【1】留学から技人国への変更では書類を省略できる場合がある
留学生を採用して技人国への在留資格変更を行う場合、申請人本人に関する書類だけでなく、勤務先となる企業に関する資料も提出する必要があります。
企業の規模や状況などによって提出する資料が異なるため、「留学生を採用するだけなのに、会社側でもかなりの書類を用意しなければならない」と感じる企業もあるでしょう。
しかし、一定の条件を満たす場合には、カテゴリー2と同様の添付資料で申請できるため、通常よりも会社側の提出書類を省略できる場合があります。
ここで注意したいのは、この取扱いを利用したからといって、会社そのものがカテゴリー2になるわけではないという点です。
あくまで、留学から技人国への変更申請について、一定の条件を満たす申請人について提出書類の省略が認められるという制度です。
また、書類が省略できるからといって、技人国の在留資格を取得するための審査基準が緩和されるわけではありませんので注意しましょう。
【2】提出書類を省略できる3つのケース
留学から技人国への変更申請で提出書類の省略が認められるのは、主に次の3つのケースです。
①日本の大学等を卒業した人を採用する場合
1つ目は、日本の大学、大学院または短期大学を卒業した人、または卒業見込みの人が申請する場合です。
たとえば、
- 日本の大学に在籍している外国人留学生を新卒採用する
- 日本の大学院を卒業予定の留学生を採用する
- 日本の短期大学を卒業した留学生を採用する
といったケースが該当します。
日本の大学等を卒業した留学生については、一定の条件を満たすことで、この提出書類の省略に関する取扱いを利用できます。
そのため、日本の大学等から外国人留学生を採用する企業は、通常の提出書類だけでなく、この省略制度を利用できないか確認しておくとよいでしょう。
②一定の基準を満たす海外大学を卒業した人を採用する場合
2つ目は、海外の大学を卒業した人で、一定の基準を満たす大学の卒業者です。
対象となるのは、
- QS World University Rankings
- Times Higher Education World University Rankings
- Academic Ranking of World Universities(上海ランキング)
上記3つの世界大学ランキングのうち、2つ以上で上位300位以内にランクインしている大学です。
たとえば、海外の大学を卒業した外国人を日本企業が採用し、留学から技人国への変更申請を行う場合でも、卒業した大学がこの条件を満たしていれば、提出書類の省略に関する取扱いを利用できる可能性があります。
ただし、「海外の有名大学ならすべて対象」というわけではありません。
対象となるかどうかは、大学のランキング掲載状況を確認する必要があります。
③過去に留学から就労資格へ変更した外国人を雇用している場合
3つ目は、現在、その企業で、過去に「留学」から就労資格へ変更した外国人を雇用しており、その外国人が在職中に在留期間の更新許可を受けている場合です。
たとえば、
- 過去に外国人留学生Aさんを採用し、入社時に留学から技人国などの就労資格へ変更した
- その後も外国人Aさんがその会社で継続して勤務している
- Aさんが在職中に在留期間の更新許可を受けた
- 今後、新たに別の留学生を採用する
というケースです。
この場合、新たに採用する留学生についても、一定の条件を満たせば提出書類の省略に関する取扱いを利用できます。
ただし、「過去に留学生を採用したことがある」というだけでは足りません。
現在その外国人が在職していることや、在職中に在留期間の更新許可を受けていることなど、制度上の条件を満たしているかを事前に確認しましょう。
その外国人従業員が既に退職している場合や、同じ会社で更新許可を受けていない場合は対象外となる点には注意が必要です。
このようなケースに該当する企業は主にカテゴリー3の企業が想定されます。
【3】書類を省略すると、何が変わる?
この制度を利用すると、留学から技人国への変更申請について、カテゴリー2と同様の添付資料で申請できるようになります。
そのため、企業の状況によっては、通常であれば提出が必要となる会社関係資料の一部を省略できる場合があります。
ただし、「すべての会社資料が不要になる」という意味ではありません。
また、次のような書類まで一律に不要になるわけではありません。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート
- 在留カード
- 卒業証明書等の学歴を確認する資料
- 雇用契約書等の労働条件を確認する資料
- 業務内容を確認する資料
- など、その他、申請内容に応じて必要となる資料
つまり、「会社側の資料を中心に、一部の添付書類を省略できる可能性がある」という制度として理解しておくことが大切です。
どの資料が必要になるかは、申請する在留資格、企業の状況、申請人の経歴や仕事内容などによって変わります。
\留学生の技人国変更で「どこまで書類を省略できる?」とお悩みの企業の方へ/
留学から技人国への変更では、一定の条件を満たす場合、通常より提出書類を省略できるケースがあります。
一方で、
- 自社で採用する留学生が省略の対象になるのか分からない
- どの会社関係書類を省略できるのか判断できない
- 「提出書類省略に関する説明書」の作成方法が分からない
といったケースも少なくありません。
書類を省略できる場合でも、技人国への変更要件そのものが緩和されるわけではないため、省略できる書類と、別途確認・準備が必要な書類を事前に整理しておくことが重要です。
ひらま行政書士事務所では、留学生の技人国への在留資格変更について、書類省略の対象となるかの確認から、必要書類の整理、申請書類の作成・申請までサポートしています。
「今回のケースは書類を省略できる?」という段階でも、お気軽にご相談ください。
【4】書類を省略する場合は「提出書類省略に関する説明書」が必要
この取扱いを利用して提出書類を省略する場合には、単純に必要書類を提出しなくてよいというわけではありません。
「提出書類省略に関する説明書」を作成し、申請時に提出する必要があります。
この説明書では、今回の申請が提出書類の省略対象となることについて、必要な事項を説明します。
難しい書類ではないので、心配する必要はありません。
省略制度を利用する場合には、自社の申請が本当に対象となるのかを確認したうえで、必要な説明書を添付することが重要です。
また、説明内容に事実と異なる内容が含まれている場合、虚偽申請として扱われる可能性があるため注意が必要です。
▼書類については以下を参考にしてください。(引用元:出入国管理庁HP)
※提出書類省略に関する説明書(「留学」から「技術・人文知識・国際業務」又は「研究」への変更)
【5】書類を省略できても、技人国の審査が簡単になるわけではない
提出書類の一部を省略できるからといって、技人国への変更申請そのものが簡単になるわけではありません。
入管では、通常どおり、
- 採用する外国人が技人国の要件を満たしているか
- 学歴や専攻と仕事内容との関連性があるか
- 日本人と同等額以上の報酬が設定されているか
- 実際にその業務を行うことが予定されているか
- 雇用条件に問題がないか
- 在留状況に問題がないか
などが審査されます。
つまり、省略されるのは「提出書類」であって、在留資格の要件に関する審査ではありません。
特に、留学生を新卒採用する場合には、「大学を卒業しているから技人国に変更できる」とは限りません。
従事する仕事内容が技人国で認められる業務に該当するか、本人の学歴・専攻や職歴との関係に問題がないかなどを事前に確認する必要がありますので注意しましょう。
【6】派遣社員として受け入れる場合は対象外
この提出書類の省略に関する取扱いには、派遣形態で就労する場合は対象外という注意点があります。
そのため、
「留学生を採用して派遣会社から派遣する」
というケースでは、今回紹介した省略制度をそのまま利用できるわけではありません。
直接雇用なのか、派遣による就労なのかによって取扱いが変わるため、雇用形態についても事前に確認しておきましょう。
【7】省略できる場合でも、追加資料を求められることがある
もう1つ重要なのが、書類を省略して申請した場合でも、入管から追加資料の提出を求められる可能性があるという点です。
「提出書類を省略できる」と聞くと、「省略した書類は、会社側でも準備しておかなくてよい」と考えてしまうかもしれません。
しかし、入管のホームページに掲載されている必要書類は、あくまで「最低限の目安」であり、それだけで万全と言えない点には注意が必要です。
特に実績のないカテゴリー4の新設会社においては、審査の過程で「経費支払能力(資金力)」や「具体的な業務量」に疑義が生じやすく、実務上、経営の実態を証明する事業計画書などの追加書類を要求される傾向が強くあります。
そのため、提出時点では省略できるとしても、会社の事業内容や経営状況を確認できる資料については、事前にある程度用意しておくのが安心です。
提出書類の範囲や内容に少しでも懸念がある場合は、事前のリスク回避のためにも、ぜひ専門家への相談をご検討ください。
【まとめ】
留学から「技術・人文知識・国際業務(技人国)」への在留資格変更では、一定の条件を満たす場合、カテゴリー2と同様の添付資料で申請できるため、会社側の提出書類を一部省略できる場合があります。
対象となる主なケースは、次の3つです。
- 日本の大学・大学院・短期大学を卒業または卒業見込みの場合
- 一定の基準を満たす海外大学を卒業している場合
- 過去に留学から就労資格へ変更した外国人を現在も雇用しており、その外国人が在職中に在留期間の更新許可を受けている場合
ただし、書類を省略できるからといって、技人国の取得要件まで緩和されるわけではありません。
また、対象となる場合でも「提出書類省略に関する説明書」の提出が必要であり、審査の過程で追加資料の提出を求められることもあります。
そのため、留学生を採用する際には、単に「書類を減らせるか」だけでなく、自社の採用ケースが省略制度の対象になるのか、どの書類を準備しておくべきなのかを申請前に確認しておくことが重要です。
\留学生の技人国変更で、提出書類に不安がある企業の方へ/
「自社で採用する留学生は、書類省略の対象になるのか分からない」
「カテゴリーがよく分からず、どの書類を準備すればよいのか判断できない」
「書類を省略して申請しても問題ないのか不安」
「追加資料を求められないよう、申請前にしっかり準備しておきたい」
このような場合は、申請前に一度、専門家へご相談ください。
留学から技人国への変更申請は、提出書類だけでなく、採用する外国人の学歴・専攻と仕事内容との関連性や、雇用条件、実際の業務内容なども含めて確認することが重要です。
ひらま行政書士事務所では、留学生の採用に伴う技人国への在留資格変更について、必要書類の確認から申請までサポートしています。
申請準備を始める前に、自社のケースでどのような書類が必要になるのか確認したい企業の方は、お気軽にご相談ください。
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