【1】外国人エンジニアに必要なビザとは?
外国人エンジニアを採用する場合、まず理解しておくべきなのが「どの在留資格(ビザ)が必要なのか」という点です。
一般的に「エンジニアビザ」と呼ばれることが多いのですが、これは正式な在留資格の名称ではありません。
エンジニアとして働くことができる在留資格の総称として、通称で「エンジニアビザ」と呼ばれています。
では、外国人エンジニアを採用する場合、具体的にどの在留資格が該当するのでしょうか。
結論から言うと、多くの企業で該当するのは「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。
この在留資格は、専門的な知識や技術を必要とする業務に従事する外国人のための在留資格で、ITエンジニア、システムエンジニア、プログラマー、インフラエンジニアなどの職種がこれに該当します。
そのため、単純作業や誰でもできる業務ではこの在留資格には該当せず、あくまで「専門的な知識・技術を使う仕事」である必要があります。
■「技術・人文知識・国際業務」以外でエンジニアが働ける在留資格
外国人エンジニアが日本で働く場合、必ずしも「技術・人文知識・国際業務」だけとは限りません。
状況によっては、他の在留資格で働くケースもあります。
代表的なものは次のとおりです。
①高度専門職
高度な学歴、職歴、年収などをポイント化し、一定のポイントを満たした外国人に付与される在留資格です。
高度専門職1号の場合、在留期間が5年となるほか、永住許可要件の緩和、配偶者の就労許可など、さまざまな優遇措置があります。
特に、年収が高いエンジニアや、修士・博士号を持っているエンジニア、職歴が長いエンジニアを採用する場合は、この高度専門職に該当する可能性があります。
②企業内転勤
海外にある本店や支店、関連会社でエンジニアとして勤務している外国人社員を、日本の本店や支店に転勤させる場合に利用できる在留資格です。
すでに海外の関連会社で技術業務に従事している実績があることが前提となるため、グループ会社間の人事異動でよく利用されます。
③特定活動(インターンシップ等)
外国人エンジニアのインターンシップや、大学卒業後の就職活動継続など、特別な活動を行う場合に認められる在留資格です。
長期的な雇用というよりは、期間限定の受け入れで利用されることが多い在留資格です。
④身分系在留資格
以下の在留資格を持っている外国人は、職種制限がありません。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
これらの在留資格を持っている場合は、エンジニアとして働くために就労ビザを新たに取得する必要はありません。
企業側としては、通常の日本人雇用と同じように採用することができます。
上記のような在留資格でも働くことは可能ですが、実務上はどうかというと、外国人エンジニア採用の大半は「技術・人文知識・国際業務」ビザになります。
そのため、これから新たに外国人エンジニアを採用する企業様の場合、まず検討することになるのは「技術・人文知識・国際業務」ビザということになります。
つまり、外国人エンジニア採用のポイントは、
「技術・人文知識・国際業務ビザの要件を満たしているかどうか」
これに尽きると言っても過言ではありません。
次章では、この技術・人文知識・国際業務ビザの許可要件について、審査の実務で実際に見られているポイントを詳しく解説していきます。
【2】技人国ビザの許可要件(エンジニアの場合)
外国人エンジニアが「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
企業側がどれだけ採用したいと思っていても、これらの要件を満たしていなければ許可は下りません。
実務上、入管審査で特に重視されるのは、次の3つです。
- 学歴・職歴要件
- 業務内容(専門性)
- 報酬(給与水準)
まずはこの3つを確実に押さえることが重要です。
①学歴・職歴要件
外国人エンジニアの場合、次【学歴要件】【職歴要件】のいずれかを満たす必要があります。
【学歴要件】
- 大学(短大含む)を卒業している
- 日本の専門学校(専門課程)を修了している
例えば以下のような専攻と業務の関連性が必要となります。
- 情報工学→プログラマー 〇
- 経済学部→ITエンジニア △(説明必要)
- 日本語学科→プログラマー×
大学の場合は比較的広く関連性が認められますが、専門学校卒の場合は「専攻と業務の関連性」がかなり厳しく見られます。実務では、この「関連性の説明」が甘く、不許可になるケースが非常に多いです。
【職歴要件】
学歴がない場合でも、10年以上の実務経験があれば申請可能です。
この「10年」には、大学や専門学校で関連科目を学んだ期間も含めることができます。
また、ITエンジニアの場合は例外として、情報処理技術者試験(IPA)や海外の相互認証試験に合格している場合、実務経験年数が短くても認められるケースがあります。(3章で詳述します)
つまり、エンジニアの場合は次の3パターンです。
- IT系の大学・専門学校卒
- 実務経験10年以上
- 情報処理技術者試験等の合格者
このどれにも当てはまらない場合、技人国ビザの取得はかなり難しくなります。
②業務内容の専門性
次に重要なのが、日本で従事する業務が専門業務であるかという点です。
エンジニアの場合は技術分野に該当するため大きな問題になることは少ないですが、業務内容は具体的に説明する必要があります。
例えば、
- システム開発業務
- IT業務全般
- 社内SE業務
といった曖昧な表現ではなく、
- JavaやPHPを用いたWebアプリケーションの設計・開発
- AWS環境でのサーバー構築・運用
- 業務システムの要件定義、設計、テスト
など、使用する言語・担当工程・業務範囲まで具体的に記載することが重要です。
また、エンジニアとして採用しても、実際の業務に倉庫作業や、検品作業等の単純作業が多いと不許可になる可能性が高くなります。入管は「その業務に専門知識が必要か」を見ているため、誰でもできる業務が中心だと、エンジニアとしては認められませんので注意しましょう。
③報酬要件と会社の安定性
技術・人文知識・国際業務ビザでは、日本人と同等以上の報酬を支払うことが求められます。
ここで注意すべきなのは、最低賃金を満たせばよいわけではなく、エンジニアという専門職に見合った給与水準である必要がある点です。
極端に低い給与の場合、
「外国人を低賃金で雇用している」
「会社の経営が不安定である」
と判断され、不許可となる可能性があります。
また、実務では報酬だけでなく、会社の安定性や雇用の必要性もあわせて審査されます。
例えば、
- 設立間もなく売上が少ない
- 赤字が続いている
- 事業内容が不明確
- 外国人を採用する理由が説明できない
といった場合は、「継続して雇用できるのか」という点が厳しく見られます。
そのため、技人国ビザの審査は、外国人本人の要件だけでなく、会社側の状況も含めた総合判断であることを理解しておくことが重要です。
就労ビザ要件で不安がある企業様へ
ここまでご覧いただき、
「学歴とエンジニア業務の関連性が微妙かもしれない」
「この業務内容で本当にビザが取れるのか分からない」
「実務経験やIT資格で申請できるのか判断が難しい」
このようなお悩みを感じている企業様も多いのではないでしょうか。
外国人エンジニアの就労ビザは、単に要件を満たしているかどうかだけでなく、
業務内容の説明方法や書類の作り方によって、許可の可能性が大きく変わる手続きです。
特に、
・文系出身のエンジニア採用
・専門学校卒のケース
・実務経験が浅いケース
では、事前の判断と設計が非常に重要になります。
当事務所では、
・学歴・職歴と業務内容の関連性チェック
・エンジニア業務として認められるかの事前診断
・IT資格で申請可能かの判断
・許可されるための業務内容の設計アドバイス
など、申請前の段階からサポートを行っております。
「このケースは申請できるのかだけ知りたい」
という段階でも問題ありませんので、お気軽にご相談ください。
行政書士が入管審査基準に基づき、実務ベースで判断いたします。
申請前チェックだけでも大丈夫ですので、下記フォームより
「事前診断希望」
とご連絡ください。
墨田区・錦糸町エリア以外の企業様でもご対応可能です。
外国人エンジニア採用をご検討中の方は、お気軽にお問い合わせください。
【3】学歴がなくても取得できる?IT資格による特例ルート
ITエンジニアの場合には例外があり、特定のIT資格を保有していることで要件が緩和される制度が存在します。
これは一般的な要件とは少し考え方が異なり、学歴や職歴だけでは判断が難しいIT人材について、資格という客観的な基準で技術力を判断するという制度です。
そのため、学歴の専攻がITと直接関係ない場合や、実務経験年数が短い場合であっても、
一定レベル以上のIT資格に合格していることで、エンジニアとしての専門性が認められ、技人国ビザの許可につながるケースがあります。
実務でも、
- 文系大学卒だがIT資格を保有しているケース
- 母国のIT資格を取得しているケース
- 実務経験は浅いが基本情報・応用情報に合格しているケース
といったパターンで許可が出ている事例は少なくありません。
この制度は、特に外国人エンジニア採用を検討している企業にとっては非常に重要なポイントになりますので、具体的にどのような資格が対象になるのかを解説していきます。
■対象となる主なIT資格(代表例)
対象資格は多数ありますが、実務上よく出てくる代表的なものは以下のとおりです。
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- ITストラテジスト試験
- システムアーキテクト試験
- プロジェクトマネージャ試験
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- 情報処理安全確保支援士試験 など
特に「基本情報」「応用情報」は取得者も多く、実務でもよく使われる資格です。
日本だけでなく、中国やベトナム、フィリピンなど、アジア各国のIT資格も対象となっています。
これらはIPA(情報処理推進機構)の相互認証制度により、日本の資格と同等と評価されます。
例えば、
- 中国:ソフトウェア設計師、ネットワーク工程師 など
- ベトナム・フィリピン:基本情報技術者・応用情報技術者相当試験
- 韓国:情報処理技師 など
といった資格が該当します。
▼詳細については以下の入管ホームページをご確認ください。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件
■実務上の重要ポイント
IT資格による特例は非常に有効ですが、資格を持っているだけで必ず許可されるわけではありません。
実務では、次のような点が厳しく見られます。
①資格と業務内容の関連性
例えば、
プログラミング系資格 → 開発業務 → 〇
プログラミング系資格 → 通訳業務 → ×
このように、資格と実際の業務が一致しているかが重要です。
② 業務レベルとの整合性
IT資格を持っていても、資格のレベルと担当する業務のレベルが合っていない場合、不許可になることがあります。
例えば、「基本情報技術者試験」は基礎レベルの資格ですが、その資格しか持っていない人が、要件定義やプロジェクトマネージャーなどの高度な業務を担当する内容になっていると、入管から「業務に対してスキルが不足しているのではないか」と判断される可能性があります。
そのため、申請では「資格のレベル」「実務経験」「担当業務」のバランスが取れていることが重要になります。
③証明資料の不備
- 合格証明書が提出できない
- 海外資格の真偽が不明
こういった場合も不許可の原因になります。
■IT資格ルートでも不許可になるケース
実務では、次のようなケースで不許可になることがあります。
- 資格はあるが業務が単純作業
- 資格と業務内容が一致していない
- 会社の事業とエンジニア業務の関連性が薄い
- 雇用理由が不明確
つまり、IT資格はあくまで「入口要件の補完」に過ぎず、
最終的にはこれまで解説した「業務内容」「報酬」「会社の状況」と合わせて総合的に判断されるという点に注意が必要です。
IT資格による特例は、
- 学歴が弱いケース
- 実務経験が不足しているケース
において非常に有効な手段です。
一方で、「資格があるから大丈夫」と安易に判断すると、不許可になるリスクもあります。
実際の申請では、資格・業務内容・会社状況を一体として設計することが重要です。
【まとめ】外国人エンジニア採用で失敗しないためのポイント
ここまで、外国人エンジニアのビザについて解説してきました。
重要なポイントを整理すると、以下のとおりです。
- 多くのケースでは「技術・人文知識・国際業務」ビザを利用する
- 審査では「学歴・職歴」「業務内容」「報酬」が重視される
- IT資格があれば学歴や職歴を補完できるケースがある
- ただし最終的には「会社の状況」も含めた総合判断になる
つまり、単純に「優秀なエンジニアだから採用できる」という話ではなく、入管の審査基準に合わせて採用内容を設計することが必要不可欠です。
そして実務では、
- 業務内容の書き方が曖昧
- 学歴と業務の関連性の説明不足
- 給与水準の設定ミス
- 会社の採用理由の弱さ
といった「少しのズレ」によって、不許可になるケースが非常に多く見られます。
特に注意すべきなのは、「要件は満たしているはずなのに不許可になる」ケースが一定数存在することです。
これは、書類の作り方や説明の仕方によって、審査官の評価が大きく変わるためです。
そのため、外国人エンジニア採用は、
“制度を知っているだけ”では足りず、“許可される形に設計できるか”が重要になります。
外国人エンジニア採用を成功させるためには、採用を決めてからビザ申請を考えるのではなく、採用計画の段階からビザ要件を踏まえて準備を進めることが重要です。
\外国人エンジニア採用をご検討中の企業様へ/
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
- 外国人エンジニアを採用したいがビザが取れるか分からない
- 文系出身の外国人エンジニアでも就労ビザは取れるのか知りたい
- IT資格を持っている外国人を採用予定だが問題ないか知りたい
- 自社の業務内容でエンジニアビザが取れるのか知りたい
- 一度不許可になってしまい、再申請を検討している
このようなお悩みをお持ちの企業様も多いのではないでしょうか。
外国人エンジニアの就労ビザは、
「エンジニアだから簡単に取れる」というものではなく、
業務内容、本人の学歴・職歴・資格、会社の状況を踏まえて、書類をしっかり作り込むことが非常に重要になります。
当事務所では、
- 就労ビザが取得できる業務内容かどうかの事前チェック
- 学歴・職歴・IT資格で要件を満たしているかの確認
- 雇用理由書の作成サポート
- 研修計画書・業務内容説明書の作成
- 不許可後の再申請サポート
など、外国人エンジニア採用に関するサポートを行っております。
「この業務内容でビザが取れるのか分からない」
「申請して不許可になるのが不安」
という段階でも問題ありませんので、外国人エンジニア採用をご検討中の企業様は、お気軽にご相談ください。
初回相談では、会社の事業内容、採用予定業務、外国人の学歴・職歴・IT資格をお伺いし、就労ビザ取得の可能性についてご案内いたします。
就労ビザは、申請してからでは遅いケースもあります。
外国人エンジニア採用をご検討の段階で、一度専門家にご相談ください。
当事務所は、墨田区・錦糸町エリアで就労ビザ申請をご検討の企業様からのご相談を多数いただいております。
対面でのご相談も可能ですので、近隣で行政書士をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。
© ひらま行政書士事務所 / 在留資格・帰化申請サポート
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