【1】外国人従業員が退職したら会社が行う手続き
外国人従業員の退職時には、基本的に日本人社員と同様の退職手続きを行います。
そのうえで、外国人を雇用している会社には、外国人雇用に関する手続きも発生します。
①通常の退職手続きを行う
社会保険や雇用保険に加入している外国人従業員が退職する場合、資格喪失手続きなどを行います。
また、必要に応じて
- 離職票
- 源泉徴収票
- 退職証明書
などを交付します。
退職時には、会社の規程に応じて、貸与物の返却や業務の引継ぎなども行いましょう。
外国人だからといって、社会保険や雇用保険の退職手続きが特別になるわけではありません。
②ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」
外国人を雇用している事業主は、外国人従業員が離職した際に「外国人雇用状況の届出」を行う必要があります。
雇用保険の被保険者である外国人については、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。
一方、雇用保険の被保険者ではない外国人については、「外国人雇用状況届出書」を提出します。
雇用保険の被保険者である場合は原則として離職日の翌日から10日以内、雇用保険の被保険者でない場合は離職日の翌月末までが届出期限です。
外国人雇用状況の届出を怠った場合には罰則の対象となるため、外国人従業員の退職時には忘れずに対応しましょう。
【2】外国人従業員が退職した後も日本に滞在できる?
外国人従業員が退職した場合、「就労ビザがなくなるので、すぐに帰国しなければならないのでは?」と考える方もいます。
しかし、退職した日に在留資格が直ちになくなるわけではありません。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が会社を退職した場合でも、退職したその日に日本を出国しなければならないということではありません。
退職後に日本で転職活動を行うことも可能です。
ただし、就労系の在留資格には、それぞれ認められた活動があります。
そのため、退職後に在留資格に基づく活動を行っていない状態が長期間続く場合には注意が必要です。
正当な理由なく、在留資格に基づく活動を継続して3か月以上行っていない場合には、在留資格取消しの対象となる可能性があります。
もっとも、転職活動を行っているなど、活動を行っていないことに正当な理由がある場合は、直ちに在留資格が取り消されるわけではありません。
したがって、退職後も日本に滞在する外国人は、転職活動など今後の予定を踏まえて、在留資格について適切に対応することが重要です。
【3】退職した外国人従業員本人が行う手続き
外国人従業員が退職した場合、会社側の手続きとは別に、外国人本人が行う手続きもあります。
「技術・人文知識・国際業務」など、勤務先との契約を前提とする在留資格を持つ外国人が退職した場合、原則として本人が出入国在留管理庁へ「契約機関に関する届出」を行う必要があります。
この届出は、契約が終了した日から14日以内に行います。
この届出は会社が行うものではなく、基本的には外国人本人の手続きです。
そのため、会社としては退職時に「退職後に入管への届出が必要になる場合があります」と本人へ案内しておくとよいでしょう。
【4】外国人従業員が退職後に帰国する場合の「脱退一時金」
外国人従業員が退職して日本を離れる場合、「これまで支払った厚生年金はどうなるのか」と質問を受けることがあります。
一定の要件を満たす外国人は、日本を出国した後に「脱退一時金」を請求できる場合があります。
脱退一時金とは、日本の年金制度に加入していた外国人が、年金を受け取る前に日本を出国した場合などに、納めた保険料の一部を一時金として受け取ることができる制度です。
厚生年金保険に加入していた外国人については、原則として厚生年金の被保険者期間が6か月以上あることなど、一定の要件を満たす必要があります。
また、請求には期限があり、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内に請求する必要があります。
ただし、脱退一時金には細かな支給要件があるため、会社が「必ず受け取れる」と案内するのではなく、対象となる可能性があることを伝え、本人が日本年金機構などで要件を確認するよう案内するとよいでしょう。
なお、脱退一時金を請求すると、それまでの年金加入期間が将来の年金受給資格期間に反映されなくなるなどの影響があります。
そのため、帰国する外国人から相談を受けた場合には、メリットだけでなく制度上の影響も確認したうえで、本人が請求するかどうかを判断することが重要です。
【5】退職した外国人従業員が転職する場合の注意点
退職後も日本で働く予定の外国人については、転職先の仕事内容が現在の在留資格で認められているかを確認する必要があります。
①同じ在留資格で転職できるケース
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が退職し、転職先でも同じ在留資格に該当する業務を行う場合です。
この場合、転職しただけで直ちに在留資格変更許可申請が必要になるわけではありません。
ただし、転職先で行う仕事が現在の在留資格で認められていることが前提となります。
②転職先の仕事内容によっては在留資格の変更が必要
転職によって仕事内容が大きく変わる場合には注意が必要です。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」で働いていた外国人が、転職先で現在の在留資格では認められていない仕事を行う場合、そのまま働くことはできません。
ケースによっては、転職先の仕事内容に合った在留資格への変更許可申請が必要になります。
そのため、転職を考えている外国人は、転職先を決める段階で、仕事内容と現在の在留資格の関係を確認しておくことが重要です。
転職後の仕事内容が現在の在留資格で認められるか確認したい場合には、「就労資格証明書」の交付を申請する方法があります。
就労資格証明書によって、転職先で行う仕事が現在の在留資格で認められることを確認しておけば、次回の在留期間更新許可申請を行う際にも、手続きがスムーズになることがあります。
【まとめ】
外国人従業員が退職した場合、会社側では日本人社員と同様の退職手続きに加えて、外国人雇用状況の届出など、外国人雇用に特有の手続きも必要です。
また、退職した外国人本人についても、契約機関に関する届出が必要になる場合があります。
退職後も日本に滞在して転職活動をする場合は、現在の在留資格で引き続き活動できるのか、転職先の仕事内容が在留資格に適合しているのかを確認することが重要です。
転職先での仕事内容によっては、在留資格変更許可申請が必要になる場合もあります。
一方、帰国する場合には、一定の要件を満たせば脱退一時金を請求できる場合があります。
ただし、請求によって年金加入期間に影響するため、制度の内容を確認したうえで判断することが大切です。
外国人従業員の退職では、会社側の手続きだけでなく、退職後の在留資格や転職・帰国まで見据えて対応することが重要です。
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外国人従業員の退職では、通常の退職手続きに加えて、外国人雇用状況の届出などの対応が必要です。
また、外国人本人も退職後も日本に滞在して転職する場合には、現在の在留資格で引き続き就労できるのか、在留資格の変更や就労資格証明書の取得が必要なのかなど、確認しておきたい点があります。
「外国人社員が退職することになったが、会社として何をすればよいのか分からない」
「退職後も日本で働く予定だが、在留資格について問題がないか確認したい」
このような場合は、退職後の手続きだけでなく、在留資格についても早めに確認しておくと安心です。
ひらま行政書士事務所では、外国人従業員の退職・転職に伴う在留資格の確認や、在留資格変更・更新、就労資格証明書の取得など、就労ビザに関する手続きをサポートしています。
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