【1】就労ビザでは、原則として「学歴要件」が求められる
就労ビザの中でも、企業からの相談が最も多い在留資格が技術・人文知識・国際業務 です。
この在留資格は、原則として「専門的知識を有していること」 が前提とされており、その判断基準としてまず確認されるのが 学歴 です。
入管が想定している「標準的な学歴要件」として、一般的には、以下のいずれかに該当することが想定されています。
- 海外または日本の大学を卒業している
- 日本の短期大学を卒業している
- 日本の専門学校を卒業し「専門士」の称号を取得している
このため、大学や専門学校を出ていないと就労ビザは取得できない、と誤解されがちですが、実は入管法上、学歴は絶対条件ではありません。
学歴を満たさない場合でも、一定期間以上の実務経験 があれば、就労ビザ申請は可能です。
ただしここで重要なのは、
誰でも使える例外ではなく、学歴要件よりも審査が厳しくなる
という点です。
過去に在職していた経歴を偽造するケースが多かったということもあり、学歴要件よりも審査が厳しくなっております。
そのような経緯も踏まえ、入管は、「学歴がない=専門性を実務で身につけた人材かどうか」を慎重に見極めます。
そのため、実務経験での申請は“代替要件”ではあるが“簡易要件”ではないという位置づけであるため、事前準備が重要となります。
【2】実務経験として認められるのは「日本で行う業務と同一内容」のみ
よくある誤解として、
社会人として10年以上働いている=実務経験10年
という考え方がありますが、入管が見ているのは社会人年数ではなく、「日本で行う予定の業務と、過去の業務内容が一致しているか」という一点を重視しております。
たとえば、
日本でマーケティング職として雇用する場合
→ 海外での営業・企画・市場分析の経験が必要
日本でITエンジニアとして雇用する場合
→ 海外でのシステム開発・プログラミング業務が必要
というような関連性が必要で、業種がズレていれば、年数がいくら長くても評価されない点に注意が必要です。
単に「会社に勤めていた」というレベルでは、実務経験とは認められず、海外で営業を経験していた場合は、日本でも営業の業務、経理を経験していたら経理の業務というように関連性が重視され、それ以外の業種には就けないと認識していただいたほうがよろしいでしょう。
この点を意識せずに申請すると、「関連性なし」と判断されてしまうリスクが一気に高まってしまいます。
①求められる実務経験年数の考え方(職種別)
実務経験で申請する場合、必要な年数は 仕事内容によって異なります。原則としては、以下のルールとなります。
技術分野・人文知識分野
→ 10年以上
主な業務の例
・システムエンジニアやプログラマー、建築系エンジニア等
・CAD・CAEのシステム解析
・海外事業部で本国会社との貿易等に係る会計業務
・輸出入動向調査や販売管理等のマーケティング支援業務
・その他各種営業職や事務職など
国際業務分野
→ 3年以上
主な業務の例
・通訳翻訳業務
・企画、広報、貿易業務
・語学教師、デザイナーなど
多くのケースでは、「原則10年」 の実務経験が必要で国際業務のみが例外的に短縮されている、という位置づけになります。
実務経験は、1社で10年でなくても、複数社を合算して10年でも問題ありません。
ただし、
- 転職期間の空白
- 業務内容が途中で変わっている期間
がある場合は、すべてが実務経験としてカウントされるわけではありません。
特に注意すべきなのが、「1日でも足りないとNG」という点です。
9年11ヶ月では、要件未達となりますので、事前の確認が重要となります。
【3】「在職証明書」の記載内容について
実務経験申請の成否を分ける最大のポイントが証明書類の準備です。
入管の審査では、「実務経験があったかどうか」はもちろんですが、「実務経験を証明できるかどうか」が問われます。
①実務経験の基本的な証明方法
実務経験は、原則として「在職証明書」によって立証します。
入管指定のフォーマットはありませんが、以下の内容はほぼ必須です。
- 本人氏名
- 国籍
- 生年月日
- 在籍期間(入社日・退社日)
- 具体的な業務内容
- 証明書発行者氏名
- 発行者の役職
- 会社名・所在地
- 代表者名・署名
- 連絡先(電話番号)
上記の中でも特に 業務内容の具体性や詳細が重要となります。また、入管は、必要に応じて
- 会社の実在性確認
- 海外企業への電話確認
を行うことがあるため、「とりあえず出せばOK」という書類ではない点に注意が必要です。
この在職証明書に記載する仕事内容の表現については、抽象的な表現は、ほぼ確実に不利になります。
例えば、
✕「営業や営業事務を担当」
◯「法人顧客向けに新規取引先の開拓、契約条件交渉、海外取引先との折衝を担当」
というようにできるだけ細かく記載してもらった方が「専門業務」として関連性があるかどうか、が判断されやすくなるため、安全です。
②計算の際の注意点
実務経験年数は、在職証明書に記載された期間を基準に計算されます。
特に注意が必要な点として、複数の会社や複数の業務に従事していた場合は本人の記憶と証明書の内容にズレが生じやすくなってしまいます。
申請の際にカウントできる実務経験年数は、これから日本で従事しようとする業務と同じ内容の期間だけとなります。
本人は色々合わせて経験年数は10年を普通に超えてると思っていても、いざ計算したら全然足りなかった、というケースも多くありますので、申請前に入念に確認しましょう。
③在職証明書が取得できない場合
実務経験が実際にあったとしても、
- 会社が倒産している
- 証明書を発行してもらえない
といった場合、残念ながら原則として実務経験として認められないため、別の方法を検討していく必要があります。
\実務経験での就労ビザ申請に不安がある方へ/
実務経験ルートは、学歴ルートよりも審査が厳しく、
在職証明書や業務関連性の証明内容が結果を大きく左右します。
実務経験年数が足りているか不安
在職証明書の記載内容が適切か分からない
業務内容の関連性をどう説明すべきか悩んでいる
不許可リスクを事前に確認したい
このようなケースでは、要件を満たしていても証明設計の不備で不許可になる可能性があります。
当事務所では、実務経験案件について、要件該当性の確認や証明書内容のチェックを行っています。
申請前の段階でもご相談可能ですので、
下記フォームより「実務経験の事前診断希望」とご連絡ください。
【4】実務経験として認められる雇用形態の考え方
意外と見落とされがちなポイントが雇用形態 です。
原則として認められる雇用形態としては、以下の形態です。
- 正社員
- 契約社員
- 派遣社員
- 会社経営者(役員含む)
といった雇用形態が前提となります。
一方で、アルバイトやパートタイムは、原則として実務経験には含まれません。
また、海外でフリーランス・個人事業主として活動していた場合でも、
- 登録証明
- 税務申告資料
- 契約書
などの、客観的資料で証明できれば実務経験として認められる可能性があります。
ただし、「実績はあるが証拠がない」という状態では、残念ながら評価されませんので注意してください。
【5】必要書類について
実務経験で就労ビザを申請する際の必要書類の代表例は以下の通りです。
(在留資格変更許可申請=日本にいる外国人のビザを変更して雇用する場合)
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート
- 在留カード
- 履歴書
- 卒業証明書(または卒業見込証明書)
- 成績証明書
- 在籍証明書
- 資格外活動許可書 等
- 在留資格変更許可申請書(所属機関作成用)
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 雇用理由書
- 履歴事項全部証明書
- 決算書
- 法定調書合計表
- 事務所パンフレットやホームページURL
- 事業計画書(新設会社や新規事業で採用する場合、直近決算が赤字の場合)
- その他補強資料
というよな書類が必要となります。
上述しましたが、実務経験申請において最も重要なのが在職証明書です。
提出できない場合は、原則として実務経験として認められません。
また注意すべき点として、
- 内容が抽象的
- 業務内容が一致しない
- 期間が不足
- 会社実在性が疑われる
といった場合、実務経験として否認されてしまうケースがあります。
そのため実務経験で申請する場合では、在職証明書の作成内容が審査結果を左右すると言っても過言ではありません。
また、履歴書でも職歴の整合性が確認されます。
履歴書は単なる経歴一覧ではなく、入管は以下をチェックしています。
- 在職証明書との期間一致
- 職務内容の整合性
- 空白期間の有無
実務経験申請では、履歴書の書き方ひとつで、経歴の信頼性を高めることができる反面、曖昧な書き方だと不自然な経歴に見えてしまうので、注意が必要です。
まとめ|実務経験ルートは「準備精度」で結果が変わる
実務経験での就労ビザ申請は、制度上は認められている正式ルートです。
しかし実際には、
- 要件の理解不足
- 書類内容の不備
- 業務関連性の弱さ
- 経歴整合性の欠如
といった理由で不許可になるケースが少なくありません。
特に実務経験案件は、
要件を満たしているか ではなく 要件を証明できるか
で結果が決まります。そしてこの「証明設計」が最も難しいポイントです。
実務経験ルートは、
- 年数計算
- 業務一致性
- 書類設計
- 企業説明
- 経歴整合性
をすべて揃える必要があります。
一見すると要件はシンプルですが、実際の審査は非常に総合的です。
そのため、説明不足が原因で要件は満たしているのに不許可というケースが現実に多く存在します。
~実務経験での就労ビザ取得に不安がある方へ~
実務経験での就労ビザ申請は、学歴ルートよりも審査が厳しく、書類設計が結果を大きく左右します。
- 実務経験年数が足りているか不安
- 在職証明書の書き方が分からない
- 業務内容の関連性が判断できない
- 不許可にならないか心配
このようなご相談は非常に多くあります。
当事務所では、実務経験案件について
- 要件該当性の事前診断
- 実務経験年数の精査
- 在職証明書の作成アドバイス
- 採用理由書の設計
- 不許可リスク分析
を行っております。
実際に今自分の状況が要件に当てはまっているのかどうか、事前に診断させていただくことができますので、まずは一度お気軽にご相談ください。
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