「雇用している外国人従業員が不法滞在であることが分かった」
「このまま雇用を続けても問題ない?」
「不法滞在なら、すぐに解雇しても大丈夫?」

外国人従業員を雇用している企業にとって、在留資格や在留期間の管理は重要な問題です。

特に、外国人従業員が不法滞在していることを知りながら就労させた場合、企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
一方で、不法滞在が発覚したからといって、何の手続もなく直ちに解雇できるとは限りません。

この記事では、外国人従業員が不法滞在と発覚した場合に解雇できるのか、企業が取るべき対応や注意点について行政書士が解説します。

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【1】不法滞在と発覚したら、そのまま雇用を続けることはできる?

外国人が日本で適法に働くためには、就労が認められた在留資格を持っていることや、資格外活動許可を受けていることなどが必要です。
しかし、在留期限を過ぎて日本に滞在している不法滞在者は、原則として適法に就労することができません。

そのため、雇用している外国人従業員が不法滞在であることが判明した場合、企業はそのまま就労を継続させないよう注意する必要があります。
また、企業が外国人を不法に就労させた場合には、不法就労助長罪に問われる可能性があります。

不法就労助長罪は、現在、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められていますが、2027年4月1日からは、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金へ引き上げられる予定で今までよりも厳罰化されます。

さらに、外国人が不法就労者であることを知らなかった場合であっても、在留カードの確認を怠るなど、企業側に過失がある場合には処罰を免れない可能性があります。

「本人から大丈夫だと聞いていた」
「在留カードを確認していなかった」

という対応では、企業として十分な確認を行ったとはいえない場合があります。
不法滞在が疑われる場合には、まず本人の在留状況を確認し、現在適法に就労できる状態なのかを確認することが重要です。

【2】不法滞在と発覚した外国人従業員を解雇することはできる?

外国人従業員が不法滞在となり、適法に就労できない状態になった場合、企業としては雇用を継続することが難しくなるため、解雇を検討することになります。
ただし、不法滞在であることが判明したからといって、必ずしも直ちに即時解雇できるわけではありません。

解雇については、不法滞在に至った経緯や、企業が採用時にその事実を知っていたかどうかなどを踏まえて判断する必要があります。

①雇用時に不法滞在であることを知らなかった場合

例えば、企業が採用時に在留カードなどを確認し、適法に滞在していると判断していたにもかかわらず、後から提出された書類が偽造・偽変造されたものであったことが判明するケースがあります。
このような場合、本人による虚偽の申告や書類の提出が、就業規則上の懲戒事由に該当する可能性があります。

また、本人の責めに帰すべき事由があり、即時解雇を行う場合には、解雇予告除外認定を受ける方法が検討されることもあります。
ただし、実際に解雇が認められるかどうかは、本人の行為や就業規則の内容などによって異なります。

②雇用時から不法滞在であることを知っていた場合

一方、企業が本人に適法な在留資格がないことや不法滞在であることを知りながら雇用していた場合には、当然ながら企業側にも不法就労助長に関する問題が生じる可能性があります。
ただ、この場合に関しては、雇用関係が成立している以上、解雇については労働関係法令や就業規則を踏まえて対応する必要があります。

例えば、解雇予告除外認定を受けずに解雇する場合には、原則として30日前までに解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払う必要があります。

このように、不法滞在と発覚した場合の解雇については、企業がどのような経緯で外国人を雇用したのかによっても対応が異なります。
そのため、「不法滞在だからすぐに解雇すればよい」と考えるのではなく、まずは在留状況や事実関係を確認することが重要です。

【3】解雇する前に確認したい3つのポイント

不法滞在が判明した場合、解雇を急ぐ前に次の点を確認しましょう。

①本当に不法滞在なのかを確認する

在留カードの在留期限が過ぎている場合でも、すでに更新申請などを行っているケースがあります。
そのため、在留カードの期限だけで判断せず、本人が在留期間更新許可申請などを行っていないか確認しましょう。

確認の際は、在留カードの裏面の右下に「在留資格変更許可申請中」や「在留期間更新許可申請中」の記載があるかどうか確認してください。
上記の記載があれば表面の在留期限が到来していても、特例期間に入っているため不法滞在ではありません。

②不法滞在となった経緯を確認する

採用時から不法滞在だったのか、雇用後に在留期間が満了したのかによって、企業側の対応も変わります。
本人が虚偽の書類を提出したのか、在留期間の更新を忘れたのかなど、具体的な経緯を確認しましょう。

③就業規則や雇用契約を確認する

解雇や懲戒処分を検討する場合には、就業規則や雇用契約の内容も確認する必要があります。
就業規則に解雇事由が定められている場合でも、それだけで当然に解雇できるとは限りません。
解雇を行う場合には、労働関係法令に沿って慎重に対応しましょう。

\外国人従業員の在留資格について、不安な点はありませんか?/

外国人従業員が不法滞在となっている可能性がある場合、解雇を検討する前に、まず現在の在留状況を正確に確認することが大切です。

「在留期限が切れているが、更新申請はしているようだ」
「在留カードを確認したが、現在の仕事を続けてよいのか分からない」
「不法滞在・不法就労に該当していないか確認したい」

このようなケースでは、事実関係を整理したうえで、適切な対応を検討する必要があります。
当事務所では、外国人の就労ビザ申請・更新をはじめ、外国人従業員の在留資格に関するご相談にも対応しています。

解雇するべきか判断する前に、まず「現在の在留状況に問題がないか」を確認しておきましょう。

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【4】外国人従業員が在留期間の更新を忘れて不法滞在となった場合は?

外国人従業員が在留期間の更新を忘れ、その結果として不法滞在となってしまうケースもあります。
在留期間の更新申請は原則として外国人本人が行う手続ですが、企業としても外国人従業員の在留期間を把握しておく責任があります。

在留期間が切れていることに気づかず就労を続けさせれば、企業側にも不法就労に関する問題が生じます。
そのため、企業では外国人従業員の在留期限を管理し、更新時期が近づいたら本人に確認するなど、更新漏れを防ぐ仕組みを整えておくとよいでしょう。

なお、在留期間更新許可申請などを行う際、勤務先に関する書類の準備や会社側の対応が必要となる場合もあります。
外国人従業員から更新手続に必要な協力を求められた場合には、適切に対応することが重要です。

【5】不法滞在の発覚を防ぐために企業が行うべき在留資格管理

不法滞在や不法就労の問題を防ぐためには、問題が発生してから対応するのではなく、日頃から外国人従業員の在留資格を管理することが大切です。
企業では、少なくとも次のような点を確認しておきましょう。

  • 採用時に在留カードなどで在留資格と在留期限を確認する
  • 在留資格で認められている仕事と実際の業務内容を確認する
  • 外国人従業員の在留期限を社内で管理する
  • 更新時期が近づいたら本人の申請状況を確認する
  • 在留資格を変更した場合には、その内容を確認する

特に注意したいのが、採用時に在留カードを確認しただけで、その後の管理を行わないケースです。

就労可能な在留資格であっても、在留期間には期限があるため、雇用期間中に更新時期を迎えることがあります。
外国人従業員を継続して雇用する企業では、在留期限を一覧表などで管理し、更新漏れを防ぐ体制を整えておくことをおすすめします。

【6】外国人従業員が不法滞在と発覚した場合は、専門家に相談を

外国人従業員が不法滞在と発覚した場合は、まず現在の在留状況や就労資格を確認し、これまでの経緯を整理することが重要です。
そのうえで、雇用を継続できるのか、解雇を含めてどのような対応を取るべきなのかを検討する必要があります。

特に、解雇を検討している場合には労働関係法令も関係するため、入管手続については行政書士、解雇などの労務上の問題については社会保険労務士や弁護士など、それぞれの専門家に相談することが重要です。
在留資格や就労資格について判断に迷う場合は、問題が大きくなる前に専門家へ相談しましょう。

【まとめ】

外国人従業員が不法滞在と発覚した場合、そのまま就労を続けさせることはできません。
企業側も不法就労助長罪などの責任を問われる可能性があるため、まずは本人が本当に不法滞在となっているのか、現在適法に就労できる状態なのかを確認することが重要です。

また、不法滞在を理由として解雇する場合も、必ずしも直ちに解雇できるわけではありません。
採用時から不法滞在であることを知らなかったのか、企業が知ったうえで雇用していたのか、本人が在留期間の更新を忘れたのかなど、具体的な事情によって対応は異なります。

そのため、不法滞在が判明した場合は、いきなり解雇するのではなく、まず在留資格や在留期間、これまでの経緯などを確認し、適切な対応を検討しましょう。
また、日頃から外国人従業員の在留期限を管理し、更新漏れなどを防ぐ仕組みを整えておくことも、企業が不法就労に関するトラブルを防ぐために重要です。

\外国人従業員の在留資格に不安がある場合はご相談ください/

外国人従業員の在留資格や在留期間について、

「在留カードの期限が切れていることに気づいた」
「更新申請をしているようだが、現在も働かせて大丈夫なのか分からない」
「外国人従業員を採用したが、現在の仕事が在留資格の範囲内なのか確認したい」
「不法滞在・不法就労になっていないか確認したい」

といった場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

不法滞在や不法就労の問題は、本人だけの問題ではなく、雇用している企業側にも影響する可能性があります。
また、問題が発覚してから対応するよりも、採用時や在留資格の更新時に適切な確認を行い、日頃から外国人従業員の在留期限を管理しておくことが重要です。

当事務所では、外国人の就労ビザ申請・更新をはじめ、外国人従業員の在留資格に関する企業からのご相談にも対応しています。

「このまま働かせて大丈夫なのか分からない」という段階でも構いません。

外国人従業員の在留資格や就労について不安がある企業の方は、お早めにご相談ください。

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