【1】技人国で転職活動が3か月を超えるとどうなる?
技人国は、日本の公私の機関との契約に基づき、理学・工学などの自然科学分野や、法律学・経済学・社会学などの人文科学分野の知識・技術を必要とする業務、または外国文化に基づく思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。
機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務などが代表的な例です。
そのため、技人国の外国人が会社を退職して、その後も技人国に該当する活動を行わない状態が長期間続くと、在留資格との関係で問題になる可能性があります。
入管法では、別表第一の在留資格をもって在留する外国人が、正当な理由なく、その在留資格に基づく活動を継続して3か月以上行っていない場合、在留資格取消しの対象となることが定められています。
これが、いわゆる「3か月ルール」と呼ばれているものです。
ただし、ここで注意したいのが、
「退職から3か月経過=自動的にビザ取消し」ではない
という点です。
出入国在留管理庁は、正当な理由の有無について個別具体的に判断するとしたうえで、退職後に再就職先を探すため、会社訪問など具体的な就職活動を行っている場合を「正当な理由」があるケースの例として挙げています。
つまり、3か月以上の空白期間がある場合に重要なのは、「なぜその期間に技人国の仕事をしていなかったのか」という事情です。
【2】退職理由によっても注意点は変わる?会社都合と自己都合の違い
3か月以上の空白期間ができた場合、まず確認したいのが「なぜ前の会社を退職したのか」です。
①会社都合による退職
例えば、
- 会社の倒産
- 解雇
- 雇止め
- 事業縮小などによる退職
など、本人の意思だけでは避けにくい事情によって仕事を失ったケースがあります。
このような場合には、退職に至った事情を客観的な資料によって説明しやすいという特徴があります。
例えば、会社からの退職通知や離職票などがあれば、退職の経緯を説明する材料になります。
そのため、会社都合によって3か月以上の空白期間が生じた場合には、本人が意図的に長期間無職になっていたわけではないことを含め、退職後の状況を整理しておくことが重要です。
②自己都合による退職
一方、
- キャリアアップを目的として退職した
- より条件のよい会社に転職したかった
- 人間関係や職場環境が合わなかった
- 仕事内容が自分に合わなかった
- 転職先を決めないまま退職した
など、自分の意思で退職するケースもあります。
自己都合退職だから、直ちに更新が不許可になるわけではありません。
しかし、自己都合で退職した後に3か月以上の空白期間がある場合は、特に注意が必要です。
「なぜ次の会社を決める前に退職したのか」
「退職後、なぜ転職先が決まるまで時間がかかったのか」
「その間、どのように転職活動をしていたのか」
といった点を、具体的に説明できるようにしておく必要があります。
実務上は、「会社都合か自己都合か」だけで判断するのではなく、退職後の転職活動や生活状況まで含めて確認することが重要です。
【3】転職先が決まっていても、過去の空白期間がなくなるわけではない
3か月以上の転職活動を経て、ようやく新しい会社が決まると、「今は転職先が決まっているから、もう問題ないだろう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、転職先が決まったことによって、前の会社を退職してから入社するまでの空白期間がなくなるわけではありません。
例えば、
4月30日 前職を退職
↓
5月~8月 転職活動
↓
9月 新しい会社に入社
というケースでは、現在は新しい会社で技人国に該当する仕事をしていたとしても、4月30日の退職から9月の入社までには3か月以上の空白期間があります。
そのため、転職先が決まった後であっても、「退職してから入社するまでの期間をどのように過ごしていたのか」について説明できるようにしておくことが重要です。
具体的にどのような転職活動をしていたのか、どのような資料を準備しておけばよいのかについては、後述で詳しく解説します。
\3か月以上の空白期間がある場合は、早めに状況を確認しましょう/
技人国で3か月以上の空白期間がある場合、「3か月経過したから更新できない」と決まっているわけではありません。
一方で、退職した理由や転職活動の状況、転職先が決まるまでの経緯などによって、申請時に整理しておきたいポイントは変わります。
特に、すでに3か月以上経過している方や、転職先が決まっているものの空白期間について説明できる資料が少ない方は、更新申請をする前に現在の状況を確認しておくと安心です。
当事務所では、技人国の転職に関する許可・不許可の事前診断を無料で実施しています。
「自分のケースで更新できるのか確認したい」という方は、「事前診断希望」とお知らせください。
【4】退職・転職したら「契約機関に関する届出」も忘れない
技人国の在留資格を持つ外国人が退職・転職する際には、もう一つ注意したい手続があります。
それが、「契約機関に関する届出」です。
技人国では、契約機関との契約が終了した場合や、新たな契約を締結した場合などに届出が必要です。
届出は、原則として事由が発生した日から14日以内に行う必要があります。
したがって、前の会社を退職したときだけでなく、転職先と新たに契約を締結したときにも届出が必要になります。
退職後の転職活動に気を取られて、この届出を忘れてしまうケースもあるため注意しましょう。
届出は、窓口への持参や郵送のほか、オンラインで行うこともできます。
もし届出を忘れていた場合には、「忘れたから更新できない」と自己判断するのではなく、現在の状況を確認したうえで、必要な対応を行うことが大切です。
3か月以上の空白期間がある場合には、転職活動の状況だけでなく、退職・転職に伴う届出が適切に行われているかも申請前に確認しておきましょう。
【5】3か月以上の空白期間がある場合、更新申請で何を説明する?
3か月以上の空白期間がある場合、転職先が決まった後の更新申請では、退職から入社までの経緯を整理しておくことが重要です。
特に確認したいのは、次の3点です。
①転職活動を実際に行っていたこと
まずは、空白期間中にどのような転職活動をしていたのかを整理します。
例えば、
- いつから転職活動を開始したのか
- 求人サイトを利用したのか
- 転職エージェントに登録したのか
- 何社程度に応募したのか
- 面接を受けたのか
- 内定までどのくらいの期間がかかったのか
などです。
単に「仕事を探していました」と説明するのではなく、具体的な活動内容を時系列で説明できる状態にしておくことがポイントです。
②空白期間中に不法就労をしていないこと
もう一つ重要なのが、無職期間中の就労状況です。
技人国の会社を退職したからといって、その後自由にアルバイトができるわけではありません。
例えば、技人国の活動に該当しないアルバイトなどをする場合には、原則として資格外活動許可が必要です。
そのため、3か月以上の空白期間がある場合には、「その期間にどのように生活していたのか」についても確認しておきましょう。
預貯金で生活していたのか、家族から援助を受けていたのかなど、実際の状況を整理します。
もし無職期間中にアルバイトをしていた場合には、資格外活動許可の有無や、実際にどのような仕事をしていたのかを確認する必要があります。
③退職から入社までの経緯を時系列で説明する
最後に、退職から入社までの流れを整理します。
例えば、
4月30日 前職を退職
↓
5月上旬 転職エージェントに登録
↓
5月~7月 複数の会社に応募・面接
↓
8月 現在の会社から内定
↓
9月 入社
というように整理しておけば、空白期間について説明が必要になった場合にも、事実関係を正確に伝えやすくなります。
必要に応じて、この経緯を説明する理由書・説明書を作成し、転職活動の実態が分かる資料を添付することも考えられます。
ただし、3か月以上の空白期間があるからといって、すべてのケースで理由書の提出が法律上必須というわけではありません。
重要なのは、その人の退職理由や転職活動の状況に応じて、空白期間について入管に説明できる状態にしておくことです。
【6】転職後の仕事内容も確認!そのまま「更新」でよいとは限らない
3か月以上の空白期間について整理できたとしても、それだけで更新申請の準備が終わるわけではありません。
転職後の仕事内容が、現在の技人国の在留資格で認められる活動に該当するかを確認する必要があります。
技人国は、専門的な知識・技術を必要とする業務や、外国文化に基づく思考・感受性を必要とする業務を対象とする在留資格です。
そのため、
「前の会社でも技人国だったから、転職先でもそのまま更新できる」
とは限りません。
転職先について、
- 具体的にどのような仕事をするのか
- 雇用契約の内容はどうなっているか
- 給与はいくらなのか
- 会社ではどのような事業を行っているのか
- 本人の学歴・職歴と仕事内容に関連性があるか
などを確認する必要があります。
また、転職後も現在の在留資格に基づく活動を継続する場合には、在留期間更新許可申請を行うことになります。
一方、転職後の活動内容が現在の在留資格に基づく活動から変わる場合には、在留資格変更許可申請が必要になる場合があります。
さらに、現在の「技術・人文知識・国際業務」の申請では、所属機関のカテゴリーなどによって提出書類が異なります。
したがって、3か月以上の空白期間があるケースでは、「退職後の空白期間」だけでなく、「転職後の仕事内容・雇用条件・会社の状況」もまとめて確認したうえで、更新申請を準備することが重要です。
【まとめ】
技人国の外国人が退職してから3か月以上、技人国に基づく活動をしていない場合でも、3か月が経過した時点で直ちに在留資格が取り消されるわけではありません。
一方で、正当な理由なく長期間仕事をしていない場合には、在留資格取消しの対象となる可能性があります。
そのため、3か月以上の空白期間がある場合は、「現在は転職先が決まっているから大丈夫」と考えるのではなく、退職から入社までの経緯を具体的に説明できるようにしておくことが重要です。
特に、自己都合で退職した場合や、転職活動が長引いた場合には、退職理由だけでなく、転職活動の内容や空白期間中の生活状況なども含めて整理しておきましょう。
また、退職・転職に伴う届出が適切に行われているか、転職後の仕事内容が技人国に該当しているかについても、更新申請の前に確認しておく必要があります。
「3か月を超えてしまったから、もう更新できない」わけではありません。
重要なのは、これまでの経緯を整理し、現在の状況に応じた申請準備をすることがポイントとなります。
\3か月以上の空白期間がある方は、申請前にご相談ください/
技人国で転職活動が長引いた場合、退職理由や転職活動の状況、空白期間中の生活状況、転職後の仕事内容などによって、確認すべきポイントが変わります。
当事務所では、3か月以上の空白期間がある技人国の方について、更新申請の前に現在の状況を確認し、許可・不許可の事前診断を無料で実施しています。
「3か月以上経ってしまったけれど、更新できるのか」
「転職活動をしていたことをどう説明すればよいのか」
「転職先の仕事内容で技人国を更新できるのか」
といった点について、退職から現在までの経緯を確認したうえで、申請に向けて整理すべき事項をご案内します。
3か月を超えたことだけで諦める必要はありません。
まずは現在の状況を確認し、申請前にできる準備をしておきましょう。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
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