「派遣社員でも就労ビザは取得できますか?」

これは外国人採用を検討する企業様から非常に多く寄せられるご相談です。
外国人材の活用が広がる中で、「派遣」という形態を利用した技術・人文知識・国際業務ビザ(以下、技人国)の運用は、長年一定のニーズがありました。

結論から申し上げると、派遣社員であっても就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の取得は現在も可能です。
しかし、2026年3月9日以降は、派遣社員として就労する外国人について審査基準が見直され、従来よりも慎重な審査が行われるようになりました。
これまでは派遣会社を通じた就労ビザ申請でも比較的スムーズに許可されるケースがありましたが、現在は派遣先企業や実際の業務内容まで詳細に確認される運用へと変更されています。

つまり、「派遣だから取得できない」のではなく、「派遣だからこそ説明すべき事項が増えた」というのが正しい理解です。

本記事では、2026年3月の制度変更を踏まえ、企業担当者や派遣会社が押さえておくべきポイントを行政書士の視点から詳しく解説しますので是非参考にしてください。

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【1】派遣でも技人国ビザは取得可能だが「条件付き許可」へ変化

冒頭お伝えした通り、派遣形態でも技人国ビザの取得自体は可能です。
ただし現在は、従来のような柔軟な運用ではなく、次の3点が必須条件となっています。

  • 派遣元との雇用契約の適正性
  • 派遣先の事前確定
  • 派遣先での専門業務の明確性

特に重要なのは「派遣先未確定での申請」が原則認められなくなっている点です。
つまり現在は、

派遣=後から決まる働き方ではなく、事前に完全設計された就労形態

として扱われています。

【2】2026年の厳格化の本質(制度変更の5つのポイント)

今回の運用変更は単なる強化ではなく、制度構造そのものの変更です。
主なポイントは以下の5つです。

①派遣元・派遣先双方への誓約書義務化

従来は派遣元中心でしたが、現在は派遣先にも法的責任が明確化されました。
誓約内容には以下が含まれます。

  • 単純労働を行わせないこと
  • 技人国業務の範囲遵守
  • 入管調査への協力義務

これは事実上、派遣先も「審査対象」になったことを意味します。

②申請時に派遣先の確定が必須

今回の変更で最も大きなポイントが、申請時点で派遣先が確定していることです。
従来は「採用後に派遣先を決定する」という運用も見受けられましたが、現在は認められません。

申請時点で以下が必要です。

  • 派遣先企業名
  • 配属部署
  • 具体的職務内容

そのため、派遣先が決まっていない状態では、就労内容を判断できず、申請自体が難しくなります。

③在留期間が派遣契約期間に連動

従来は雇用の安定性が重視されましたが、現在は異なります。

派遣契約6ヶ月 → 在留期間も短期化
契約更新 → 在留更新審査へ直結

というように在留期間は派遣期間に連動するようになりました。
「許可されれば問題ない」と考える企業様も少なくありませんが、実際には在留期間も重要です。
派遣契約期間が短い場合や、事業の継続性について十分な説明ができない場合には、1年以下の在留期間となる可能性があり、事業運営にも影響を及ぼすケースもあります。

一方で、

  • 安定した派遣契約
  • 継続的な受入予定
  • 企業の経営状況
  • 外国人本人の職歴

などを総合的に説明できれば、より長期の在留期間が認められる可能性もあります。
更新のたびに申請を繰り返す負担を考えると、初回申請から在留期間を意識した書類作成が重要となります。

④派遣先への直接確認・実地調査の強化

これまでは「派遣元企業がしっかりしていれば問題ない」と考えられることもありました。
しかし現在は、派遣先企業についても審査対象となります。
具体的には、

  • どのような事業を行っている企業か
  • 外国人が専門性を発揮できる環境か
  • 業務内容は在留資格と一致しているか
  • 適切な受入体制が整っているか

などが確認されます。
そのため、派遣元だけでなく派遣先企業にも書類作成や情報提供への協力が求められるケースが増えています。

また、入管は以下を明確に実施対象としています。

  • 派遣先への電話確認
  • 現場への実地調査
  • 抜き打ちヒアリング

これにより「書類だけ整える申請」は通用しなくなり、実態重視の審査が行われるようになりました。

⑤更新時の提出書類の大幅増加

更新時には以下が追加されています。

  • 派遣元管理台帳
  • 派遣先管理台帳
  • 就業状況報告書

これにより入管は、申請時だけでなく

「就労期間全体の適法性」

を審査対象とするようになりました。

\自社の派遣スキームは本当に大丈夫ですか?/

ここまで解説したように、2026年以降の派遣による技人国ビザは、従来よりも厳格な審査が行われるようになりました。

特に企業様が見落としやすいのが、

  • 派遣先での業務が本当に専門業務に該当するか
  • 契約内容と実際の業務内容にズレがないか
  • 指揮命令系統が適切に整理されているか

といった点です。
実際には、「問題ないと思っていた業務内容」が入管から指摘されるケースも少なくありません。
また、今回の制度変更により、派遣元だけでなく派遣先企業も審査対象となっています。

そのため、

  • このまま申請して問題ないのか
  • 現在の派遣スキームにリスクはないのか
  • 実地調査が入っても説明できる体制になっているのか

と不安がある場合は、申請前に一度確認しておくことをおすすめします。
派遣による技人国ビザは、申請書類だけでなく「実態に即した設計」が重要な分野です。後から修正が難しいケースも多いため、不安な場合は早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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【3】なぜ厳格化されたのか

今回の制度変更の背景には、派遣スキーム特有の構造問題があります。

①派遣元による専門性の拡大解釈

典型的には以下のような運用です。

  • 一部に通訳業務があれば全体を専門職扱い
  • 「管理業務」を広く解釈し現場作業を包含
  • 在庫管理・ライン管理を高度業務と説明

本来の技人国の趣旨とは乖離した運用が問題視されてきました。

②派遣先の黙認構造

派遣先では次のような状況が発生していました。

  • 現場で単純労働が行われている
  • しかし派遣元任せで実態を確認しない
  • 結果として責任が曖昧化

この「責任の分散」が不適正就労の温床となっていました。

③制度改正の本質

これを是正するために導入されたのが以下です。

  • 誓約書による責任の明確化
  • 派遣先への直接監督
  • 実地調査による実態確認

技術・人文知識・国際業務(技人国)の在留資格は、大学等で学んだ専門知識や実務経験を活かして専門的な業務に従事する外国人を対象とした在留資格です。
しかし近年、一部では本来の制度趣旨とは異なる運用が問題視されるケースが見受けられました。
上述のように、

  • 申請時と実際の業務内容が異なる
  • 専門性を必要としない業務が中心となっている
  • 派遣先が頻繁に変わり就労実態が把握しづらい

といったケースです。
もちろん、多くの派遣会社や受入企業は適切な運用を行っています。
一方で、制度を適正に運用するため、入管は派遣元だけでなく派遣先企業の管理体制や実際の就労環境についても確認する運用へと変更しました。
つまり、今回の厳格化は派遣会社を排除するためではなく、「適正な外国人雇用を確保すること」が目的となっております。

今後は受け入れ企業(派遣先)も誓約書にサインする以上、より慎重な判断が求められます。
違法な就労が発覚した場合、派遣元だけでなく派遣先企業も「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。
不法就労助長罪は厳罰化されており、現在は「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)」という非常に重い刑事罰が科されますので、今まで以上に注意が必要です。

【4】派遣社員の就労ビザで不許可になりやすいケース

当事務所にも、「自社で申請したが不許可になってしまった」というご相談が少なくありません。
特に多いのが、次のようなケースです。

①業務内容が専門業務ではない

技術・人文知識・国際業務の在留資格では、専門知識を活かした業務であることが前提です。
単純作業や補助業務が中心である場合は、不許可となる可能性があります。

②学歴・職歴との関連性が説明できない

大学で経済学を専攻していた外国人が、ITエンジニアとして申請する場合など、業務との関連性を十分に説明できなければ審査上マイナスとなります。
実務経験や研修内容を補足することで許可につながるケースもあるため、個別の事情に応じた説明が必要です。

③書類の内容に矛盾がある

申請書、雇用契約書、派遣契約書、会社案内などに記載された内容が一致していないと、審査官は「申請内容の信頼性」に疑問を持ちます。
実際には小さな記載ミスが不許可につながることもあるため、提出前のチェックが欠かせません。

④派遣先が変更されている

申請時に予定していた派遣先と、実際の就労先が異なる場合には注意が必要です。
変更内容によっては、新たな届出や手続きが必要になるケースもあります。

これらの点については実地調査が入った場合、これらはほぼ確実に表面化し不利に働くので、申請時から注意してください。

【まとめ】

今回解説した通り、2026年3月9日以降の派遣形態による技術・人文知識・国際業務ビザの運用は、従来とは明確に性質が変わりました。
これまでのように、

  • 派遣元が整っていれば問題ない
  • 書類さえ揃えば許可される
  • 派遣先の詳細は後から調整できる

といった考え方は、すでに通用しなくなっています。
現在の入管実務では、次の3点が一貫して重視されています。

  • 派遣先を含めた「事前の完全設計」
  • 書類ではなく「現場実態との一致」
  • 申請後も含めた「継続的な適法性」

特に重要なのは、派遣という形態そのものが問題なのではなく、「実態と申請内容のズレが許容されなくなった」という点です。
その結果として、派遣先企業にも誓約書提出義務や実地調査対応が求められ、これまで以上に重いコンプライアンス責任が発生することになりました。

また、不許可リスクの多くは単純な書類不備ではなく、

  • 業務内容と在留資格の不一致
  • 指揮命令系統の曖昧さ
  • 派遣契約と現場業務のズレ

といった「構造的な設計ミス」によって発生しています。
そのため、表面的な書類作成だけではなく、派遣元・派遣先を含めた実態重視の全体設計が不可欠です。

\派遣での就労ビザ申請・受入れでお困りの方へ/

派遣形態での外国人採用(技術・人文知識・国際業務ビザ)については、近年の制度変更により、以下のようなご相談が増えています。

  • 派遣で外国人を採用できるか分からない
  • 自社の派遣スキームが入管実務に適合しているか不安
  • 派遣先での業務が技人国の範囲に該当するか判断できない
  • 申請時にどこまで派遣先情報が必要か分からない
  • 実地調査や追加資料請求に対応できる体制か不安

特に現在は、派遣元だけでなく派遣先にも責任が及ぶ運用となっており、従来の「派遣会社任せ」のスキームは通用しなくなっています。
そのため、申請書類の作成だけでなく、

  • 派遣先での実際の業務内容
  • 指揮命令系統の整理
  • 契約内容と現場実態の整合性
  • 在留資格との適合性

といった点を含めた事前設計が非常に重要です。
ひらま行政書士事務所では、技術・人文知識・国際業務ビザを中心に、派遣形態を含む外国人雇用スキームの適法性チェックを行っております。

初回相談では、

  • 在留資格該当性の診断
  • 派遣スキームの適法性チェック
  • 不許可リスクの分析
  • 申請方針のご提案

を実施しております。

「このまま申請して大丈夫なのか」
「自社の派遣スキームにリスクがないか知りたい」

と少しでも不安がある場合は、申請前の段階での確認をおすすめいたします。

派遣による技人国ビザは、現在“設計次第で結果が大きく変わる分野”です。
後戻りが難しいため、早めの専門チェックが重要です。

是非一度、お気軽にご相談ください。

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