【1】通訳・翻訳業務はどの在留資格に該当するのか?
通訳・翻訳業務は、技人国ビザのうち「国際業務」に該当します。
ここでいう国際業務とは、
外国の文化・言語・感覚を前提とした業務
つまり、単なる言語変換ではなく、国際取引・海外業務の中で専門性を発揮する業務であることが前提です。
技人国ビザ取得の基本要件(大枠)
- 学歴または実務経験要件
- 業務内容の専門性・業務量
- 日本人と同等以上の報酬
- 受入企業の安定性・必要性
通訳翻訳は、この②で差がつきます。次章以降詳細を確認していきましょう。
▼技術・人文知識・国際業務ビザの基本要件については下記コラムをご覧ください。
技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)とは?学歴と職務が不一致でも許可される要件・実務例を行政書士が徹底解説
【2】学歴・経歴別|通訳・翻訳で技人国ビザを取得するための要件
通訳・翻訳業務は「技術・人文知識・国際業務」のうち国際業務に該当する典型例ですが、審査では単に語学力があるだけでは足りません。
入管が見ているのは、次の4点です。
- 学歴または実務経験の要件を満たしているか
- 翻訳・通訳が“専門職”として成立する業務内容か
- フルタイム相当の業務量が恒常的にあるか
- 報酬が日本人と同等以上か
ここでは、「日本の大学」「海外の大学」「専門学校」「実務経験」という4つのルートごとに、審査で本当に見られている取得要件を分かりやすく整理します。
①日本の大学を卒業した場合
結論:日本の大学卒であれば、実務経験は不要で申請可能
日本の大学・短大・大学院を卒業している外国人は、学歴要件を満たす者として扱われます。
この場合、専攻分野は原則問いません。
文学部でも、経済学部でも、理工学部でも申請可能です。
ただ学歴要件はクリアしていても、
- 翻訳・通訳が“付随業務”になっていないか
- 専門職としての業務量があるか
は別途厳しく見られますので注意が必要です。
加えて、通訳・翻訳実務に従事できるだけの能力を有していることが必要となりますので、日本語能力としてもN2程度の能力を証明する必要があります。
②海外の大学を卒業した場合
結論:海外大学卒も日本の大学卒と同様に扱われるが、「学歴の評価資料」が重要
海外の大学・短大・大学院を卒業している場合、日本語を専攻していない場合であっても、通訳・翻訳業務に従事できる可能性が高いです。
ただし日本と教育制度が異なるため、入管は次の点を確認します。
- その学校は高等教育機関として認められるか
- 学位のレベル(短大・学士・修士など)
といったポイントが確認されますが、実務上とても重要なこととして、本国で短大以上の学歴の場合は、日本語能力N2程度のレベルがほぼ必須になります。
海外大学卒は問題なく許可されるケースが多いですが、資料の出し方で評価が大きく変わるため、事前に準備しておくことが重要となります。
③専門学校を卒業した場合(専門士)
結論:専門学校卒でも可能。ただし「業務との直接的関連性」が必須
専門学校(専修学校専門課程)を修了し「専門士」を取得している場合も学歴要件として使用できます。
しかし、大学卒とは扱いが異なり、専門学校で学んだ内容と、就職後の業務内容が直接つながっているか、という点を入管は厳しくチェックします。
例えば:
■認められやすいカリキュラム
- 翻訳実務、通訳理論、専門翻訳などの実務科目
- 医療翻訳・法律翻訳など分野特化型のコース
- 実際の文書・会議を想定した専門的な言語運用訓練
- 翻訳・通訳という職業を前提にした授業内容
このような内容だと、「翻訳・通訳を専門に学習している内容として評価されやすいです。
■認められにくいカリキュラム
- 日本語会話、漢字、読解などの語学力向上中心
- 日本語学校に近い内容の授業構成
- 日常会話レベルの日本語教育
- 「日本語が上手になること」を目的としたカリキュラム
これらは「日本語を学んだだけ」と判断されてしまい専門性があるとは評価されにくくなってしまいます。
つまり、「語学を学んだ」ではなく、「翻訳・通訳という専門を学んだ」ことが必要となります。
そのため、専門学校卒で申請する場合は、
- 成績証明書
- カリキュラム内容
を用いて履修科目を示し専門性を証明していくことが、極めて重要になります。
この点を誤ると不許可になりやすくなってしまうため、申請前に確認しておきましょう。
④実務経験で立証する場合(学歴を使わないルート)
結論:学歴要件を満たさない場合、3年以上の常勤実務経験が必要
大学卒でも専門学校卒でもない場合でも、通訳・翻訳の実務経験があれば申請可能です。
必要な経験としては、以下の通り。
- 「常勤」で「3年以上」の経験
- 専門的に翻訳・通訳に従事していたこと
これらの経験が必要で、アルバイトや「たまに通訳した」は原則評価されないので注意しましょう。
この実務経験の証明方法としては、
- 具体的な業務内容(何を翻訳・通訳したか)
- 対象言語
- 常勤であること
- 週の労働時間
- 従事期間(3年以上)
などといった、内容が記載されていることがポイントとなります。
⑤どのルートでも共通して最重要となる要件
実は、学歴や実務経験よりも不許可に直結しやすい点が以下の内容です。
≪1≫業務量が十分か(最重要)
次のような業務はNGになりやすいです。
- 店舗の接客として時々外国人対応するくらい
- たまにメール翻訳
- 本業は営業や事務
- 社内連絡の通訳
これらは補助業務・単純業務と見なされてしまう可能性が高く、入管は「フルタイムの翻訳・通訳専門職か」を見ています。
≪2≫業務の専門性
評価されやすい業務例:
- 契約書・技術文書の翻訳
- 商談・技術会議の通訳
- 医療・法律・IT分野など専門通訳
- 多言語マーケティング資料
「日常会話レベル」は専門職と見なされませんので注意が必要です。
≪3≫報酬要件
日本人と同等以上であることが必要です。
最近は給与水準が上昇していることもあり、月25万円前後が一つの目安となっております。
■取得要件の整理(一覧)
| ルート | 必要要件 | 審査で見られるポイント |
|---|---|---|
| 日本の大学卒 | 学位のみでOK | 業務量・専門性の説明 |
| 海外の大学卒 | 学位+資料補強 | 日本語能力・学歴評価資料 |
| 専門学校卒 | 専門士+関連性 | 履修科目と業務の一致 |
| 実務経験 | 3年以上の常勤経験 | 証明書の記載精度 |
通訳・翻訳の技人国ビザは、「語学ができる人」ではなく「翻訳・通訳という専門職として雇用される人」かどうかが審査の核心です。
学歴や経歴の要件を満たしていても、
- 業務量が足りない
- 専門性が弱い
- 立証資料が弱い
といった場合、不許可リスクが高まりますので注意が必要です。
\その学歴・経歴、本当に通訳・翻訳ビザに使えますか?/
通訳・翻訳の技人国ビザは、
「語学ができる」ではなく、“専門職として立証できるかどうか”で許可・不許可が分かれます。
実際に不許可になる多くのケースは、学歴や経歴が足りないのではなく、
入管に伝わる形で整理できていないことが原因です。
・この専門学校の履修内容で大丈夫?
・海外大学卒だけど問題ない?
・実務経験はどこまで評価される?
こうした不安がある場合、申請前の確認が非常に重要です。
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下記フォームより「事前診断希望」とご連絡ください。
お一人おひとりの学歴・経歴が申請に使えるか、専門家が具体的に判断いたします。
【3】企業側も重要 許可・不許可を分ける職務内容の作り方について
外国人本人の学歴・経歴も重要ですが、実務上の不許可は会社側が、
この会社に、フルタイムの翻訳・通訳専門職が本当に必要か
というポイントをしっかりと説明できていないことに起因することが多いです。
つまり審査の中心は、会社側の説明にあります。いくら学歴や実務経験が十分でも、
- なぜ日本人ではなく外国人なのか
- なぜ「通訳・翻訳」を専門職として雇う必要があるのか
- その業務は一時的ではなく、継続的に発生しているのか
これを客観的資料で示せなければ、不許可リスクが高まってしまいます。
職務内容の書き方についても、単に「外国人対応」「通訳・翻訳業務」と記載するのではなく、
- 月間〇件の契約書・仕様書の翻訳業務
- 海外取引先との週〇回の商談通訳
- 技術資料・商品資料の多言語化
- 海外向けWebサイトの翻訳・更新管理
- 海外顧客からの問い合わせ対応(専門分野に関する)
等のように、業務が常態化していることが伝わる内容がポイントとなります。
さらに雇用理由書等に、
①翻訳・通訳業務が全体の何割か
→付随業務ではなく、主たる業務であることを示す。
②分野を特定する
→「医療翻訳」「技術通訳」「契約書翻訳」など、専門分野を明確にする。
といったポイントを盛り込むことによって許可率は大きく変わります。
通訳・翻訳の申請が難しいと言われる理由は、語学力の問題ではなく、会社側が“専門職としての合理性”を立証できていないことが多々あります。
これらの伝え方について、悩まれおりましたら一度専門家にご相談してみてください。
【4】申請前チェックリスト
申請前に、次の点を確認してください。
- 翻訳・通訳が付随業務になっていないか
- 月単位で業務量を説明できるか
- 専門分野を説明できるか
- 外国語対応が必要な会社である証明があるか
- 職務内容説明書が具体的か
- 雇用理由書でも説明ができているか
1つでも曖昧な場合、不許可リスクが高くなってしまいますので、そのまま進めずに一度内容を再考していただくか、やり方にご不明な点があれば専門家にご相談ください。
【5】まとめ|通訳・翻訳の技人国ビザは「専門職の立証」が重要
ここまで見てきた通り、通訳・翻訳で技人国ビザを取得する審査の本質は一貫しています。
語学ができる人かどうかではなく、
翻訳・通訳という専門職として雇用されているかどうか
この一点です。
- 学歴や実務経験の要件を満たしている
- 日本語能力も問題ない
- 会社も安定している
それでも不許可になってしまう理由としては、
- 職務内容の作り方
- 業務量の見せ方
- 専門性の伝え方
- 資料の出し方
といった点に問題があると考えられます。
実務上、通訳・翻訳の申請は「難しい」と言われますが、それは要件が厳しいからではなく、立証の仕方が難しいからです。
逆に言えば、ポイントを正しく押さえて資料を作成できれば、特別なケースでなくても十分に許可は狙えます。
しかし実際には、
- どこまで具体的に書けばよいのか分からない
- この業務量で足りるのか判断できない
- 専門性の伝え方が分からない
- 専門学校のカリキュラムが評価されるか不安
- 実務経験証明の書き方に自信がない
このような不安を抱えたまま申請し、不許可になるケースが後を絶ちません。
通訳・翻訳の申請は、内容そのものより「表現の仕方」で結果が変わる在留資格と言っても過言ではありません。
申請前の段階で、内容を客観的にチェックすることが、許可への最短ルートになります。
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「この内容で本当に許可されるのか不安…」
そのまま申請してしまう前に、一度確認しませんか?
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- 業務内容で専門職として評価されるか
- 業務量は十分か
- 学歴・実務経験ルートで問題ないか
- 職務内容・雇用理由書の作り方が適切か
を実務目線でチェックいたします。
不許可になってからでは、大切な時間が失われ、再申請もハードルが上がってしまいます。
申請前の確認が、結果を大きく左右するため、まずは専門家にご相談ください。
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