【1】勤務地変更は就労ビザ上どう扱われる?
勤務地変更は、最も誤解の多いポイントで住所が変わるだけで「所属機関変更」扱いになるケースがあります。
よくある誤解として、
「同じ会社なら本社→支店へ移動しても問題ない」
「部署内の席替えのような感覚で考えてしまう」
しかし入管は、“勤務実態のある所在地”を所属機関の住所として扱うという運用をとっています。
ポイントとして、勤務地が変われば、入管上は“所属状況が変化”したと見られます。
例えば、技人国の外国人社員が
- 東京本社 → 大阪支社
- 名古屋支店 → 福岡営業所
- 新オフィスへ移転
などの場合、法律上は次の届出義務が生じます。
【必要な手続き】
受入機関に関する変更届出(入管法第19条の16)
届け出期限:転勤後「14日以内」
届出を怠ると、外国人本人の更新審査で不利に扱われてしまい不許可リスクが高まってしまいますので、注意してください。
特に2024年以降、入管は 届出遅延のチェックを強化 しています。
日本人には影響しない“企業の当たり前”が、外国人には影響してしまいます。
在留資格ごとの「活動内容」と雇用契約の一致が重要となりますので、外国人の配置転換をする際は事前に確認をしましょう。
【2】他支店への異動は可能?
結論から言うと、他支店への異動は可能ですが、正確な届出と活動内容の整合性が必須です。
入管の判断ポイントは次の3つです。
①雇用契約が維持されているか
勤務地が変わっても、
- 契約主体(会社名)
- 給与支払者
- 雇用形態
が変わらなければ、基本は“会社内の異動”として扱われます。
②活動内容が同一か
技人国の範囲内であれば問題ありません。
しかし、支店移動したことにより、
- 営業同行が多くなり実質的に専門性のない販売員に
- 単純な入力・ピッキング作業が増える
などと、“活動内容のズレ”として審査対象になります。
③所属機関としての実体が変わらないか
支店の実態(事業規模・業務内容)が変わると、
- 実際は販売店に配属
- 店舗業務中心になっていた
- 技人国では認められない範囲へ移行
という問題が発生します。
まとめると、同じ会社内の人事異動でも、技人国の活動内容と一致していれば問題ありませんが、活動内容が大きく変更となる場合は注意してください。
【3】業務内容の変更はどこまで許される?
技人国の誤解されがちな点は、「幅広い業務に対応できる」=「何でもできる」ということではありません。
■技人国で許される業務(代表例)
- ITエンジニア
- 経理
- 人事・採用
- マーケティング
- 通訳・翻訳
- 法務
- 企画・調査
- 海外取引窓口(国際業務) など
これらは「専門性のある知識を要する業務」であるため、技人国ビザで全く問題ありません。
業務変更において入管が重視するポイントとしては、
「大学の専攻」
「前職での実務経験」
「これまで従事してきた職務」
と異動先での業務の専門性の「関連性」がポイントとなります。
▼OKとなりやすい例
- 営業→マーケティング(データ分析・企画)
- 経理→財務分析
- ITサポート→システム運用
▼NGになりやすい例
- ITエンジニア→受付スタッフ
- 研究職→現場作業員
- マーケティング→梱包・発送作業
どれも専門性がなく、単純作業と判断されてしまう業務内容については不許可リスクが高まります。
逆に専門性を説明できれば、許可はおります。
例えば、
携帯会社の本社でデスクワークをしていた外国人社員が店舗で「携帯の販売員」として異動する場合、携帯電話の販売には通信やシステムなどの専門知識の必要性が高いため、これらをしっかりと説明すれば技人国ビザでも認められています。
逆にそのような「専門性の説明」がないと不許可になりやすくなってしまいます。
部署異動では、企業側が
- 職務記述書
- 変更理由書
- 本人の経歴との関連性説明書
などの書類を必要に応じて作成し、
「技人国の範囲内である」
「専門性と繋がっている」
ということを論理的に示す必要がありますので、事前準備をしっかりとしていきましょう。
どのように説明をしたらいいか、書類作成に少しでも不安があるようであれば、一度専門家に相談することをおススメ致します。
【4】異動させた結果「ビザ違反」になる典型パターン
実務上、行政書士として最も多い相談は次の3つです。
パターン①:支店に移したら単純作業が中心になっていた
支店や営業所では人手が少なく、
- 出荷作業
- 在庫管理
- 倉庫業務
- 清掃
などを“ついで”としてやらせてしまう。
→これは入管が最も嫌う形で、違反リスクは非常に高い。
パターン②:グループ会社への出向を“会社内異動”と誤認
別法人へ出向させる場合、
- 契約関係が変わる
- 給与支払者が変わる
- 管理監督権限が変わる
ため、入管にとっては転職に近い扱い。
→手続きは“届出”ではなく“在留資格変更申請”に近くなります。
パターン③:業務内容を変更したのに届出も申請もしない
日本人には当たり前の「配置転換」ですが、外国人は“活動内容ごとに在留資格が設定”されているため、変更放置は 重大な違反となってしまいます。
- 更新で不許可
- 在留資格取消し
- 将来の永住・帰化への悪影響
など、企業責任が問われます。
これらは企業側としても悪気がなく、つい、うっかりで起きてしまう事象です。
外国人社員に行わせる業務内容については日ごろから気を配って監督をしていきましょう。
【5】書類上の必要手続き
異動内容に応じて必要な手続きは次の3種類に分かれます。誤った手続きをしてしまうと不許可リスクが高まりますので注意してください。
【①所属機関に関する変更届出】
≪対象≫
- 勤務地変更(住所が変わる場合)
- 担当部署の変更
- 出向を伴わない配置転換
など
期限:14日以内
【②活動の変更を伴う場合】
▼以下に該当すると審査対象
- 業務内容が大きく変わる
- 専門性の関連性が弱い
- 単純作業が増える可能性がある など
≪提出書類例≫
- 新旧の職務記述書
- 関連性説明書
- 配置転換理由書 など
【③別法人への出向・転籍】
≪対象≫
- 子会社へ移籍
- グループ会社への出向
- 事業譲渡に伴う受入先の変更 など
≪必要手続き≫
所属機関の変更届出+在留資格変更申請(場合による)
入管は “書面の整合性”と“就労実態” を見ます。
ここがずれていると不許可になりやすく、単なる異動ではなく、支店ごとの差異や、異動先で実際に行う業務まで掘り下げて確認する必要があります。
「この判断難しいな…」と思ったら迷わず専門家にご相談ください。
【まとめ】転勤・部署異動は“技人国ビザのリスク管理”そのもの
外国人社員の「転勤」「部署異動」「業務変更」は、日本人の感覚では“普通の人事異動”ですが、入管にとっては所属機関の変更や活動内容の変更に直結する重大事項です。
2024年以降、入管は「名義は技人国だが実態は単純作業」のケースを徹底的に取り締まっており、
- 届出遅れ
- 専門性の説明不足
- 業務内容のズレ
など些細なミスが、更新不許可・在留資格取消し につながるケースが増えています。
特に以下の3つは要注意ポイントです。
- 勤務地変更(支店移動) = 14日以内の変更届出が必須
- 部署異動で業務内容が変わる場合 = 専門性の説明資料が重要
- グループ会社への出向・転籍 = 届出ではなく「在留資格変更申請」が必要になることも
つまり、外国人社員の異動判断は
「就労実態」
「専門性の一貫性」
「書類上の整合性」
この3つを満たしているかが勝負です。
企業の人事異動はスピード感が求められますが、技人国ビザの運用は誤ると企業全体に大きなリスクを残します。迷うポイントがあれば、事前に専門家へ確認するだけで、トラブルの99%は防げます。
【専門家に相談することで“異動によるビザリスク”をゼロに】
技人国ビザの転勤・部署異動は、
「届出で済むのか」
「変更申請が必要なのか」
「業務内容は専門性として説明できるのか」
判断が非常に難しく、企業担当者だけでは見落としが生まれやすい領域です。
実は、入管が最も重視するのは “書面の辻褄が合っているか” と “実態が技人国の範囲にあるか” の2点です。
ここを正しく整えて提出すれば、許可の可能性は大きく上がります。
- 事前に判断してほしい
- この業務内容で問題ないか確認したい
- 異動理由書・職務記述書の作成を任せたい
- 出向・転籍が必要だが手続きが分からない
このような場合は、ぜひ一度ご相談ください。
年間多数の技人国案件を扱う行政書士が、企業のリスクゼロ化を前提に最適な手続きをご提案します。
人事異動はスピーディに。
ビザ運用は確実に。
その両方を実現するのが専門家の役割です。
ご相談はいつでも可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください!
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