【1】永住ビザとは?
永住ビザ(在留資格「永住者」)は、在留期間に期限がなく、原則として更新が不要な在留資格です。(※在留カード自体は7年ごとに更新が必要です)
永住ビザとは、「日本社会に安定的に定着していることを前提に与えられる資格」である点を理解しておく必要があります。
①永住ビザの主なメリット
- 就労制限なし(職種・業種・雇用形態すべて自由)
- 転職・副業・独立・起業も自由
- 在留期限に追われる不安から解放される
- 金融機関・不動産契約など社会的信用が高い
といったメリットがあります。
②永住ビザの注意点
永住ビザは「一度取れば何でも自由」という資格ではありません。
- 納税・年金・保険の不履行
- 重大な法令違反
- 長期の国外滞在
などがある場合、永住資格取消のリスクもあります。
永住ビザは「在留のゴール」ではなく「責任ある地位」になりますので、取得後も注意していきましょう。
▼永住ビザの取得要件、取消要件についての詳細は下記コラムをご覧ください。
【完全版】永住ビザ申請の全て:要件・必要書類・審査ポイント・不許可回避まで総まとめを徹底解説
【2027年改正対応】永住ビザ取消の5大リスクと確実に維持するための全ポイント|帰化を検討すべき人の条件まで解説
【2】定住ビザとは?
定住ビザ(在留資格「定住者」)は、人道的配慮や特別な事情を考慮して、法務大臣の裁量で許可される在留資格です。
就労制限はありませんが、在留期間は 5年・3年・1年・6か月などの期限付き で付与されます。
≪1≫定住者の種類|告示定住者と告示外定住者
定住者は大きく次の2つに分かれます。
告示1号〜8号(要約)
1号:特定国に一時滞在する難民
2号:削除
3号:日系2世・日系3世(条件あり)
4号:日系3世(別要件)
5号:日系2世・3世や定住者の配偶者
6号:永住者・日系人・定住者等に扶養される子
7号:日本人・永住者等の6歳未満の養子
8号:中国残留邦人およびその親族
告示に明確な類型はないものの、個別事情を総合判断して認められる定住者です。
代表例としては、
- 日本人配偶者ビザからの離婚・死別後
- 永住者配偶者ビザからの離婚・死別後
- 日本人の実子を監護・養育しているケース
などが挙げられます。
【3】永住ビザと定住ビザの違い
永住ビザと定住ビザは、いずれも身分系在留資格であり、就労制限がない点では共通しています。
各共通点としては、以下の通りです。
- 就労活動の制限がない
- 在留カードの携行・提示義務がある
- 再入国許可が必要
- 退去強制の可能性がある
- 参政権はない
また、永住ビザと定住ビザの違いについては下記の通り。
| 観点 | 定住ビザ | 永住ビザ |
|---|---|---|
| 在留期間 | 期限あり(更新必要) | 無期限 |
| 更新審査 | あり | なし(カード更新のみ) |
| 安定性 | 状況次第で左右される | 非常に高い |
| 評価軸 | 現在の事情が継続しているか | 日本社会への定着度 |
この違いは、「今の生活」ではなく、5年後・10年後の安定性に直結します。
定住ビザは、
「現在の事情が続いているか」を定期的に確認される資格。
永住ビザは、
「日本社会に定着した結果」として与えられる資格です。
定住に該当する事情を持つ方の中には、実は永住申請を見据えた判断が可能だったケースも少なくありません。
まずは、
「自分の状況で永住申請ができるのか」
「現時点では定住に該当するのか」
を整理したうえで、どの在留資格を選択すべきか判断することが重要です。
この視点を持たずに、「今は定住が取れるから」という理由だけで手続きを進めてしまうと、結果的に永住申請まで遠回りになってしまう可能性があります。
自分の状況が複雑でどちらを選択したらいいか迷われておりましたら、まずは専門家に一度ご相談してみてください。
【4】定住ビザから永住ビザに変更するのは簡単?
定住ビザから永住ビザへの変更は可能です。ただし、次の点を誤解してはいけません。
- 定住ビザを持っていれば自動的に永住できるわけではない
- 更新回数が多い=評価が高い、ではない
と、いった点に注意が必要です。
実務上は、
- 安定収入・継続性
- 納税・年金・保険の完全履行
- 最長在留期間(3年または5年)を持っているか
- 定住理由が現在も継続しているか
といった点が厳しく見られます。
定住ビザから永住ビザに変更する際、居住要件については緩和の特例はありますが、他の要件については通常通り厳しくみられるため決して簡単と言えるものではありません。
永住ビザに変更申請する際は、各要件を満たしているか必ずチェックして不安点がありましたら専門家にご相談ください。
▼永住ビザの取得要件についての詳細は下記コラムをご覧ください。
【完全版】永住ビザ申請の全て:要件・必要書類・審査ポイント・不許可回避まで総まとめを徹底解説
【まとめ】永住を見据えた場合の在留資格の考え方
永住ビザと定住ビザは、「どちらが向いているか」「どちらが楽か」といった基準で選ぶ在留資格ではありません。
重要なのは、
- 現在の自分の状況で、永住申請の要件を満たしているか
- 現時点では、定住として整理するのが妥当な事情なのか
実務上、定住ビザに該当する事情をお持ちの方の多くは、「まずは定住者として日本での生活を継続する」という判断をされます。
それ自体は、決して誤りではありません。
ただし中には、定住に該当する事情が生じた場合でも、その時点で既に永住申請の要件を満たしているケースがあります。この場合、必ずしも「まず定住に変更する」必要があるとは限らず、永住申請を視野に入れた整理が可能となることもあります。例えば、以下のような場合が該当します。
例)日本人配偶者と離婚・死別してしまった。
→定住に該当し得る事情
しかし同時に、
- 日本在留歴が10年以上
- 就労歴・収入・納税・年金が安定
- 在留期間3年 or 5年を保持
このような場合、「まず定住に変更する」以外に、「この時点で永住申請を検討する」という選択肢もあります。
その視点を持たずに、「今は定住が取れるから」という理由だけで手続きを進めてしまうと、後に永住を考えた際に「最初に確認しておけばよかった」と感じる結果になることも少なくありません。
在留資格は今の可否だけでなく、数年後を見据えて選択すべきものです。
将来の永住を見据えるなら、最初の整理が重要です
当事務所には、
- 定住ビザで更新を続けてきたが、永住申請でつまずいてしまった方
- 「定住で進めてよいのか、永住を検討すべきだったのか」判断に迷っている方
- 事情が複雑で、ネット情報では整理できなかった方
といったご相談が数多く寄せられています。永住ビザは、申請直前だけ頑張ればよい手続きではありません。
その前段階での在留資格の整理が、結果を大きく左右します。
- 今の状況で永住申請が可能か
- 定住として整理すべき理由は何か
- 将来、永住を目指す場合に注意すべき点はどこか
こうした点を一度整理しておくことで、無駄な遠回りやリスクを避けることができます。
「このままの進め方で問題ないのか不安」
「永住を見据えて一度整理しておきたい」
そのように感じた段階で、一度専門家にご相談ください。
将来を見据えた在留資格の整理から、丁寧にサポートいたします。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
⇓
【\無料相談・無料事前診断実施中/】