【1】マーケティング職で技人国ビザを取得するための要件
マーケティング業務で技人国ビザを取得するためには、外国人本人だけでなく、受入れ企業についても一定の要件を満たす必要があります。
① 学歴・職歴との関連性
外国人本人については、一般的に大学や専門学校で学んだ内容と、従事予定業務との関連性が求められます。
例えば、
- 経営学
- 商学
- 経済学
- 情報学
- 経営情報学
- データサイエンス
- マーケティング
などの専攻は、マーケティング業務との関連性を説明しやすいでしょう。
もっとも、「マーケティング学科を卒業していなければならない」というわけではありません。
専攻と業務内容に一定の関連性が認められれば、十分に許可される可能性があります。
また、学歴要件を満たさない場合でも、原則として10年以上の実務経験があれば要件を満たせるケースがあります。
なお、実務経験を立証するためには、在職証明書や職務証明書などの客観的な資料が必要となるため、海外企業での勤務歴がある場合は早めに準備しておくことをおすすめします。
② 受入れ企業の体制も審査対象
入管では、外国人本人だけでなく、受入れ企業についても審査します。
例えば、
- 継続して事業を行っているか
- 安定した経営基盤があるか
- マーケティング担当者を配置する必要性があるか
- 適正な労働条件となっているか
などが確認されます。
「会社の規模が小さいから不許可になる」というわけではありません。
設立間もない会社やスタートアップ企業でも許可されるケースはあります。
ただし、その場合は、
- なぜマーケティング担当者が必要なのか
- どのような業務を担当するのか
- 事業計画の中でどのような役割を担うのか
を具体的に説明することが重要です。
③日本人と同等額以上の報酬であること
外国人を雇用する場合、日本人であることを理由に低い給与を設定することは認められていません。
入管では、同様の業務に従事する日本人社員と比較して、不当に低い待遇となっていないかを確認します。
ここでいう報酬とは、基本給や役職手当など労働の対価として支払われるものを指します。
給与設定についても、日本人社員との均衡を意識することが大切です。
④外国人を採用する合理的な理由を説明できるか
マーケティング業務は、日本人でも外国人でも担当できる職種です。
そのため、法律上「外国人でなければならない」という要件はありませんが、企業の事業内容や担当業務との関係で、外国人を採用する理由を説明できると、申請全体の説得力が増します。
例えば、
- 中国市場向けの商品企画を担当する
- ベトナム市場向けの販売戦略を立案する
- 英語圏向けの広告運用を行う
- 母国向けSNSマーケティングを担当する
- 海外企業とのマーケティング提携を進める
- インバウンド市場の分析を担当する
といった業務であれば、外国人本人の語学力や文化的背景を活かせることを説明しやすいでしょう。
一方で、「日本人が採用できなかったから」「外国人だから採用した」という理由だけでは、採用の合理性を十分に説明することはできません。
もっとも、海外向け業務だけが許可されるわけではありません。
国内向けマーケティングであっても、業務内容に専門性があり、企業として採用する必要性を説明できれば、十分に許可される可能性があります。
【2】許可されやすいマーケティング業務とは?
「マーケティング担当」といっても、その業務内容は企業によって大きく異なります。
入管審査では、「マーケティング」という肩書きではなく、実際にどのような専門業務を担当するのかが重視されます。
ここでは、比較的技人国ビザとの親和性が高い代表的な業務をご紹介します。
①市場調査・マーケティング戦略の立案
市場や競合を分析し、販売戦略を企画する業務は、マーケティングの中核となる専門業務です。
例えば、
- 市場調査
- 競合分析
- ターゲット分析
- 販売戦略の立案
- ブランド戦略の企画
などは、専門知識や分析力を活用する業務として説明しやすいでしょう。
②Web・デジタルマーケティング
現在では、多くの企業でWebを活用したマーケティングが行われています。
例えば、
- SEO施策の企画・改善
- Webサイトの改善提案
- リスティング広告・SNS広告の運用
- アクセス解析
- 広告効果の分析・改善提案
など、データに基づいて企画・分析・改善を行う業務は、専門性が認められやすい傾向があります。
重要なのは、単に広告を配信したり、ホームページを更新したりするだけではなく、分析結果を踏まえて改善施策を立案・実行する業務であることです。
③商品企画・販促企画
メーカーや小売業では、商品そのものや販売方法を企画する業務もマーケティングに含まれます。
例えば、
- 新商品の企画
- 販売促進企画
- キャンペーン企画
- ブランド構築
- 市場ニーズを踏まえた商品改善
など、企画立案を中心とした業務は、技人国ビザの対象となる可能性が高いでしょう。
\マーケティング業務が技人国ビザの対象になるか不安な方へ/
ここまでご紹介したように、マーケティング業務には技人国ビザの対象となりやすいものがある一方で、業務内容によっては対象外と判断されるケースもあります。
実際の審査では、「マーケティング担当」という職種名ではなく、実際にどのような業務へ従事するのかが重視されます。
そのため、
- この業務内容で申請できるのか分からない
- 接客や営業業務も一部含まれている
- 求人票の記載内容で問題ないか確認したい
といった場合は、申請前に確認しておくことで、不許可や追加資料提出のリスクを減らせる可能性があります。
当事務所では、採用予定の業務内容が技人国ビザの対象となるかどうかについても事前にご相談いただけます。
「まだ採用を決めていない」
「まずは許可の可能性だけ知りたい」
という段階でも、お気軽にお問い合わせください。
【3】許可されにくいマーケティング業務とは?
マーケティング担当という名称であっても、実際の業務内容によっては技人国ビザの対象と認められないことがあります。
特に、専門知識を活用する業務ではなく、単純作業や営業・接客が中心となる場合は注意が必要です。
①SNSへの投稿やホームページ更新だけを行う業務
企業のSNSやホームページを更新する業務自体が問題というわけではありません。
しかし、
- 決められた内容を投稿するだけ
- 写真をアップロードするだけ
- ホームページを更新するだけ
といった定型的な作業が中心の場合は、専門性を要するマーケティング業務とは評価されにくい傾向があります。
一方で、市場分析やアクセス解析を行い、投稿内容や広告戦略の改善まで担当するのであれば、専門業務として説明しやすくなります。
②接客・販売が中心となる業務
例えば、
- 店舗での接客
- レジ対応
- 商品陳列
- 商品梱包
- 在庫管理
などが業務の中心となる場合は、マーケティング業務ではなく、単純労働と判断される可能性があります。
マーケティング担当として採用する場合でも、販売現場を知るために一定期間店舗研修を実施すること自体は珍しくありません。
ただし、その研修が短期間にとどまり、その後は専門的なマーケティング業務へ従事することが明確である必要があります。
③営業活動が中心となる業務
営業とマーケティングは密接な関係がありますが、入管上は異なる業務として判断されます。
例えば、
- テレアポ
- 飛び込み営業
- 商談中心の営業活動
が業務の大半を占める場合は、マーケティング業務として評価されにくくなります。
営業活動を行う場合でも、市場分析や販売戦略の企画・改善などが主たる業務であることを説明できるかが重要です。
【4】就労ビザ申請で企業が見落としやすいポイント
マーケティング業務は技人国ビザの対象となる可能性が高い職種ですが、実務では「要件を満たしているか」だけでなく、「それを適切に説明できているか」が審査結果を左右するケースも少なくありません。
実際には、業務内容自体には問題がないにもかかわらず、説明不足や資料間の整合性が取れていないことを理由に、追加資料の提出を求められるケースもあります。
ここでは、企業担当者様が見落としやすいポイントをご紹介します。
① 業務内容は具体的かつ一貫して説明する
就労ビザ申請では、「マーケティング担当」や「Webマーケティング業務」といった抽象的な記載だけでは十分とはいえません。
入管が確認するのは、外国人が実際にどのような専門業務へ従事するのかという点です。
そのため、
- どのような市場を分析するのか
- どのようなマーケティング施策を企画するのか
- どのようなデータを分析し、改善提案を行うのか
など、業務内容を具体的に説明することが重要になります。
実務では、業務自体には問題がなくても、説明が抽象的だったために追加資料の提出を求められるケースも少なくありません。
② 求人票・雇用契約書・申請書類の内容に一貫性を持たせる
申請では、求人票、雇用契約書、職務内容説明書、会社案内など、複数の資料を提出します。
これらの資料に記載された業務内容が一致していないと、入管から実際の業務内容について疑問を持たれる可能性があります。
例えば、
求人票では「マーケティング担当」と記載されているにもかかわらず、雇用契約書には営業業務が中心であるような内容が記載されている場合は、どちらが実際の業務なのか判断できません。
資料ごとの整合性を意識し、企業として一貫した説明を行うことが重要です。
③店舗研修や営業研修は期間と内容に注意する
外国人に商品知識や業務の流れを理解してもらうため、入社後に店舗研修や営業研修を実施する企業は少なくありません。
研修自体は問題ありませんが、その期間や内容には注意が必要です。
例えば、数か月間の商品知識研修を行った後にマーケティング業務へ従事するのであれば、合理的な研修として説明できる可能性があります。
一方で、長期間にわたり店舗業務や営業活動が中心となる場合は、専門業務よりも単純業務が主たる業務と判断されるおそれがあります。
研修を実施する場合は、研修の目的・期間・終了後の業務内容まで整理しておくことが重要です。
【まとめ】
マーケティング業務は、技術・人文知識・国際業務(技人国ビザ)の対象となる代表的な職種の一つです。
しかし、許可されるかどうかは、「マーケティング担当」という肩書きだけで判断されるわけではありません。
入管では、
- 外国人本人の学歴・職歴と業務内容との関連性
- 企業がマーケティング担当者を採用する必要性
- 日本人と同等以上の報酬であること
- 専門性を活かした業務内容であること
などを総合的に審査します。
また、要件を満たしている場合でも、職務内容説明書や求人票、雇用契約書などの内容が曖昧であったり、資料間に整合性がなかったりすると、追加資料の提出を求められるケースも少なくありません。
そのため、マーケティング職で外国人を採用する際は、採用後に慌てて申請準備を始めるのではなく、採用を検討する段階から業務内容を整理し、就労ビザの要件を踏まえて準備を進めることが重要です。
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