【1】偽造在留カードとは?外国人採用時に注意が必要な理由
在留カードは、日本に中長期間滞在する外国人に対して交付される重要な証明書です。
カードには、氏名や生年月日、国籍・地域のほか、在留資格や在留期間、就労制限の有無など、外国人が日本でどのような活動を行うことができるのかを判断するための情報が記載されています。
そのため、外国人を採用する際には、企業が在留カードを確認することが重要です。
しかし、在留カードを確認して「就労制限がない」「在留期限が切れていない」と判断しただけでは、十分とはいえません。
なぜなら、その在留カード自体が偽造されている可能性があるためです。
企業が偽造在留カードを使用していることを知りながら外国人を雇用した場合は、当然ながら大きな問題となります。
また、偽造であることを知らなかった場合であっても、必要な確認を行わずに就労資格のない外国人を雇用した場合には、企業側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
さらに、偽造在留カードを使用していた外国人が警察に逮捕されれば、突然出勤できなくなり、業務に支障が生じることも考えられます。
特に複数の外国人を雇用している企業では、1人の不法就労が発覚したことをきっかけに、他の外国人従業員の在留状況についても確認が行われる可能性があります。
そのため、外国人を採用する企業にとって、偽造在留カードへの対策は、法律上のリスクを防ぐだけでなく、安定した雇用管理を行ううえでも重要です。
【2】偽造在留カードを見破るために確認すべきポイント
偽造在留カードかどうかを確認するためには、カードの見た目だけで判断するのではなく、複数の方法を組み合わせて確認することが重要です。
①必ず在留カードの原本を確認する
まず重要なのは、在留カードのコピーやスマートフォンで撮影した画像だけではなく、必ず原本を確認することです。
採用時に在留カードのコピーを提出してもらうこと自体は、確認した記録を残すという意味では有効です。
しかし、コピーだけでは、カードそのものの質感や偽変造防止のための加工などを確認することができません。
また、コピーや画像自体が加工されている可能性もあります。
そのため、在留カードの確認では、まず本人から原本を提示してもらい、実際のカードを確認することが基本です。
②カードの偽変造防止加工や質感を確認する
在留カードには、偽造や変造を防ぐためのさまざまな加工が施されています。
例えば、カードの角度を変えた際に確認できるホログラムや透かしなどは、偽造カードかどうかを確認する際のポイントの一つです。
在留カードの左下に配置されているホログラムは、見る角度を傾けることで「MOJ」という文字が表示され、バックのパターンが変化する特殊構造になっています。
一方、偽造カードの場合は視点を変えても光り方や柄が変化することはありません。
また、カードの質感や印字状態にも注意が必要です。
極端に薄い、加工が不自然、文字が不鮮明、印刷に違和感があるといった場合には、慎重に確認する必要があります。
ただし、近年は偽造技術も巧妙になっており、見た目だけで偽造かどうかを判断することには限界があります。
そのため、目視による確認はあくまで第一段階と考え、後述するICチップの読み取りや失効情報照会も併せて行うことが重要です。
③在留カード等読取アプリケーションでICチップを確認する
偽造在留カードの確認方法として、特に有効なのが、出入国在留管理庁が提供している在留カード等読取アプリケーションの利用です。
在留カードにはICチップが搭載されており、このアプリケーションを利用することで、ICチップに記録されている情報を読み取ることができます。
読み取った情報と、在留カードの券面に記載されている情報を比較することで、偽変造が疑われるカードを確認することができます。
例えば、券面の情報とICチップ内の情報が異なる場合や、ICチップを正常に読み取ることができない場合には、偽造や変造が疑われる可能性があります。
見た目だけでは判別しにくいカードであっても、ICチップ内の情報と照合することで、不自然な点に気付ける場合があります。
そのため、外国人を採用する際には、可能な限り在留カード等読取アプリケーションを活用することをおすすめします。
▼アプリケーションは以下からダウンロードできます。
出入国在留管理庁:在留カード等読取アプリケーション
④在留カード等番号失効情報照会を利用する
在留カードに記載されている番号と有効期間の満了日を利用し、その在留カードが失効していないか確認することも重要です。
失効情報照会を行うことで、すでに失効している在留カードであることが判明する場合があります。
ただし、失効情報照会で問題がなかったからといって、そのカードが確実に本物であるとは限りません。
実在する有効な在留カード番号を悪用した偽造カードもあるためです。
そのため、失効情報照会だけに頼るのではなく、在留カードの原本確認、目視による確認、ICチップの読み取りを組み合わせることが重要です。
▼番号の照会は以下から可能です。
出入国在留管理庁:在留カード等番号失効情報照会
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外国人採用では、在留カードの真偽を確認するだけでなく、在留資格と採用予定の仕事内容が適合しているかまで確認することが重要です。
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【3】在留カードの人物と本人が同一人物かを確認する
在留カードそのものが本物であっても、それを提示している人物がカードに記載されている本人とは限りません。
そのため、カードの真偽だけではなく、採用しようとしている人物と在留カードの名義人が同一人物であるかも確認する必要があります。
まず、大前提の確認にはなりますが、在留カードに記載されている顔写真と、目の前にいる本人を照らし合わせます。
顔写真と本人に明らかな違いがある場合はもちろん、同一人物かどうか判断に迷う場合にも、安易に採用を進めるべきではありません。
必要に応じて、氏名や生年月日を本人に確認したり、パスポートなどの情報と照らし合わせたりする方法も考えられます。
また、面接時に在留カードを確認した人物と、実際に勤務を開始する人物が異なるケースにも注意が必要です。
会社の規模がそれなりに大きく複数の部署やフロアがあり、面接担当者だけが本人確認を行っている場合、勤務開始時に別の人物が現れても、現場では気付けない可能性があります。
そのような会社の場合は、採用時に現場責任者が同席して本人確認を実施する等、採用担当者と現場責任者が必要な情報を共有し、なりすましのリスクを減らしていきましょう。
在留カードに不審な点を見つけた場合の対応
在留カードに不自然な点がある場合は、その場で偽造カードだと決めつけたり、高圧的に追及したりすることは避けるべきです。
まずは、カードの記載内容や確認結果について、本人に冷静に事実確認を行います。
そのうえで、不審な点が解消されない場合には、採用手続きをいったん保留し、安易に雇用を開始しないことが重要です。
必要に応じて、行政書士などの専門家や、関係機関への相談を検討しましょう。
企業側で判断できない場合には、無理にその場で結論を出さず、十分に確認したうえで対応することが大切です。
【4】不審なブローカーや無許可の紹介業者から採用しない
外国人材の採用を急いでいる企業では、
「外国人をすぐに紹介できる」
「まとまった人数を確保できる」
といった話に魅力を感じることもあるでしょう。
しかし、紹介元が不明確なブローカーなどから安易に人材紹介を受けることは注意が必要です。
特に、紹介事業者の実態が不明であるにもかかわらず、多数の外国人を紹介してくる場合や、在留資格の確認について「問題ない」とだけ説明する場合には、慎重な対応が必要です。
人材を紹介する者が、必要な許可を受けて職業紹介事業を行っているかについても確認しましょう。
職業紹介事業者を利用する場合には、厚生労働省の人材サービス総合サイトなどで、紹介事業者の情報を確認することができます。
また、既存の従業員から紹介された外国人であっても、在留カードの確認を省略してはいけません。
紹介経路にかかわらず、すべての採用予定者について、企業側で必要な確認を行うことが重要です。
【5】在留カードが本物でも採用できるとは限らない
ここまで、偽造在留カードを見分けるための確認方法について解説しました。
しかし、在留カードが本物であることを確認できたとしても、その外国人を必ず採用できるとは限りません。
重要なのは、その外国人が、採用予定の仕事内容を行うことができるかという点です。
例えば、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」であれば、採用後の仕事内容がその在留資格で認められる活動に該当するかを確認する必要があります。
また、「留学」や「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人の場合には、資格外活動許可の有無や、認められた就労時間の範囲についても確認が必要です。
このように、外国人採用では、次の2つを分けて確認する必要があります。
- 提示された在留カードが本物か
- その外国人を、予定している仕事内容で雇用することができるか
在留カードの偽造を見破ることは、不法就労を防ぐための重要な第一歩です。
しかし、企業が不法就労のリスクを防ぐためには、それだけでは十分ではありません。
採用前には、在留資格の内容と実際の業務内容が適合しているかまで確認することが重要です。
【まとめ】
外国人を採用する際は、在留資格や在留期限を確認するだけでは十分とはいえません。
近年は精巧な偽造在留カードも確認されているため、カードの見た目だけで判断せず、複数の方法を組み合わせて確認することが重要です。
特に、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 在留カードはコピーではなく原本を確認する
- ホログラムなどの偽変造防止加工やカードの質感を確認する
- 在留カード等読取アプリケーションでICチップの情報を確認する
- 在留カード等番号失効情報照会を併用する
- 在留カードの人物と採用予定者が同一人物か確認する
- 不審な点がある場合は、採用を急がず事実確認を行う
- 在留カードが本物であっても、在留資格と採用予定の仕事内容が適合しているか確認する
外国人採用では、「在留カードが本物かどうか」と「その外国人を予定している仕事内容で雇用できるか」を分けて確認することが重要です。
在留カードの確認だけで安心せず、採用後の仕事内容や雇用条件も含めて適切に確認することで、不法就労や在留資格に関するトラブルを防ぎやすくなります。
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外国人採用では、在留カードの確認だけではなく、在留資格の内容と実際の業務内容が適合しているか、必要な在留資格の変更や申請が必要かなどを総合的に確認することが重要です。
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