【1】新規事業でも外国人を採用できる?
結論からいうと、既存企業が新規事業を立ち上げた場合でも、必要な要件を満たせば外国人を採用できます。
外国人を雇用する企業について、既存事業だけを継続していなければならないという決まりはありません。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 飲食店を経営する会社が、海外向けの食品輸出事業を開始する
- IT企業が、新たに海外企業向けのマーケティング事業を開始する
- 製造業の会社が、外国人顧客向けの営業・販売事業を開始する
- 小売業を営む会社が、新たに海外向けのEC事業を開始する
このような場合でも、新規事業の内容と採用する外国人の担当業務が在留資格の要件に適合していれば、外国人を雇用できる可能性があります。
ただし、海外向けの事業を開始するからといって、外国人であれば誰でも海外営業や翻訳などの業務に従事できるわけではありません。
採用する外国人の学歴・職歴と、実際に担当する業務の内容を確認したうえで、適切な在留資格を検討することが重要です。
【2】新規事業で外国人を採用する際に確認すべき就労ビザの要件
新規事業で外国人を採用する場合、まず確認したいのが、予定している業務に対応する在留資格です。
ここでは、企業の外国人採用で利用されることの多い「技術・人文知識・国際業務」を中心に解説します。
①担当業務が在留資格の対象となっているか
技術・人文知識・国際業務は、専門的な知識や技術を必要とする業務などに従事するための在留資格です。
例えば、次のような業務が考えられます。
- 海外企業との取引に関する営業
- 新規事業におけるマーケティングや市場調査
- ITシステムの設計・開発
- 海外向けの広報・宣伝
- 外国語を使用する翻訳・通訳
一方、飲食店の接客や調理、商品の梱包、工場での製造作業など、一般的に専門的な知識や技術を必要としない業務は、技術・人文知識・国際業務では認められない場合があります。
新規事業の立ち上げ時には、幅広い業務を担当してもらいたいと考えることもあるでしょう。
しかし、担当業務の中心が在留資格の対象外となる場合は、採用そのものを見直す必要が生じる可能性があります。
②外国人本人の学歴・職歴と業務内容が適合しているか
担当業務が在留資格の対象であっても、それだけで許可されるわけではありません。
技術・人文知識・国際業務では、業務の区分に応じて、大学などで学んだ内容や実務経験などの要件を満たす必要があります。
例えば、海外向けマーケティングを担当させる場合は、本人の学歴や職歴、予定する業務内容などを確認します。
また、外国語を使用する翻訳・通訳などの業務では、国際業務に関する要件を満たしているかも重要です。
新規事業で必要な人材を採用する際は、会社が任せたい業務と、外国人本人が在留資格上担当できる業務の両方を確認しましょう。
【3】新規事業で就労ビザを申請する際の注意点
既存企業が新規事業で外国人を採用する場合、特に注意したいのが、新規事業の実態と外国人の担当業務を明確に説明できるかという点です。
①新規事業の実態を説明できるようにする
在留資格の審査では、申請する企業の事業内容や規模、外国人を雇用する必要性などが確認されます。
既存事業については、これまでの売上や取引実績などから事業内容を説明しやすい一方、新規事業については、開始したばかりで実績が少ないこともあるでしょう。
そのような場合は、実際の事業内容に応じて、次のような資料を準備することが考えられます。
- 新規事業の内容やサービスを説明する資料
- 取引先との契約書や商談に関する資料
- 新規事業に関するウェブサイトや営業資料
- 事業を実施するための設備や事務所に関する資料
すべての資料が一律に必要となるわけではありません。
新規事業の内容や申請内容に応じて、必要な資料を選ぶことが大切です。
また、既存事業で十分な実績がある企業であっても、その実績だけで新規事業の実態が説明できるとは限りません。
新規事業についても、実際にどのような活動を行っているのかを説明できるようにしておきましょう。
②事業計画書で新規事業の今後の見通しを説明する
新規事業の開始直後で売上や取引実績が十分にない場合は、事業計画書を作成し、新規事業の具体的な内容や今後の見通しを説明することも重要です。
事業計画書には、例えば次のような内容を盛り込むとよいでしょう。
- 新規事業を開始した目的と具体的な事業内容
- 想定する顧客や取引先、販売・サービス提供の方法
- 今後の売上見込みや事業の収支計画
- 採用する外国人の担当業務と、新規事業における役割
既存事業の実績だけに頼らず、新規事業の実態や継続性を説明できるように準備しておきましょう。
なお、事業計画書が必要となるか、どの程度の説明が求められるかは、企業の状況や申請内容によって異なります。
この事業計画書と前述した事業の実態を証する資料を併せて提出することが望ましいでしょう。
③外国人を採用する必要性と担当業務を明確にする
新規事業で外国人を採用する場合は、なぜその人材を採用するのか、入社後にどのような業務を担当させるのかを整理することも重要です。
例えば、海外向けのEC事業を開始する企業が、外国人社員に海外市場の調査や販売戦略の立案、海外取引先との交渉などを担当させるケースです。
この場合は、具体的な業務内容や担当範囲を明確にし、本人の経歴との関係も説明できるようにしておく必要があります。
反対に、
「新規事業全般を担当する」
「会社の指示に従って幅広い業務を行う」
といった曖昧な説明では、専門的な業務に従事することが十分に伝わらない可能性があります。
採用後に担当する業務を具体的に整理し、雇用契約書や職務内容を説明する資料などにも反映させましょう。
新規事業での外国人採用は、事業内容や担当業務によって確認すべきポイントが異なります。
採用を決定する前に、予定している業務で就労ビザを取得できるか確認しておくことをおすすめします。
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新規事業で就労ビザを申請する場合、既存事業の実績だけでは、新規事業の内容や外国人を採用する必要性を十分に説明できないことがあります。
「新規事業の実績が少なくても、就労ビザを取得できるだろうか?」
「予定している業務内容で、外国人を採用できるだろうか?」
このような場合は、事業内容や採用計画を踏まえ、就労ビザの取得可能性を確認することが大切です。
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【4】採用を決める前に確認したい企業側の準備
就労ビザの要件を満たしているか確認するためには、採用予定者の情報と企業側の雇用条件を整理する必要があります。
特に、次の3点を確認しておきましょう。
①現在の在留資格と在留期限
日本に在住する外国人を採用する場合は、現在の在留資格と在留期限を確認します。
現在の在留資格で新規事業の業務に従事できるとは限りません。担当業務が変わる場合は、在留資格の変更が必要になることもあります。
②雇用条件と担当業務
雇用契約書や労働条件通知書を準備し、給与、勤務時間、勤務場所、具体的な担当業務などを明確にします。
技術・人文知識・国際業務では、日本人が同様の業務に従事する場合と同等額以上の報酬であることも要件の一つです。
③採用する人材の経歴
履歴書や卒業証明書などを確認し、学歴・専攻や実務経験が予定する業務に適合しているかを検討します。
海外在住者を採用する場合と、日本在住者を採用する場合では必要な申請手続きも異なるため、採用予定者の状況に合わせて準備を進めましょう。
【5】就労ビザの申請から採用・入社までの流れ
外国人の採用では、在留資格に関する手続きと入社のスケジュールを適切に管理することが大切です。
一般的な流れは次のとおりです。
- 採用予定者の経歴と担当業務を確認する
- 雇用条件を決定し、必要な会社資料・雇用関係書類を準備する
- 採用予定者の状況に応じて、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請などを行う
- 必要な許可・手続きが完了したことを確認し、就労を開始する
海外在住者を日本に呼び寄せる場合は、通常、在留資格認定証明書の交付申請を行います。
一方、日本在住者が現在の在留資格から別の在留資格に変更する必要がある場合は、在留資格変更許可申請を検討します。
ただし、すべてのケースで在留資格の変更が必要になるわけではありません。
現在の在留資格で新しい業務に従事できるか、個別に確認する必要があります。
また、申請から許可までの期間は案件によって異なります。希望する入社日に間に合うよう、余裕を持って準備を進めましょう。
【6】外国人採用後も企業が注意すべきこと
外国人を採用した後も、在留資格に関する管理は欠かせません。
特に、新規事業では事業の拡大に伴って担当業務や組織体制が変わることもあるため、次の点に注意しましょう。
- 許可された在留資格で認められる範囲の業務に従事させる
- 担当業務や事業内容に大きな変更が生じた場合は、在留資格への影響を確認する
- 在留期限を管理し、必要な更新手続きを適切な時期に進める
- 所属機関に関する届出など、外国人本人や企業に必要な手続きを確認する
例えば、新規事業の立ち上げ当初は海外営業を担当していた外国人社員が、事業拡大後に店舗での接客や現場作業を中心に担当するようになった場合、在留資格上の問題が生じる可能性があります。
事業の拡大に合わせて業務内容を変更する際は、変更後の業務でも適切に就労できるか確認しておくことが重要です。
【まとめ】
既存企業が事業拡大のために新規事業を立ち上げた場合でも、必要な要件を満たせば外国人を採用できます。
ただし、技術・人文知識・国際業務の在留資格で採用する場合は、外国人本人の学歴・職歴と担当業務の関連性だけでなく、新規事業の実態や事業計画、外国人を採用する必要性なども確認されます。
特に、新規事業では十分な売上実績や取引実績がないこともあるため、事業計画書や事業内容を証明する資料を用意し、事業の実現可能性や採用する外国人の役割を具体的に説明することが重要です。
また、就労ビザを取得した後も、許可された在留資格の範囲内で業務を行う必要があります。
事業の拡大に伴って担当業務が変わる場合は、在留資格への影響も確認しなければなりません。
新規事業で外国人を採用する際は、採用予定者の学歴・職歴や仕事内容に加え、事業の実態や今後の事業計画も踏まえて、申請の準備を進めましょう。
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© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
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