【1】海外に住んでいる家族も扶養控除の対象にできる
外国人社員の家族が海外に住んでいる場合でも、一定の条件を満たしていれば、所得税の扶養控除の対象にできます。
税法上、海外に住んでいる親族は「国外居住親族」と呼ばれます。
扶養控除の対象となるためには、基本的に、
- 納税者と一定の親族関係にあること
- 「生計を一にしている」こと
- 親族の合計所得金額が一定以下であること
などの条件を満たす必要があります。
なお、ここでいう「扶養控除」は、配偶者を除く一定の親族が対象となる制度です。
配偶者については、扶養控除ではなく配偶者控除などの制度を確認する必要があります。
また、海外に住んでいるからといって、必ずしも同居している必要はありません。
たとえば、外国人社員が海外にいる子どもや親の生活費・教育費などを継続的に負担している場合には、「生計を一にする」関係にあると認められる可能性があります。
【2】海外在住の家族を扶養控除に入れるための条件
海外在住の家族を扶養控除の対象にするためには、主に次の点を確認します。
①親族関係にあること
扶養控除の対象となるのは、一定範囲の親族です。
そのため、単に生活費を送っている知人などを扶養控除の対象にすることはできません。
外国人社員の場合、海外にいる家族との親族関係を証明するため、出生証明書などの「親族関係書類」が必要になることがあります。
②「生計を一にしている」こと
「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを意味しません。
海外に住む親族であっても、外国人社員が生活費や教育費などを継続的に負担している場合には、この要件を満たす可能性があります。
そのため、海外に住む家族を扶養控除の対象とする場合は、送金の事実を確認できる資料を残しておくことが重要です。
③家族の所得が58万円以下であること
扶養控除の対象となる親族は、原則として合計所得金額が58万円以下である必要があります。
ここで注意したいのが、「58万円」は給与収入そのものではなく、所得金額である点です。
給与収入だけの場合は、給与所得控除を考慮すると、年間の給与収入が123万円以下であれば、合計所得金額が58万円以下となります。
また、海外に住む家族が現地で収入を得ている場合、その所得についても確認が必要です。
「日本から仕送りをしているから扶養控除を受けられる」と考えるのではなく、扶養親族本人の所得要件も確認する必要があります。
【3】家族の年齢によって扶養控除の条件が変わる
国外居住親族については、年齢によって取り扱いが異なります。
①16歳未満
16歳未満の親族については、所得税の扶養控除は受けられません。
②16歳以上30歳未満
16歳以上30歳未満の親族は、基本的な扶養控除の要件を満たしていれば、国外居住親族であっても扶養控除の対象となる可能性があります。
③30歳以上70歳未満
30歳以上70歳未満の国外居住親族については、原則として、次のいずれかに該当する必要があります。
- 留学のため海外に住んでいる
- 障害者に該当する
- その年に38万円以上の生活費・教育費の支払いを受けている
したがって、30歳以上70歳未満の家族については、単に海外に住んでいて仕送りをしているだけでは扶養控除の対象にならない場合があります。
④70歳以上
70歳以上の親族については、30歳以上70歳未満の場合のような追加要件はありません。
一定の扶養控除の要件を満たしていれば、国外居住親族でも扶養控除の対象となる可能性があります。
なお、扶養控除の対象となるかどうかを判断する年齢は、原則としてその年の12月31日時点で判定します。
\外国人社員の雇用に関する手続きでお困りではありませんか?/
外国人社員の家族を扶養する場合、家族の年齢や所得、海外への送金状況などによって、確認すべきポイントが異なります。
「海外にいる家族を扶養控除の対象にできるのか分からない」
「外国人社員から扶養について相談を受けたが、何を確認すればいいのか分からない」
といった場合には、早めに必要な条件や書類を確認しておくことが大切です。
ひらま行政書士事務所では、外国人雇用に関する各種在留資格の手続きをはじめ、外国人社員の家族に関するご相談にも対応しています。
外国人社員の雇用関係手続きでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
【4】38万円以上仕送りだけすれば扶養控除を受けられるわけではない
海外に住む家族について、「年間38万円以上送金すれば扶養控除を受けられる」と考えている方もいますが、これは正確ではありません。
38万円の送金が問題となるのは、30歳以上70歳未満の国外居住親族が扶養控除の対象となるための要件の一つです。
そのため、38万円以上を送金していたとしても、それだけで扶養控除が認められるわけではありません。
親族関係や生計を一にしていること、親族の所得要件など、その他の条件も満たす必要があります。
また、38万円の送金を要件として扶養控除を受ける場合には、年間38万円以上の生活費・教育費を支払ったことを確認できる「38万円送金書類」が必要になる点にも注意しましょう。
【5】海外在住の家族を扶養控除に入れるために必要な書類
国外居住親族について扶養控除を受ける場合は、通常の扶養親族よりも確認書類が重要になります。
主な書類は次のとおりです。
①親族関係書類
海外にいる家族が扶養控除の対象者であることを確認するための書類です。
出生証明書など、親族関係を確認できる公的な書類が該当します。
②送金関係書類
海外にいる親族と「生計を一にしている」ことを確認するため、生活費や教育費などを送金したことが分かる書類が必要になります。
銀行の送金記録などが代表的なものです。
③38万円送金書類
30歳以上70歳未満の国外居住親族について、年間38万円以上の生活費・教育費の支払いを要件として扶養控除を受ける場合には、38万円以上を支払ったことを確認できる書類が必要です。
なお、30歳以上70歳未満であっても、留学や障害を理由として扶養控除の対象となる場合には、38万円送金を要件とする場合とは必要書類が異なります。
また、これらの書類が外国語で作成されている場合は、原則として日本語訳も必要です。
【6】日本に家族を呼び寄せて扶養する場合は「家族滞在ビザ」を検討
海外に住んでいる家族を税務上の扶養親族として扱うだけでなく、日本に家族を呼び寄せて、日本国内で扶養しながら一緒に暮らしたいというケースもあります。
この場合、扶養控除の手続きだけでは家族を日本に呼び寄せることはできません。
日本で生活するためには、家族側にも日本で滞在するための在留資格が必要です。
たとえば、外国人社員が「技術・人文知識・国際業務」などの対象となる在留資格で日本に滞在しており、海外にいる配偶者や子どもを日本に呼び寄せて扶養する場合には、「家族滞在」の在留資格を検討することができます。
「家族滞在」は、日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子が、日本で日常的な活動を行うための在留資格です。
したがって、
海外にいる家族を税務上の扶養控除の対象にする
→ 家族を日本に呼び寄せる場合は、家族側の在留資格を確認する
→ 要件を満たせば「家族滞在」で日本に呼び寄せ、日本国内で扶養する
というように、それぞれの制度を分けて考えることが重要です。
なお、家族滞在の対象となるのは原則として配偶者・子であり、海外にいる親や兄弟姉妹を家族滞在で呼び寄せられるわけではありません。
家族の続柄や外国人社員本人の在留資格によって利用できる制度が異なるため、事前に確認する必要があります。
外国人社員から「海外にいる家族を日本に呼んで、一緒に暮らしたい」という相談を受けた場合には、扶養控除だけでなく、家族を日本に呼び寄せるための在留資格まで含めて確認することが大切です。
【まとめ】
海外に住んでいる外国人社員の家族であっても、一定の条件を満たせば、所得税の扶養控除の対象にすることができます。
ただし、国外居住親族については、
- 親族関係を確認できること
- 「生計を一にしている」と認められること
- 親族本人の合計所得金額が58万円以下であること
- 年齢によって追加の要件を満たしていること
- 親族関係書類や送金関係書類などを準備すること
などを確認する必要があります。
また、海外に住んでいる家族を日本に呼び寄せ、日本国内で生活を支えたい場合には、扶養控除とは別に、家族側の在留資格についても確認が必要です。
外国人社員の配偶者や子どもを日本に呼び寄せる場合には、要件を満たせば「家族滞在」の在留資格を利用できる可能性があります。
このように、外国人社員の家族に関する手続きでは、税務上の扶養と、外国人が日本で生活するための在留資格を分けて考えることが重要です。
\外国人社員の家族の呼び寄せ・在留資格でお困りではありませんか?/
外国人社員から、
「海外にいる家族を日本に呼び寄せたい」
「配偶者や子どもを日本で一緒に暮らさせたい」
「家族滞在の在留資格を取得できるか確認したい」
といった相談を受けた場合、扶養控除だけでなく、家族を日本に呼び寄せるための在留資格まで含めて確認することが大切です。
ひらま行政書士事務所では、外国人雇用に関する在留資格の手続きだけでなく、外国人社員の家族を日本に呼び寄せるための「家族滞在」など、外国人社員とその家族に関する在留資格のご相談にも対応しています。
「海外にいる家族を日本に呼び寄せたいけれど、どの在留資格を取得すればいいのか分からない」
「家族滞在の要件を満たしているか確認したい」
「外国人社員から家族について相談を受けたが、会社として何を確認すればいいか分からない」
という場合は、お気軽にご相談ください。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
⇓
【\無料相談・無料事前診断実施中/】
▼こちらのブログをご覧になられた方は下記にブログもご覧になられてます。▼
【技人国ビザ】N2は必須?2026年4月15日から日本語要件が正式追加|対象範囲・証明方法・企業対応を解説
就労ビザ(技人国)雇用理由書の書き方完全ガイド|不許可・追加資料を防ぐ実務ポイント
就労ビザ申請の雇用契約書は何を書く?技人国審査で重要な記載項目の例と注意点、サンプルをご紹介