は血統主義を採用していますが、生地主義を採用している国で出生すると、その国の国籍も自動的に取得します。
この場合、日本側で所定の手続きを行わなければ、日本国籍を取得しなかったものとして扱われる可能性があります。
≪国籍留保の具体的な手続き≫
外国で出生した子どもが日本国籍を保持するためには、出生届と同時に国籍留保の意思表示を行う必要があります。
実務上の要点は次のとおりです。
提出期限:原則として出生から3か月以内
提出先:
現地の日本大使館・領事館
または日本の本籍地の市区町村役場
手続き方法:
出生届の「その他」欄に
「日本の国籍を留保する。」と明記し、署名・押印する
この記載がない場合、期限内であっても、国籍留保が認められないリスクがあります。
国籍留保を行い、二重国籍となった子どもについては、いずれ国籍を選択する義務があります。
一般的に多いケースである「18歳未満で重国籍となった場合」には、20歳に達するまでに、日本国籍または外国国籍のいずれかを選択するとされています。
この点を誤解し、「すぐにどちらかを選ばなければならない」と思い込んでいる方も多いのですが、出生直後に判断を迫られるわけではなく、子供自身が度の国籍を選ぶのかしっかりと意思を持って判断できるようになっております。
【3】日本人×外国人の間に生まれた子の国籍判断
子どもが日本国籍を取得できるかどうかは、「父母の国籍」だけでなく、出生時点での婚姻関係が大きく影響します。
①父母のどちらかが日本人で、婚姻が成立している場合
父または母のいずれかが日本人で、かつ出生時に法律上の婚姻関係が成立していれば、子どもは原則として出生により日本国籍を取得します。
このケースでは、出生届を期限内に提出すれば、国籍面で大きな問題になることは多くありません。
②婚姻前に子どもが生まれた場合の注意点
注意が必要なのは、婚姻が成立する前に子どもが出生したケースです。
母が日本人の場合
→ 出生届の提出により、日本国籍を取得できます。
父が日本人・母が外国人の場合
→ この場合、出生届だけでは日本国籍を取得できません。父親から認知してもらい、別途「国籍取得届」等の手続きが必要になる可能性があります。
この他にも相手国との関係ですぐに婚姻届を受理してもらえず、「受理伺い期間」となりその間に子どもが出生した場合、法律上は「婚姻前の出生」と扱われる可能性があります。
その結果、出生による日本国籍取得ができず、別途、国籍取得手続きが必要になるといった問題が生じることがあります。
国籍留保や出生届は、期限と順序が非常に重要です。
- 出産後の忙しさで期限を過ぎてしまった
- 記載方法を誤ってしまった
こうした理由で、本来不要だったはずの在留資格申請が必要になるケースも、実務では少なくありませんので注意しましょう。
【4】日本国籍を取得しない場合、子どもの在留資格はどうなる?
前章までで見てきたとおり、国際結婚家庭の子どもが必ず日本国籍を取得できるとは限りません。
国籍留保をしなかった場合や、出生時の状況によって日本国籍を取得できなかった場合には、日本で生活するための在留資格を検討する必要があります。
①原則は「日本人の配偶者等」または「定住者」
日本人の親がいる子どもで、日本国籍を取得しなかった場合、実務上よく検討される在留資格は次の2つです。
- 日本人の配偶者等
- 定住者
どちらが適切かは、
- 日本人親との親子関係
- 同居・扶養の実態
- 出生の経緯(婚姻前・後、認知の有無)
などを総合的に見て判断されます。
特に、父が日本人・母が外国人で、婚姻前に出生した子どもの場合は、「国籍」だけでなく「在留資格」も慎重に整理しなければなりません。
②「家族滞在」が認められるケースも
子どもの在留資格を検討する際、原則としては「日本人の配偶者等」や「定住者」が検討対象になるケースが多いものの、一定の条件下では「家族滞在」が選択肢となる場合もあります。
家族滞在が検討される典型例としては、たとえば、次のようなケースです。
- 両親ともに外国籍で、日本国籍を有する親がいない
- 父母のいずれかが就労ビザ等で在留しており、その扶養を受ける形で在留する場合
- 日本人親との身分関係が法的に認められていない(認知未了等)
このような場合には、「就労ビザを持つ外国人の扶養を受ける子」として、家族滞在が認められる余地があります。
③ 在留資格取得が必要になる典型例
実務で多いのは、次のようなケースです。
- 国籍留保を失念し、日本国籍を取得できなかった
- 婚姻前出生で、出生による国籍取得ができなかった
- 認知・国籍取得の手続きが間に合わなかった
本来、日本国籍を取得できたはずのケースでも、期限や手続きのミスにより「外国籍のまま」になってしまうことは珍しくありません。
その場合、日本での生活を継続するには、速やかに在留資格の整理が必要になります。
【5】子どもの国籍・在留資格でよくある実務上の落とし穴
子どもに関する手続きは、「あとから何とかなる」と思われがちですが、実際には取り返しがつかないケースも存在します。
~よくある落とし穴~
- 出生届は出したが、国籍留保の記載をしていなかった
- 大使館と市区町村、どちらに何を出すのか混同していた
- 婚姻成立時期の認識がズレていた
- 相手国の法制度を考慮せず手続きを進めてしまった
こうしたミスが重なると、
- 本来不要だった在留資格申請が必要になる
- 子どもが一時的にオーバーステイ状態になる
- 将来の永住・国籍選択に影響が出る
といった深刻な問題に発展することもあります。
国籍・在留資格は「後戻りができない分野」だからこそ、出生前後の段階で、全体像を整理しておくことが重要です。
【まとめ】国際結婚の「子ども」の手続きは国籍と在留資格をセットで考える
国際結婚家庭における子どもの手続きは、
- 国籍
- 在留資格
- 出生時の婚姻関係
- 各国の法制度
が複雑に絡み合います。
「日本人の子だから大丈夫」
「日本で生まれたから問題ない」
こうした思い込みが、後々大きなトラブルにつながることも少なくありません。
特に、
- 国籍留保の要否
- 日本国籍を取得できない場合の在留資格
- 認知・婚姻のタイミング
これらは事前に整理しておくことで、ほとんどのリスクを回避できます。
\ 国籍・在留資格の整理は早めの相談が重要です /
子どもの国籍や在留資格は、一度選択や期限を誤ると、後から修正できないケースが多い分野です。
- この出生状況で日本国籍は取れるのか
- 国籍留保は必要か
- 在留資格を申請すべきか、それとも不要か
こうした判断を、自己判断で進めるのは非常に危険です。
当事務所では、国際結婚・配偶者ビザを専門とする行政書士が、
子どもの国籍・在留資格を含めた全体設計をサポートしています。
「今の状況で、何をすべきか整理したい」
「将来の永住や国籍選択まで見据えて相談したい」
という方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
状況を丁寧にヒアリングしたうえで、最適な手続きをご案内いたします。
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