「オーバーステイをしてしまった過去がある」
「日本人と結婚したが、配偶者ビザはもう無理なのではないか」

そう不安に感じて、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、オーバーステイがあっても配偶者ビザ取得につながる可能性はあります。
ただしそれは、「結婚したから大丈夫」という単純な話ではありません。

オーバーステイがある場合、通常の在留資格変更は認められず、
在留特別許可という“例外的な制度”をどう使えるかがすべての分かれ目になります。

さらに、出国の仕方を一度誤ると、再入国が長期間、あるいは事実上不可能になるリスクも否定できません。
本記事では、

  • オーバーステイが配偶者ビザに与える本当の影響
  • 在留特別許可の判断基準と「許可されやすい事情」の整理方法
  • 強制退去と自主出頭で異なる再入国禁止期間の実務
  • 帰国すべきか、日本に残るべきかの判断ポイント

まで、実際の入管審査を前提に、網羅的かつ実務目線で解説しています。

「自分のケースは可能性があるのか」
「今、何をしてはいけないのか」

その判断材料を、この記事で解説しますので是非参考にしてください。

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【1】オーバーステイ(不法滞在)とは?問題点について要点解説

オーバーステイとは、在留期限を過ぎても日本に滞在し続けている状態を指します。
入管法上は明確な法令違反であり、原則として以下のリスクを伴います。

  • 退去強制(強制送還)の対象
  • 原則5年間の上陸拒否(再入国不可)
  • 入管収容の可能性

ここで重要なのは、「オーバーステイ=即アウト」ではありませんが、「極めて不利な立場」になるという点です。
特に配偶者ビザとの関係では、

「オーバーステイ状態のまま在留資格変更申請はできない」

という点を知らずに、入管で門前払いされるケースが後を絶ちませんので注意してください。

【2】オーバーステイ後に日本人と結婚したら配偶者ビザは取れるのか?

結婚=配偶者ビザ取得、ではありません。
オーバーステイがある場合、通常の配偶者ビザ申請ルートは完全に閉ざされています。
配偶者ビザは、

  • 適法な在留
  • 真実の婚姻
  • 安定した生計

が前提です。

オーバーステイはこの「適法な在留」を根本から欠いている状態のため、通常申請が成立しません。
そこで登場するのが、次章で解説する「在留特別許可」という例外制度です。

【3】在留特別許可とは?判断基準と「許可されやすい事情」の実務整理

オーバーステイ状態で日本人と結婚した場合、
配偶者ビザを取得するために避けて通れないのが「在留特別許可」です。

在留特別許可とは、退去強制事由に該当する外国人について、法務大臣の裁量により例外的に日本での在留を認める制度を指します。
重要なのは、

「在留特別許可には明確な「許可基準」が存在しない」

という点です。そのため、

「結婚しているから大丈夫」
「日本に長くいるから問題ない」

といった単純な話ではなく、個別事情をどれだけ具体的・立体的に示せるかが結果を左右します。

≪1≫在留特別許可で総合的に見られる判断要素について

入管実務では、次のような要素を総合考慮して判断される傾向があります。

在留歴と日本社会への定着性

単なる滞在年数ではなく、「どのように日本で生活してきたか」が重視されます。

  • 日本での在留期間が長い(目安として10年前後以上)
  • 日本語で日常生活が成り立っている
  • 学校卒業歴や職歴がある
  • 地域社会との関わり(近隣・知人・知り合い)

これらは、「一時的な滞在者」ではなく実質的に日本社会に根付いて生活しているかを判断する材料になります。

家族関係と扶養・生活への影響

在留特別許可で最も重視されやすい要素の一つが家族関係です。

  • 日本人の配偶者がいる
  • 日本国籍の子どもを養育している(特に未成年)
  • 日本に生活基盤を置く家族がいる

特に、帰国によって家族関係が分断されるかどうか」は、入管が慎重に検討するポイントです。
形式的な婚姻ではなく、

  • 同居実態
  • 生活費の分担
  • 将来設計

などが、具体的資料とともに問われます。

日本社会への貢献・自立性

在留特別許可は「人道的措置」である一方、社会的負担(生活保護等)にならないかという視点も強く見られます。

  • 安定した収入がある(または日本人配偶者が生計を支えている)
  • 納税・年金・社会保険の状況
  • 雇用主や関係者からの推薦・説明資料

「日本で生活を続けても、社会的に問題がないか」という観点で評価されます。

これらの要素の他にも、過去の違反歴や犯罪歴についてもチェックされます。
前提として、オーバーステイ自体が入管法違反ですが、それ以外の違反歴があるかどうかは極めて重要な要素となります。
特に、過去の虚偽説明や悪質性が高いケースでは、日本人と結婚していても不許可となる可能性が高くなります。

また、在留特別許可は、法律論だけでなく人道的な視点も重要な判断要素です。

本国での生活が著しく困難な事情がある場合や、家族の介護・扶養が必要な事情がある場合は人道的な観点から配慮されることもあります。
特に、未成年の子どもが関わるケースでは、子の福祉の観点が重く考慮される傾向が強い状況です。

≪2≫「許可されやすい」とされる典型例についての注意点

一般論として、

  • 日本人と結婚している
  • 日本人の子どもがいる
  • 永住者・定住者の家族である

といったケースは、在留特別許可の可能性が相対的に高いとされます。
しかし重要なのは、これらに該当しても「必ず許可されるわけではない」という点です。
逆に、結婚していなくても

  • 長期間の日本在留
  • 家族全体の生活実態

などから、許可された事例も実際に存在します。
在留特別許可は、入管のチェックリストを満たせば許可される制度ではありません。

  • 生活履歴
  • 人間関係
  • 違反に至った経緯
  • 日本で生活する合理性・必然性

など、これらを一つのストーリーとして整理し、立証できるかが極めて重要です。
そのため、「何を、どこまで、どう説明するか」を誤ると、本来可能性があったケースでも不許可になることがあります。

このような状況になってしまった場合は、自分で進めるのではなく、まずは専門家に相談していただいた方が許可の可能性を少しでも高めていただけるでしょう。

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【4】オーバーステイ後の出国と再入国禁止期間の実務整理

オーバーステイが発覚した場合、「一度帰国すれば、また日本に戻って来られる」と考えてしまう方は少なくありません。
しかし実際には、出国の仕方によって再入国禁止期間も、その後のビザ取得の可能性も大きく変わります。

ここでは、強制退去となるケースと自主出頭したケースに分けて、再入国の実務上の扱いを正確に解説します。

①強制退去(摘発・退去強制)となった場合

オーバーステイが入管や警察に発覚し、摘発・収容のうえで退去強制となった場合、その外国人は入管法上、最も重い扱いを受けることになります。

■再入国禁止期間

原則:5年間の再入国禁止

例外なく「上陸拒否事由」に該当します。
この5年間は、配偶者ビザ・就労ビザ・短期滞在を含め、原則として一切入国できません。

≪配偶者ビザへの影響≫

たとえ日本人と婚姻していても、

「結婚しているから大丈夫」
「配偶者ビザなら特別に戻れる」

ということはありません。
強制退去歴がある場合、配偶者ビザの取得難易度は極めて高く、実務上は「ほぼ不可能」に近いケースも多くなります。

実務上の注意点としては、摘発される前に相談していれば回避できたケースも少なくありません。
強制退去後は、専門家でも打てる手が極端に限られてしまうのが難点です。

②自主出頭した場合

オーバーステイ状態にある外国人が、自ら入管に出頭し、違反を申告した場合には、「出頭減免」が適用される可能性があります。

■再入国禁止期間

原則:1年間の再入国禁止

強制退去(5年)と比べ、大幅に短縮されます。
この点だけを見ると「自主出頭すれば安心」と思われがちですが、ここには以下のような大きな注意点があります。

注意点

仮に1年の再入国禁止期間が経過しても、

  • 配偶者ビザが必ず許可される
  • 再入国が保証される

ということではありません。
入管は、

  • オーバーステイに至った経緯
  • 出国時の態度
  • 結婚の信憑性
  • 日本側配偶者の生活基盤

などを改めて厳格に審査します。
つまり、「1年待てば戻れる」という保証はどこにもないというのが実務上の現実です。

③出国前に知っておくべき、最も重要な判断ポイント

≪オーバーステイ×結婚≫のケースでは、

  • 帰国(再入国1年・5年)を選ぶのか
  • 日本に残り、在留特別許可を目指すのか

この選択が、その後の人生を大きく左右します。
一度出国してしまうと、

  • 在留特別許可の道はほぼ閉ざされる
  • 再来日できないリスクを自ら負う

という取り返しのつかない結果になることもあります。
個々のケースによりますが、一度帰国するより在留特別許可をしたほうが有利なケースも多くあります。

そのため、オーバーステイ案件では、

「今、出頭すべきか」
「帰国すべきか」
「在留特別許可を狙うべきか」

を順序と戦略を誤らずに判断することが極めて重要です。
ネット情報だけで動いてしまい、

「入管に言われるまま帰国した結果、二度と戻れなくなった」

という相談は、実際に後を絶ちません。
そのような状況になる可能性を少しでも減らすために専門家への相談は迷わずしていただいたほうがよろしいでしょう。

【5】オーバーステイ×結婚の配偶者ビザ|申請の全体フロー

~基本的な流れ~

  • 入管への自主出頭
  • 事情説明・陳述
  • 在留特別許可の審査
  • 許可後、在留資格「日本人の配偶者等」を取得

上記の流れで申請を進めていきます。
ただ、この過程では、書類以上に「説明の組み立て方」が結果を左右します。
ただ単に必要書類を提出するのではなく、豊富な資料をしっかりと準備して、日本にいることが合理的であることを誠実に説明をしていくことが重要となります。

【まとめ】オーバーステイがあっても、結果を分けるのは「判断の順序」

本記事では、オーバーステイがある場合でも配偶者ビザ取得につながる可能性があること、
そしてその可否は「事実そのもの」よりも、
どのような選択を、どのタイミングで行うかによって大きく左右されることを解説してきました。

実務上、最も取り返しがつかないのは、制度を正確に理解しないまま「帰国」という選択をしてしまうことです。
一度出国すれば、在留特別許可という道はほぼ閉ざされ、再入国できるかどうかも不透明な状態に自ら身を置くことになります。

一方で、在留特別許可は決して「特別な人だけが救われる制度」ではありません。

日本での生活実態、家族関係、違反に至った経緯、そして日本で生活を継続する合理性・人道性を順序立てて整理し、立証できるかどうかが判断の分かれ目になります。

つまり重要なのは、

「オーバーステイがあるから無理」と諦めることでも、
「結婚したから大丈夫」と楽観することでもなく、

行動する前に、正しい判断材料をそろえられているかどうかなのです。

動く前の「一度の判断」が、その後の人生を大きく左右します

オーバーステイが絡む配偶者ビザの問題は、一度誤った選択をしてしまうと、後からやり直すことができません。

  • 今、出頭すべきか、それとも在留特別許可を目指すべきか
  • この状況で「帰国」は本当に最善の選択なのか
  • そもそも、自分のケースは許可の可能性があるのか

これらは、ネット上の一般論だけでは判断できず、個別事情の整理と、入管実務を前提とした見極めが不可欠です。

当事務所では、オーバーステイを含む配偶者ビザ案件に特化し、

  • 在留特別許可を前提とすべきケースか
  • 自主出頭・帰国が現実的な選択となるケースか
  • 今すぐ動くべき点、絶対に避けるべき行動

を、実際の入管審査基準と過去事例を踏まえて整理しています。

「まだ相談するほどではない」と思っている段階こそ、最も判断を誤りやすいタイミングです。

後悔のない選択をするために、動く前に一度、専門家の視点で状況を整理してみてください。

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