【1】高度専門職ビザは転職できる?
①高度専門職でも転職は可能
まず、高度専門職だから転職できないというわけではありません。
高度専門職1号には、次の3つの区分があります。
1号イ:高度学術研究活動
1号ロ:高度専門・技術活動
1号ハ:高度経営・管理活動
高度人材ポイント制では、学歴・職歴・年収・年齢・日本語能力などの項目を評価し、原則として70点以上となることが高度専門職1号の基準の一つとなっています。
ただし、高度専門職1号は、法務大臣が指定する日本の公私の機関との契約などを前提として認められる在留資格です。
そのため、転職によって勤務先が変わる場合には、一般的な就労ビザとは異なる手続きが必要になります。
②会社が変われば在留資格変更許可申請が必要
高度専門職1号で転職する際に、特に注意したいのがこの点です。
転職先でも同じ仕事をする場合であっても、所属機関が変わるのであれば、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
例えば、現在の会社でシステムエンジニアとして高度専門職1号ロを取得しており、転職後もシステムエンジニアとして働く場合でも、勤務先が変われば新しい所属機関を前提として在留資格を確認する必要があります。
「仕事内容が同じだから、所属機関に関する届出だけで転職できる」と考えないようにしましょう。
転職先が決まったら、入社前に必要な手続きを確認しておくことが重要です。
【2】高度専門職で転職するときに必要な手続き
①転職先の仕事内容・年収・ポイントを確認する
転職先が決まったら、まず確認したいのが次の項目です。
- 転職後の仕事内容
- 年収
- 雇用契約の内容
- 高度人材ポイント
- 転職先の事業内容
高度専門職1号の在留資格変更許可申請では、転職後に行う活動が高度専門職として認められるものか、またポイント計算上の要件を満たしているかなどが確認されます。
そのため、転職先との雇用条件が決まった段階で、転職後の条件を前提としてポイントを確認することが大切です。
現在の会社で70点以上あるからといって、そのポイントが転職後もそのまま維持されるとは限りません。
②在留資格変更許可申請を行う
転職後も高度専門職1号として活動する場合は、在留資格変更許可申請を行います。
申請では、転職先での活動内容や雇用条件、高度人材ポイントを確認するための資料などを提出します。
ここで注意したいのが、在留資格変更許可申請と所属機関に関する届出は別の手続きであるということです。
所属機関に関する届出を行っただけで、転職先で高度専門職1号として働けるようになるわけではありません。
③所属機関に関する届出も必要
高度専門職1号では、所属する機関との契約の終了や、新たな機関との契約などがあった場合、所属機関に関する届出が必要となる場合があります。
届出の種類や期限は、1号イ・ロ・ハなどの区分によって異なるため、自分の在留資格に応じて確認する必要があります。
在留資格変更許可申請とは別の手続きになるため、「変更申請をしたから届出は不要」と考えないことが大切です。
【3】高度専門職の転職で特に注意したい5つのポイント
①転職後の条件でポイントを再計算する
高度専門職では、学歴・職歴・年収などがポイント評価の対象となります。
転職によって特に影響しやすいのが年収です。
例えば、現在より年収が下がる場合には、年収に関するポイントが変わる可能性があります。
また、転職先の企業が変わることで、企業に関する加算項目などに影響する場合もあります。
そのため、現在のポイントをそのまま転職後にも当てはめるのではなく、転職先の条件で改めて計算することが重要です。
なお、高度専門職1号では、在留中に一時的に70点を下回ったからといって、それだけで直ちに在留資格を失うわけではありません。
ただし、在留期間の更新では70点以上であることが求められるため、転職後のポイントは早めに確認しておきましょう。
②転職後の仕事内容が高度専門職の活動に該当するか
ポイントだけを確認して安心するのも危険です。
高度専門職1号では、ポイントを満たすことに加えて、実際に行う活動が高度専門職の対象となる活動に該当する必要があります。
例えば、現在はITエンジニアとして高度専門職1号ロで働いているものの、転職後は営業や販売などが中心になる場合、現在の在留資格で認められる活動との関係を慎重に確認する必要があります。
「年収が高いから高度専門職として働ける」というわけではない点に注意しましょう。
転職先で具体的にどのような仕事を担当するのか、雇用契約書や会社から提示された職務内容を確認しておくことがポイントです。
③在留資格変更許可が出る前に転職先で働かない
高度専門職1号で転職する場合、在留資格変更許可を受ける前に、新しい会社で就労を開始しないことが重要です。
高度専門職1号は、指定された機関との契約などを前提として認められているため、転職先との雇用契約を結んだからといって、直ちに新しい会社で働けるとは限りません。
転職先への入社日を決める際には、在留資格変更許可申請の時期や審査期間も考慮する必要があります。
「内定が出たからすぐ働き始める」という進め方は避け、入社前に在留資格の手続きを確認することをおすすめします。
④無職期間が生じる場合は年金・健康保険・住民税にも注意
退職してから転職先に入社するまでの間に無職期間が生じる場合は、入管手続きだけでなく、社会保険や税金についても確認が必要です。
健康保険や年金については、退職後の状況によって国民健康保険や国民年金への切り替えが必要になる場合があります。
また、住民税についても、退職によって給与からの天引きがなくなり、自分で納付する必要が生じる場合があります。
特に将来的に永住許可申請を考えている方は、年金・健康保険・税金の加入や納付について、未納や支払い遅れが生じないよう注意しましょう。
⑤転職先の会社から必要な資料を準備してもらう
在留資格変更許可申請では、本人が準備する資料だけでなく、転職先の会社に用意してもらう資料もあります。
例えば、雇用条件を確認できる資料や、会社の事業内容を確認できる資料などです。
特に、外国人雇用や入管手続きに慣れていない会社の場合、必要書類の準備に時間がかかることがあります。
そのため、転職が決まったら、できるだけ早い段階で会社側の必要書類を確認しておくことが重要です。
\高度専門職の転職は、入社前の確認が重要です/
高度専門職1号で転職する場合、転職先の仕事内容や年収によって、必要な手続きや高度人材ポイントが変わることがあります。
特に、
「現在70点以上あるから大丈夫」
「今と同じ仕事だから問題ない」
と自己判断するのではなく、転職後の条件を前提として確認することが重要です。
当事務所では、転職先の仕事内容や雇用条件を確認し、高度専門職を維持できるか、ポイントに問題がないか、どのような手続きが必要になるかを事前に確認しています。
転職先が決まった方や、これから転職を検討している方は、入社前に一度ご相談ください。
【4】高度専門職2号の場合は転職時の扱いが異なる
高度専門職2号は、高度専門職1号とは転職時の扱いが異なります。
高度専門職2号は、高度専門職1号で一定期間活動した方などが対象となり、1号よりも幅広い活動が認められ、在留期間も無期限です。
高度専門職2号の場合、高度専門職1号のような転職に伴う在留資格変更許可申請は必要ありません。
ただし、所属機関に変更があった場合には、所属機関に関する届出が必要となる場合があります。
したがって、高度専門職で転職する場合は、自分が1号なのか2号なのかを確認したうえで、必要な手続きを判断することが大切です。
【5】転職後の在留期間更新・永住申請にも注意
高度専門職の転職では、今回の転職手続きだけでなく、その後の在留についても考えておくことをおすすめします。
例えば、
- 転職によって年収が変わった
- ポイントが変わった
- 職務内容が変わった
- 高度専門職としての活動を継続している
といった事情は、将来の在留期間更新や永住申請を考えるうえでも重要になります。
高度人材ポイント制では、一定の条件を満たす場合、永住許可に必要な在留期間を短縮できる特例があります。
例えば、70点以上のポイントを3年間継続している場合や、80点以上のポイントを1年間継続している場合などは、永住許可申請に必要な在留期間が緩和されます。
そのため、転職によってポイントや年収が変わる場合には、「今回の転職で高度専門職を維持できるか」だけでなく、「将来の永住申請にどのような影響があるか」まで確認しておくことが重要です。
【まとめ】
高度専門職1号でも転職することは可能ですが、一般的な就労ビザのように自由に転職できるわけではありません。
転職によって所属機関が変わる場合は、原則として在留資格変更許可申請が必要です。
また、転職後の仕事内容や年収によっては、高度人材ポイントにも影響するため、現在のポイントをそのまま転職後に当てはめるのではなく、転職先の条件で改めて確認することが重要です。
特に注意したいのは、
- 転職後も高度専門職の対象となる活動を行うか
- 転職後の条件でポイントを維持できるか
- 在留資格変更許可を受ける前に転職先で働いていないか
- 所属機関に関する届出が必要か
- 将来の在留期間更新や永住申請に影響しないか
といった点です。
転職先が決まってから慌てて手続きをするのではなく、入社前に転職後の仕事内容・年収・ポイント・必要な手続きを確認しておくことが、高度専門職を適切に維持するためのポイントです。
\高度専門職の転職手続きでお困りの方へ/
高度専門職の転職では、現在の在留資格やポイントを確認するだけでなく、転職先の会社から必要な資料を集め、在留資格変更許可申請を適切に進める必要があります。
当事務所では、高度専門職の転職に伴う在留資格変更許可申請について、必要書類の確認から申請書類の作成、入管への申請まで一貫してサポートしています。
転職先が決まり、在留資格変更許可申請が必要になった方はもちろん、
「申請を自分で進めるのが難しい」
「会社側の書類準備も含めて任せたい」
「転職に伴う入管手続きをまとめて依頼したい」
という方もご相談ください。
転職先で安心して働き始めるためにも、必要な手続きを確認したうえで、適切に申請を進めましょう。
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