【1】不法滞在(オーバーステイ)と永住申請の基本的な考え方
不法滞在(オーバーステイ)とは、在留期限を過ぎても日本に滞在し続ける行為を指します。
入管法上は明確な違反であり、永住審査では必ず確認される履歴となります。
永住許可では、主に以下の要件が審査されます。
- 素行が善良であること
- 日本で安定した生計を営んでいること
- 将来にわたり法令を遵守すると見込まれること
不法滞在歴がある場合、これらの要件について通常よりも厳格な視点で再チェックされると考えてください。
ただし、ここで重要なのは、
不法滞在があった=永住申請ができない、ではない
という点です。
特に在留特別許可を受けて合法在留に戻っている場合、入管は「過去」よりも現在と将来の安定性を重視します。
よくある誤解として「在留特別許可から10年経たないと永住できない」という話がありますが、法律上そのような明文ルールは存在しません。
実際には、年数ではなく、現在の生活状況と信頼性が判断材料になります。
【2】在留特別許可後、いつから永住申請を検討できるのか
日本人の配偶者等の在留資格を持つ方の場合、永住申請の一つの目安は次のとおりです。
- 婚姻期間が3年以上
- 日本での同居が1年以上
- 現在の在留期間が「3年」以上
が一つの目安とされています。
ただし、これはあくまで「形式的な条件」つまり最低ラインにすぎません。
不法滞在歴がある場合、「要件を満たした=すぐ出すべき」ではありません。
入管はさらに踏み込んで、
- 婚姻生活が安定して継続しているか
- 納税・年金・健康保険など公的義務を誠実に履行しているか
- 収入・職業・生活基盤が長期的に安定しているか
といった点を総合的に見ています。
実務では、
- 在留特別許可 → 配偶者ビザ変更後3年程度で許可
- 4~5年生活実績を積んでから許可
いずれのケースも存在します。
重要なのは「年数」ではなく、生活の安定が“説明できる状態”になっているか、という点が許可判断のポイントとなっております。
▼配偶者ビザから永住ビザへの変更する詳細については下記コラムをご覧ください。
【最新】配偶者ビザから永住ビザに変更する際の注意点を徹底解説!
【3】「不法滞在歴」をどう評価して永住申請すべきか
不法滞在歴がある永住申請では、入管は単純に「違反があったかどうか」だけで判断していません。
実務上の思考プロセスは以下のような流れで申請内容を確認しています。
滞在超過の期間、発覚の経緯(自主出頭か摘発か)、虚偽申告など他の違反がなかったかを確認し、過去のリスクの大きさを整理します。
次に、不法滞在に至った原因が現在の生活では解消されているかを見ます。
住居・就労・収入・家族関係などが安定し、同じ状況に再び陥る可能性がないかが評価されます。
納税・社会保険・収入・家族関係といった一般的な永住要件を本格的にチェック。
不法滞在歴がある場合、この基準は通常より入念にチェックされますので注意が必要です。
要件を満たしていても、実績が浅い、直近で環境変化があると判断されれば、「今回は見送り」となることもあります。
永住審査では、「永住できるか」と「今、永住を許可してよいか」は別物であるため、事前に専門家に確認はしておいた方がより安全に申請を進められます。
【事例】”申請時期を誤ったことで不許可になりやすいケース”をご紹介
在留特別許可を経て、日本人配偶者として数年間安定して生活していたAさん。
納税や年金もきちんと納めており、「そろそろ永住できるのでは」と考え、ご自身で永住申請を行いました。
しかし、申請から数か月後に届いた結果は不許可。
不許可理由は「要件不足」ではなく、生活状況や過去の在留経緯についての説明が不十分というものでした。
具体的には、
- 不法滞在に至った経緯の説明が簡潔すぎた
- 再発防止についての説明が感覚的で、客観資料が乏しかった
- 直近の転職について、将来の安定性を示す補足がなかった
といった点が重なり、「今このタイミングで永住を許可してよいとは判断できない」という評価に至ったのです。
その後、専門家に相談したところ、「内容自体は悪くないが、もう1〜2年実績を積んでから出していれば、許可の可能性は高かった」という見解でした。
Aさんは現在、生活実績を積み直したうえで、再申請を目指していますが、「最初に相談していれば、不許可という履歴を残さずに済んだかもしれない」と振り返っています。
【4】永住申請を今すぐ出すべきでない典型的なケースと対処法
以下に当てはまる場合、申請は慎重に検討すべきです。
- 在留特別許可からの期間が短い
- 納税・年金・保険に未整理の期間がある
- 転職・収入変動が頻繁
- 夫婦関係や同居実態の説明に不安がある
永住申請は一度不許可になると、「時期尚早だった」という履歴が残ります。
ダメ元申請は、最も避けるべき選択です。
一方、不法滞在歴があっても永住の可能性が高まる人の共通点としては下記のようなポイントが挙げられます。
- 長期間、安定した在留実績がある
- 公的義務を継続的に履行している
- 家族関係・生活実態に疑義がない
- 生活の全体像を一貫して説明できる
これらが揃うことで、過去の違反よりも「現在の信頼性」が評価される段階に入ります。
そのため、オーバーステイ歴がある方に関しては永住申請する前に、
- 婚姻・同居の実体資料
- 世帯としての生計安定性
- 納税・社会保険の完全履行
- 不法滞在に至った経緯と再発防止の説明
- 将来の生活設計
というような資料を整理しておくことが重要となります。
【5】よくある質問5選
- オーバーステイが1日でもあると永住申請に影響しますか?
1日でもオーバーステイがあった事実は、永住審査では「在留管理違反」として記録上考慮されます。
ただし、期間・経緯・その後の在留状況によって評価は大きく異なり、即不許可になるわけではありません。
- 不法滞在の記録は何年で消えますか?
不法滞在の記録が一定期間で自動的に「消える」ことはありません。
永住審査では、過去の在留履歴全体が確認されます。そのため「何年経てば大丈夫」という単純な基準はなく、現在の生活状況との総合評価になります。
- オーバーステイ後に結婚した場合、永住は有利になりますか?
日本人や永住者との結婚は、生活の安定性という点ではプラス評価になり得ます。
しかし、不法滞在の事実そのものが免除されるわけではありません。
結婚「だけ」で永住が許可されることはなく、総合的な判断が行われます。
- 永住申請で不法滞在歴を隠すとどうなりますか?
強くおすすめしません。
申請書の内容と入管の記録は照合されるため、虚偽や記載漏れが判明すると
不許可だけでなく、信用低下につながる可能性があります。
- オーバーステイ歴があると、永住申請で追加資料を求められますか?
はい、求められるケースは少なくありません。
生活状況説明書や、過去の在留経緯に関する補足説明を追加で求められることがあります。
【6】なぜ不法滞在歴がある永住申請ほど専門家判断が重要なのか
不法滞在歴がある永住申請では、「どこまで説明するか」「どこは触れないか」の判断が極めて重要です。
説明しすぎてリスクを広げてしまうケースも、実務では少なくありません。
専門家が関与することで、
- 申請時期の見極め
- 強み・弱みの整理
- 説明構成の最適化
が可能になり、許可可能性を現実的に高めることができます。
【まとめ】不法滞在の過去より「今とこれから」が永住審査を左右する
不法滞在(オーバーステイ)の過去があると、永住申請に対して強い不安を感じるのは自然なことです。
確かに、不法滞在歴は永住審査において軽視されるものではありません。
しかし、実務上の審査は、
「過去に違反があったか」
ではなく
「その後、どれだけ安定した生活を積み重ねてきたか」
という視点で行われています。
在留特別許可を経て、現在は適法に在留し、納税・社会保険・就労・家族生活を誠実に続けているのであれば、永住の可能性が完全に閉ざされているわけではありません。
一方で、不法滞在歴がある永住申請では、
- 申請する「タイミング」
- 説明すべき内容と、整理すべきリスク
- 書類構成のわずかなズレ
によって、「本来は可能性があったはずの申請」が見送られてしまうケースも少なくありません。
永住申請は、「条件を満たしたら出すもの」ではなく、「今この状態で出すべきかを見極めてから出すもの」です。
特に、不法滞在という過去を抱えている場合は、慎重すぎるくらいが、結果的に一番の近道になることもあります。
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不法滞在の過去がある永住申請では、「出せるかどうか」以上に「今、出してよい状態かどうか」の判断が重要です。
- もう申請しても問題ないのか
- もう少し実績を積むべきなのか
- どこを整理すれば永住が現実的になるのか
これらは、ネット情報だけでは判断できません。
当事務所では、在留特別許可後・オーバーステイ歴がある方の永住申請に特化した視点で、現在の状況を個別に確認し、申請可否を診断しています。
「ダメ元で出して後悔する前に」
「不許可という履歴を残す前に」
まずは一度、今の立ち位置を整理してみませんか。
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